大人問題 の商品レビュー
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人間の精神活動の一つの手段としての言語とか文章とか、かなり重要なものを背負っているはずの国語、言語の学習というフィールドを、まったくサボって設定している。そこで学習するのは何かといえば、期待される「サボるための答え」を覚えると言う以外あり得ません。(p.38) 「実験精神」というものがほんとうに少ない社会です。ちょっと試してみる、少し変えてみる程度の実験も、なんとなく遠慮しがちの社会、個人です。 いまだに小学生の大勢はランドセルです。勤め人は背広にスーツです。もっとふさわしいカバンや服装、限りなくある。それこそ物質的には超豊かな社会なのに、使おうとはしません。よりいいものを取り入れようとは考えません。変える、変わるを恐れます。実験、試行は罪という感じです。(p42) 「心」っていう字、好きです。あの形。「権」とか「軍」なんて字はみんなガッチリとくっついているけれど、「心」ってバラバラしてる。はじめっから乱れている。心を乱すというのは、心をやめなさい、ドキっとかハッとかモゾモゾっていうのをやめなさい、ということです。確かに、管理者、為政者、まとめ役という立場の人は、みんなが乱れると困るんです。この「一糸乱れず」という要求、つまりは心をやめなさいと言っているのです。(p.53) わかり合うことでつながるより、わかっていないことの認識でのつながりのほうが暑いと感じます。わかろうとする、わかりたいと思う意志のようなものが相互関係を熱くします。(p.193)
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子どもが読むとスカッとするし大人が読むとイラッとしそうな本。子どもと大人の間の私はけっこう楽しんで読めた。また歳をとったら読みたい。
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うーん、『みんなうんち』は自分も好きなのですが・・・。 なんか言いたいことはいろいろあるんだろうが、よく分からなかった。 残念。
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目の前の子どもの問題をつきつめていくと、どんな時でも権力や政治のおかしさにぶつかる…と言ったのは、確か辛淑玉さんだったか。 子どもの問題=大人の(が)問題 考えてみれば当たり前のことなんだけど、常にそう意識してないと忘れてしまう。 未成年が犯罪を犯したとき、その子の性質や...
目の前の子どもの問題をつきつめていくと、どんな時でも権力や政治のおかしさにぶつかる…と言ったのは、確か辛淑玉さんだったか。 子どもの問題=大人の(が)問題 考えてみれば当たり前のことなんだけど、常にそう意識してないと忘れてしまう。 未成年が犯罪を犯したとき、その子の性質や性格などに焦点が当てられ、厳罰に処せという意見が必ず出てくる。 ああいう輩はぜったいに更生しない。だから一生檻の外に出すな、と。 事件が起こるたび、思う。 果たしてそれで本当に解決するのかな。 少年の再犯率が高いのは、更生して出てきても、社会がそれを受け入れる仕組みになってなくて、再犯せざるを得ない構造になっているからではないのかな。 そもそも事件の背景に「大人の問題」がないわけがない。 それを改善せず、加害少年の生まれつきの性質だけを原因と断定して、罰して解決せよという考え方は、あまりにも短絡的というか、むしろ解決策を見えにくくしているような気がしてならない。 ……なーんてコトを、五味太郎さんの本を読みながら思った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ダメな親ほど、子どもにとって親は絶対必要だと思っているようです。たとえば「二親が揃っていないから、この子は曲がった」などという言い方をよく聞きますが、三親いても四親いても曲がるやつは曲がります。(p.25) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 被害少年の家庭がシングルマザーで、子どもに目が行き届かなかった。… 確かにこれも、事件の要因の一つだろう。 でもね、シングルマザーで、4人も5人も子どもを抱えながら、子らを飢えさせずに生活を維持していくのって、どれだけ大変なんだろう。 正直、私には、できない。 だから、このお母さんは、本当にすごいと思うし心底尊敬する。 そう。 片親が原因で事件が起こった、のではない。 片親が、家族を守るために、子どものうちの一人が何の問題を抱えているか気づけないほどの時間を割いて働かなければ生きていけないことが、問題なのだ。 そして、このお母さんと同じ状況に置かれたら、私だって子どもの異常に気づいてやれる自信はない。 たぶん、大多数のお母さんたちも同じだと思う。 今現在私など、子ども一人しかいないのに、夫の帰りが遅くて全部自分がやらなくちゃいけない、わああーーーー!!もう限界っ無理っ!!ってなってるもん。 子どもは親のもの っていう意識が 根強くあるのが日本。 だから、子育てが「孤育て」に なりやすい。 もっと 子どもは社会全体のもの っていう意識が広がるといいのかもしれない。 やっぱり子育てって母親だけでやるもんじゃないしね、そもそも。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー …実はそういうシステムがアフリカのマサイ族にあると聞いてびっくりしました。マサイ族の少年は社会人になる前に、5年間ぐらい放浪するんだそうです。仲間数人とあっちへ行ったりこっちへ行ったりと草原で暮らし続けるのだそうです。そして、その子どもたちがやってくると、どこの家でもごはんを食べさせて泊めてあげる。必要な物は揃えてあげる。そうやって人生の勉強をしたのち、村に帰って、今度は彼らが村を守る人になるというわけです。実力がつくんですね。 それだけのことをする価値が子どもにはあると思います。10歳までにたっぷりときちんと物事を見る、そのことを怠ると、人生なんとなくやせてしまうような気がします。(p.196) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以前も書いたけど、子どもにとって、いろんな大人との関わりがすっごく大事なんだってこと。 私は「斜め上の大人」って呼んでるけど、そういう存在がぜったいに必要だと思う。 (2015年3月11日のブログ記事再掲)
