学歴社会のローカル・トラック の商品レビュー
分類すると「学術書」になるんだろうけれど、なんだか上質のルポルタージュのよう。 特に強いインパクトがあるわけじゃないんだけど、なんだかしみじみと感じ入ってしまう。噛めば噛むほど味が出そうな本。
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田舎から都会へと大学のために出る。このことがいかに定められたレールの上にあるのか。自分を見直すとてもよい本になりました。
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「大衆教育社会における地方青年の群像(をメゾレベルで描く)」そのものズバリの内容で、ドラマ「白線流し」を思わせる内容。実在の人物が多数登場し、非常にリアリティーがある。(城下町松本に比べるとかなり田舎の島根の山村の横田高校卒業生のその後だが) 自分は都会しか知らないし、地方の人は...
「大衆教育社会における地方青年の群像(をメゾレベルで描く)」そのものズバリの内容で、ドラマ「白線流し」を思わせる内容。実在の人物が多数登場し、非常にリアリティーがある。(城下町松本に比べるとかなり田舎の島根の山村の横田高校卒業生のその後だが) 自分は都会しか知らないし、地方の人は都会に出てくるもので、地方よりは都会の方がいいのかな?という漠然としたイメージはあったんだが、それらのイメージを払拭する内容で、本書を読んで「都市と地方はどっちが幸せなんだろう?」ってちょっとわからなくなった。地方でそこそこ優秀だったらそのまま地元の国立大に行って、地元の公的職業につくってのはひとつの安定的なエリートコースであり、ヘタに都会なんかに出て苦労するよりも全然いいんじゃないの?って感じはする。選択肢やチャンスが多ければいいってものでもないし、都会の生活がそんなに幸福だとも思わないし、データとして都会に出た人より地元に留まった人の方が自己肯定感が高いというのは非常に興味深いものがある。これはある種の鶏口牛後的なものなのかもしれない。 但し、これは自分が中年になったからそう思うのであって、若い時にそう思えるかどうかはわからないが、地方の教育システムにそう思わせる仕組みというか圧力は働いているんだろう(実際登場する青年達には殆ど野心がない)。この地方行政と教育のエリート周流の共鳴関係がこれまでの日本の地方を形成してきたのだろうし。 が、これから日本は人口減少で地方人口はどんどん減るわけで、今までのモデルの変更も余儀なくされるに違いない。その時、地方のエリートが自らを変革できるか否かが試されるのだろう。
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「現代日本社会の(中略)趨勢を構成していくのは上層エリートでも最下層市民でもない。普通の青少年の動態なのである」とい筆者の言葉に共感。島根県の横田高校の卒業生のその後のライフヒストリーをききとっている。一人ひとりの話に引き込まれるし、日本、とりわけ地方の置かれた状況がダイナミック...
「現代日本社会の(中略)趨勢を構成していくのは上層エリートでも最下層市民でもない。普通の青少年の動態なのである」とい筆者の言葉に共感。島根県の横田高校の卒業生のその後のライフヒストリーをききとっている。一人ひとりの話に引き込まれるし、日本、とりわけ地方の置かれた状況がダイナミックに浮かんでくる。
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島根にある一高校の進路指導や生徒の学習を高校在学時と卒業してから数年後の2点でインタビューし、そこから浮かび上がる各人のライフヒストリーを通して、地方と都市をめぐる学歴社会の現状を浮かび上がらせた好著。 学歴社会の階層が再生産されるという分析というよりは、地域のローカルトラ...
島根にある一高校の進路指導や生徒の学習を高校在学時と卒業してから数年後の2点でインタビューし、そこから浮かび上がる各人のライフヒストリーを通して、地方と都市をめぐる学歴社会の現状を浮かび上がらせた好著。 学歴社会の階層が再生産されるという分析というよりは、地域のローカルトラックが強化されているという視点で、島根をはじめ日本の各地の教育事情を分析しているところが特に興味深い。題材となった学校の現状が、現在の職場の条件に似ているという仕事上の点から、また社会学を概念装置として学校を観察しているという学問上の点から、大いに興味を惹かれ、しかも期待を裏切らなかった良書である。
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