神の代理人 の商品レビュー
2番目のアッレサンドロ6世とサヴォナローラの抗争を読みたく本書を取る。 ちょっとした不誠実な対応からサヴォナローラへのフィレンツェ市民の信頼が短期に崩壊するのが怖い。 どちらが正義の味方か悪役かという表層的な書き方出ないのが良い。
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ローマ人の物語を読了して以降、時々無性に塩野七生の文章を読みたくなる。今回もそういう衝動に圧されて、久々に塩野作品を読んでみた。 虚飾をほどこしているわけではないし、難しい単語を使っているわけでもないのだが、最初リズムを思い出すまではなんとなく読みづらい。読み手の読解力に甘えを許さないが、社会人として必要な読解力さえもっていれば、門戸を開いてくれるきちんとした日本語の文章。それに馴染めば塩野ワールドに浸れる。 ルネサンス期のローマ法王たちの物語である。日本からは遠い異国の話で、世界史選択の俺でも出てくる人物名や事件の名前すら、うろ覚えとか失念していたとか…が心配無用、それでも物語世界にきちんと浸れる。 中世ヨーロッパの宗教改革直前期キリスト教社会というと、「暗黒」「魔女裁判」「退廃」などというイメージがある。実際そういう部分、暗愚な法王がローマのみならずヨーロッパ社会を混乱させるという描写もあるんだが、決してそれだけではない。 華やかなりしルネサンス期の精神的支えであったキリスト教、そのトップが暗愚だけでは成り立たないわけで、有能であったり頑固であったり図太かったり、各代それぞれの法王がそれぞれの個性で、キリスト教という宗教をいかに維持させるかの政治手腕が読みどころである。 さらに、あとがきが秀逸。本文にはなかった塩野さんの個性が炸裂するインタビューが小気味良い。 「自分にとって重要なことは他人にとっても重要であり、自分たちが必要としないことは、他の誰にも必要でない」という思い込みは、知識人と呼ばれる人が犯しがちな過ち 自戒を込めて…御意! 俺が知識人と呼ばれているかどうかは知らんけど、浮足立ってたり、周りから浮いてるなぁと感じている時は、思い出す限り全てにおいて、この思い込みが心のどっかに含有されてた時だったなぁ。
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塩野七生のルネサンス著作集その6。 綿密な資料調査と鋭い洞察力によって描き出される“神の代理人”ローマ法王の物語です。 ルネサンス後期の4人の法王をとりあげた4編から成っていて、キリスト教のことをよく知らなくても、歴史上の個性豊かな人物たちの物語として楽しめます。もちろん、当時の...
塩野七生のルネサンス著作集その6。 綿密な資料調査と鋭い洞察力によって描き出される“神の代理人”ローマ法王の物語です。 ルネサンス後期の4人の法王をとりあげた4編から成っていて、キリスト教のことをよく知らなくても、歴史上の個性豊かな人物たちの物語として楽しめます。もちろん、当時のイタリアと周辺諸国についてもよくわかる。 筆者も「宗教人としてではなく、組織を率いるリーダーとしての面に照明を当てた。」と述べている通り、リーダー論としても面白く読める一冊です。 ところどころに現れる、辛口塩野節がやっぱり痛快。
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ルネサンス時代の法王は神の代理人と言われながらいかに堕落し、法王の地位を獲得するための権力闘争・買収闘争をしていたのか、また神聖ローマ皇帝、フランス国王、スペイン国王、ヴェネツィア元首らの力を削ぐために権謀術数の限りを尽くしていたのか。ルネサンス晩期の4人の法王を描いたもので、イタリア・フランス人が争ったコンクラーベの末に法王に就任したピオⅡ世、精力絶倫の艶福家ボルシア家のアレッサンドロⅥ世と修道士サヴォナローナの対立と処刑までの動き、アレッサンドロⅥ世を継いだジュリオⅡ世が戦争を好みヴェネティア他の各国との確執を繰り返したなど、興味深い歴史です。ルターの宗教改革当時の相手方がメジチ家出身の法王レオーネⅩ世だっということは初めて認識し、教会でなじみが深い歴史を裏側から見たように思いました。なかでもメジチ家を追い出し、フィレンツェを民主化したサヴォナローナという人物は初めて知りましたが、フィレンツェ市民に最初は歓迎され、失望のうちに罵倒されつつ死を迎えたという人生は、著者がイエス・キリストを重ねて描こうとしているようにも感じましたが、もともとどんな人物だったのか、興味深いものです。
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こちらも再読。新潮文庫から新しい版が出たため。 ペテロから始まる、神の代理人である法王たちの物語。 時系列に沿って 「最後の十字軍」ピオ2世 「アレッサンドロ6世とサヴォナローラ」アレッサンドロ6世 「剣と十字架」ジュリオ2世 「ローマ・16世紀初頭」レオーネ10世 の4編か...
