もう切るわ の商品レビュー
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すっかりハマってしまった井上荒野。最初は妻の過去と現在の話が交互に出てくるのかと思ってたら、片方は妻で片方は愛人だった。これは意図的に誤解させてるのか、それとも私が誤解しただけなのかな。 この男はほんとクズだと思うんだけど、どんなクズでも生きてるし死ぬんだよな… やはり、死の持つ鮮烈さの前ではクズさも霞んで見える。 「もう切るわ」、電話のことだと思っていた。
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病に侵され、もうすぐ死を迎える男の妻と愛人。 それぞれの視点からの、それぞれの気持ち。 愛がなくても夫婦と呼ばれる関係。 愛があっても所詮は不倫と呼ばれる関係。 みんなの感情がぐるぐる迷子になって。 「もう切るわ」ってみんなが切りたい何かを思い浮かべながら 言いたがっているような...
病に侵され、もうすぐ死を迎える男の妻と愛人。 それぞれの視点からの、それぞれの気持ち。 愛がなくても夫婦と呼ばれる関係。 愛があっても所詮は不倫と呼ばれる関係。 みんなの感情がぐるぐる迷子になって。 「もう切るわ」ってみんなが切りたい何かを思い浮かべながら 言いたがっているような気がした。
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夫と妻と愛人。井上さんの描くこの世界を不思議と心地よく感じてしまう私。 愛しているのか憎んでいるのか、静かに日々が過ぎていくなかで時折顔を出す膿んだ感情。嘘なのか本当なのか、相手を傷付けたいのか自分が傷付いているのか、さらりと書かれているのにずーんと心に重くのしかかってくる。 あ...
夫と妻と愛人。井上さんの描くこの世界を不思議と心地よく感じてしまう私。 愛しているのか憎んでいるのか、静かに日々が過ぎていくなかで時折顔を出す膿んだ感情。嘘なのか本当なのか、相手を傷付けたいのか自分が傷付いているのか、さらりと書かれているのにずーんと心に重くのしかかってくる。 あとがきで、心の迷いを表現したかったと言われていた井上さん。まさに抜け出せない迷路にはまった感覚に陥りました。
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★★★1/2。 怖っ、この作品。 これは女性作家にしか書けない作品でしょう。 女の業みたいなものが 散りばめられてて怖かった。 もちろん、怖いと思うのは 自分でもそう思うなと同感しちゃうからなんだけど。。。 怖っ。。。
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「よくつかめない・・・」 「だんだんおもしろくなってきた」 「ん・・・?」 と、半分以上過ぎたところで、章ごとに語ってる人物が違っているということに気づく。 「私」と「あたし」に気づきもしなかった。。。 三人とも、それぞれが、哀しかった。 井上荒野、やはり、とても好きな作家さん。
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夫は前職のときから女の影がちらついていた。 歳さんには妻がいるけれど、二人の恋にはあまり関係のないことだった。 今も、夫がどこかの女との色恋に溺れているのを見て見ぬふりをしている私。 甘い青春時代の恋愛を楽しむかのようなあたし。 ただ一人の男の不倫は、自身の病気と共に終わっていく。 妻と愛人、夫であり恋人である男を愛しているのは、 いったい誰なのか、自分たちですらわからなくなっている傍には もう男はこの世にはいない。 不倫している夫は病気で、死んでいくのを妻視点と愛人視点で書かれている話。 愛のない夫婦を書くのが絶妙にうまいよね~。 でもそんな仮面夫婦いやだ~。 ミルフィーユ食べたくなってきた~)^o^(
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妻と愛人両方からの気持ちが描かれてます。死に行く人を前に人間の本当の気持ち、きれいじゃないだしてはいけないと言われそうな裏の真実。でもこうなんだなと安心したり・・
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ずーっと勘違いして読んでいた。夫と呼ぶ時は現在なのかな、俊さんと呼ぶ時は過去の回想なのかな、と。途中どうも様子がおかしい。そういえば、「私」だったり「あたし」だったりする。だけど、それは若い時と今っていうことかとまだ思っていた。決定的だったのは名前が違うことだった。そこに気付いた...
ずーっと勘違いして読んでいた。夫と呼ぶ時は現在なのかな、俊さんと呼ぶ時は過去の回想なのかな、と。途中どうも様子がおかしい。そういえば、「私」だったり「あたし」だったりする。だけど、それは若い時と今っていうことかとまだ思っていた。決定的だったのは名前が違うことだった。そこに気付いたのはもう140ページ読んでしまってからで、もう一度さらい直すことになってしまったというw(あとがきでそれも作者の狙いというがわかったのだけど)どうしても妻側目線になるわたしなら、夫に女の気配を感じながらそれを心に抱えながら看取るなんて出来んと思うが、読んでいるとそれが賢いかどうかはわからん。わたしは外側から眺めているだけだから。狙い通り、終わりまで読んでも不安を掻き立てられたまま迷路の中のような不思議な気持ちの読後です。
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自分の心の中の迷路とリンクしそうで怖くなるような感じ。 井上さんがあとがきで、それが狙いですと、書いていましたが、思惑通りとなってしまいました。 妻目線なのか愛人目線なのか、時々混乱しましたが、それでもいいんだそう。 道外れた恋愛なので、当然答えはありません。 読んでいる途中も...
自分の心の中の迷路とリンクしそうで怖くなるような感じ。 井上さんがあとがきで、それが狙いですと、書いていましたが、思惑通りとなってしまいました。 妻目線なのか愛人目線なのか、時々混乱しましたが、それでもいいんだそう。 道外れた恋愛なので、当然答えはありません。 読んでいる途中も読んだ後も、迷路に入り込んでしまったような疲労感を感じますが、良い作品だと思います。 何度も休みながら読みました。
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予備知識なしで読み始める。 短編集?と思いつつ読む。 はじめは意味がわからないまま、ひたすらついて行くと 次第に語り手の立場・状況が浮かび上がってきた。 (あとがきに区別について書かれていて、なるほどと読み終えてから気付く) 何となくイヤな予感的中。 初期の自覚症状は日ごろ聞き...
予備知識なしで読み始める。 短編集?と思いつつ読む。 はじめは意味がわからないまま、ひたすらついて行くと 次第に語り手の立場・状況が浮かび上がってきた。 (あとがきに区別について書かれていて、なるほどと読み終えてから気付く) 何となくイヤな予感的中。 初期の自覚症状は日ごろ聞き慣れているものなので、 おおよその展開については予想された。 彼女たちの思いは様々。 “区別”はされているものの、2人の心の動き・つぶやきは何だか似た様。 それも作者の意図、なのかもしれない。 この本に出てくる女性たちは、奔放。 中心となる男性がそういう人だから、というのもあるが。 彼の妹も、店長も、後から入ってきた店員も、なかなかの人物。 男女関係において、波乱万丈な経験を持たない私にとっては、 どいつもこいつも・・・・・・、と思う反面、羨ましくもある。 愛し愛され、妬み、疑い、焦れたり、倦んだり・・・。 そこまで人に執着したり、他の気になる人にも心を掛けたりなんて、 私には到底できませんけど・・・。 渦中の人になってしまえば、ただ苦しいだけになってしまうのか・・・? 何だか不思議で、いろんな人生経験をしてきた女の人の本、という感じでした。 重いような、軽いような。
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