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理由がないナアナアな問題に疑問を呈している。 子供は10歳までは観察の時期。 私も子供にはいろいろと見せようかと。 娘さんが二人共学校やめたのはちょっとびっくり。 でも自由でいいかも。
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絵本作家、五味太郎さんのエッセイ。 いわゆる「大人って変だよね」をつらつら書かれていて…一部は違和感があるけど、だいたいが腑に落ちる。 いかに自分が「大人」(子供、の対義語としての)になってしまったかが分かります。
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勉強はストイックなものという思い込みを正せ、と言ったのは親野さんだった? 子供が自ら「楽しい」と思えば、自然に「知りたい」「読みたい」「描きたい」という気持ちにつながっていく。つながらなくてもソレはそういうタイプの個なんだよっていう感じ? こうやって言葉でまとめるのも「わかってないんだよな」って怒られてしまいそうな本。 言い返したいこともけっこうあるけど、五味さんってそういう個なのね、と思うことにする。 20年近く?前の本なので、今の学校や社会はもう少し違ったものになってるような気がする。よいか悪いかは別として。 「目が楽しい、口が楽しい、のどが楽しい、耳が楽しい、手が楽しい。絵本というものはそういう世界になじむのですが、サポートする大人の側が違うモティベート(動機づけ)としてとらえるから、おかしなことになってしまいます。」 「足がサイダーだよって言った男の子がいたそうです。(略)やっぱり、言葉って限りなくスリリングなんです。そのスリリングさの学習、どこかにあるのでしょうか。」 (世間様の目)「つまり基本は禁止なのです。してはいけないことが多くあって、していいことが少しある。で、自分のしていることがしていいことなのかどうか、ちょっと心配だという図式なのでしょう。」 「学びたい、知りたいという、その子の必然が出てきたときに、はじめて”教育”というものが、現象としてな成り立つのだろうと思います。 そのときにいちばん必要なのは”わかっている”人ではなくて”わかろうとしている人”です。”人生、そこらあたりが問題なんだよね”と問題を世代を超えて共有できる人。」 「子どもというのは”異邦人”だと思っています。この文化圏に最近やってきた異邦人という感じ。だから、この国の、あるいはこの風土のこと、何もしらないのは当然のことなのです。」 「子どもは大人をただ”見ている”のだと思います。(略)大人の立派さを見ているわけでも、批判しようと厳しく見ているわけでもなく、ただそこに居るから見ているのです。」 読んでいてかつての自分をいろいろと思い出した。 「兄が徒歩で家を出発して、その何分か後に弟が自転車で出発してそれぞれ駅にむかう。駅までの距離は**。兄の歩く速度は**。」なんて算数の文章問題。 確かに私も、なんで二人で一緒に行かなかったのかその背景を悶々と想像してしまったり、自転車途中でパンクしたりして、なんて考え出すと、算数なんてどこかに行ってた。 我が家のルーキーどもの熱い視線を意識しながら、自分のことも考えてみよう。
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子供にとって大人は有害である!大人に対する怒りと毒を含んでつづったエッセイ。 大人は「すっかり疲れきっている」「子供を試したがる」「義務と服従が好きである」などをテーマに、大人の理不尽な考えや行動をばっさばっさと切っていきます。共感できるものそうでないものがあるものの、絵本作家と...
子供にとって大人は有害である!大人に対する怒りと毒を含んでつづったエッセイ。 大人は「すっかり疲れきっている」「子供を試したがる」「義務と服従が好きである」などをテーマに、大人の理不尽な考えや行動をばっさばっさと切っていきます。共感できるものそうでないものがあるものの、絵本作家という立場の裏で、子供の視点からこんな想いを抱えていたのかと驚きます。 大人の都合で扱いやすい“枠”に子供を当てはめてはいないか、子供のことを真に考えて行動できているだろうか。親という立場である方はもちろん教育現場で働く方など、普段の子供への接し方を見直すきっかけになります。
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[by azukiko]くるみさんからプレゼントいただいた本です。うんうん、とうなずけて、ニヤリとしながら、ちょっと「イテッ」と思う内容でした☆ 「ぼくは子どもをとらえるときに『新人』『ルーキー』という言葉でとらえるのが好きです」 という一言には、ハッとしました。 誰もが子ど...
[by azukiko]くるみさんからプレゼントいただいた本です。うんうん、とうなずけて、ニヤリとしながら、ちょっと「イテッ」と思う内容でした☆ 「ぼくは子どもをとらえるときに『新人』『ルーキー』という言葉でとらえるのが好きです」 という一言には、ハッとしました。 誰もが子どもでもなく大人でもなく「人間」なんですよね。「大人」でも「子ども」でもなく、「人間」でいいじゃん!と感じる方に、ぜひおすすめの本です♪
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もうええかげんにせえよ! と 思うことっていっぱいある 生きていたら それこそ いっぱいある あぁ 自分だけではないのだ と 安心させてもらえる一冊です
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