こちらも再読。新潮文庫から新しい版が出たため。 ペテロから始まる、神の代理人である法王たちの物語。 時系列に沿って 「最後の十字軍」ピオ2世 「アレッサンドロ6世とサヴォナローラ」アレッサンドロ6世 「剣と十字架」ジュリオ2世 「ローマ・16世紀初頭」レオーネ10世 の4編からなる。 キリスト教徒の頂点に立つ法王と言えばさぞかし徳が高く敬虔な人なのだろうという幻想を打ち砕いてくれる。今はどうか知らないが、ルネサンス期の法王として描かれる彼らの姿はどこまでも人間である。 中でもアレッサンドロ6世とサヴォナローラの対決が読み物として非常に面白い。政治的駆け引きに長けた老人と、信仰を貫くが現実が見えていない修道士という二人の戦い。 ローマとフィレンツェを往復する書簡から窺える両者の立ち位置の違いが印象的。 他の法王3名は美点より欠点が書かれすぎて今ひとつ乗れない。作者の贔屓目かもしれない。
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ルネサンス期の人間的な法王像。ルター時代のイタリア半島とスペインとドイツの関係も描かれていて、興味深い。
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ルネサンス期の4人の法王について書いた小説です。 あくまでの政治的な人間としての法王に焦点を 置いています。 理想をおうと大概、人間は狂信的になるとは 古今東西同じなので、こーゆーふーに良心や聖書や キリストの教えなどへの後ろめたさ(それが原罪かな) がある中で政...
ルネサンス期の4人の法王について書いた小説です。 あくまでの政治的な人間としての法王に焦点を 置いています。 理想をおうと大概、人間は狂信的になるとは 古今東西同じなので、こーゆーふーに良心や聖書や キリストの教えなどへの後ろめたさ(それが原罪かな) がある中で政治的に苦悩したり生き抜く方が人として すばらしいのではないかと思います。 最初から理想がないのは問題外ですが。
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神の代理人=法王。ルネサンス末期のアレッサンドロ6世からジュリオ2世、レオーネ10世と3代の法王を綴った物語。軍事力を持たない法王庁が、ヴェネツィアやフィレンツェなどのイタリア各国やフランス、スペイン、ドイツの列強との政治的な駆け引きを宗教力を利用して行う様子が特に面白い。
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ルネサンス期の4人の法王に焦点をあてた作品。 宗教家でありながら、政治家であることも求められる法王という立場の複雑さが、4人の全く違っていた理想へのベクトルの違いから際立たせている。 とはいえ、やはり一番面白かったのは、チェーザレ・ボルジアの父親、アレッサンドロ6世の話だ。...
ルネサンス期の4人の法王に焦点をあてた作品。 宗教家でありながら、政治家であることも求められる法王という立場の複雑さが、4人の全く違っていた理想へのベクトルの違いから際立たせている。 とはいえ、やはり一番面白かったのは、チェーザレ・ボルジアの父親、アレッサンドロ6世の話だ。他の三人が在位中に何をして、何ができなかったのかということに論点をおいているが、アレッサンドロ6世の場合当時フィレンチェで絶対的な勢力をもっていた修道士、サヴォナローナとの対決だけに絞られている。しかしながら、この対決こそが法王という立場の絶対さや、同じだけあるあやうさや、微妙さを象徴し、それを乗り切ったアレッサンドロ6世という人を表現しているといえる。 面白かった。
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ルネサンス期あたりの4人の法王の生き様を描いた作品。 特に免罪符で悪名高きアレッサンドロ6世。 サヴォナローラ事件を通して冷徹老練な政略家として、そして宗教人としての彼の生き方が見事に描かれています。 神の代理人はかくも狂信とはほど遠い。
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