モンティニーの狼男爵 の商品レビュー
フランス革命の前兆も風の噂程度に、狼を害獣扱いし、小さな権力や金勘定など目先の生活にいそしむ平凡な人達が暮らす田舎町。 主人公は冴えない貧乏貴族。冴えない奥さんとの金銭結婚。思いがけない恋とささやかな幸せも束の間、現れる間男。使用人からもコケにされ、自尊心を失ってゆく男爵の身に起...
フランス革命の前兆も風の噂程度に、狼を害獣扱いし、小さな権力や金勘定など目先の生活にいそしむ平凡な人達が暮らす田舎町。 主人公は冴えない貧乏貴族。冴えない奥さんとの金銭結婚。思いがけない恋とささやかな幸せも束の間、現れる間男。使用人からもコケにされ、自尊心を失ってゆく男爵の身に起こるある出来事とは? 18世紀のフランスと聞いてイメージする煌びやかさとは裏腹に、パリから離れた片田舎で営まれる生活と人間関係はリアルでしみったれていて滑稽。共感する所多い。 それと対照的なのが、夜の静けさや雷や野生動物、それらと言葉を交わすことなく呼応しあう、周りの人間と上手く関わり合えない男爵。そして子ども達の描写。 自然と人間、神話と現実の境界が曖昧な時代だからこそ描ける、リアルな生活感をもったファンタジー。 そんな世界観をベースにした恋愛小説です。 お話の流れに大きな起伏はないけど文章が美しいのでとりあえず展開とか気にせずゆ〜っくり読みたい。名画を鑑賞するように読みたい。そこにユーモアがしれっとした顔して紛れ込んでる所が、好き、、 注釈もなしに小難しい単語をポンポン投げてくるドS?でお馴染みの作家さんですが、その点こちらの作品はやさしい方。 読み終えたあと表紙を撫でて抱き締めたくるようなあたたかいお話でした。 あと、あとがきの、文学における狼と人間の関係性について書かれた「狼男文学」考察が面白かった。
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おとぎ話としては落ちまでが長く、スジがしつこい。 ことばや文調は素晴らしいのに、自分としては物足りなかった。
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狼になってからが最高に面白い! それまでが、まあいつもだいたいそうなんだけれど若干長いかな。 それでも最後はやっぱり満足できる。
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この本を評価できるだけの知識と経験を私は持ちません・・・。 きっとこういう本が何度も読みかえしたくなる本なのですね、登場人物たちは当たり前にそこにいて、生活があってドラマはあったような気もするし「特になし」と記してもよさそうな気がする。 田舎の男爵様は気が小さくて気難しくて器用で...
この本を評価できるだけの知識と経験を私は持ちません・・・。 きっとこういう本が何度も読みかえしたくなる本なのですね、登場人物たちは当たり前にそこにいて、生活があってドラマはあったような気もするし「特になし」と記してもよさそうな気がする。 田舎の男爵様は気が小さくて気難しくて器用でなくて優しいひと。狼ならば腹もたちません。かわいいね、男爵様。 日本人が描いたフランス文学というのでしょうか、翻訳本を読んでいるのとは全く違う言葉の吸収しやすさと遊び心と高尚さにうっとりしました。 しかし人に薦めるのは難しいなあ、面白いんだけどなあ。ここが!とハッキリ言えない。その穏やかな幻想性がいいの。夢みたい。
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佐藤亜紀の本は「バルタザールの遍歴」以来、久しぶりになった。 相変わらずの硬質な文章はまるで洋書を読んでいるようで、それでいてファンタジーしてるところがうまい具合にバランスが取れているなあと感じる。 シャイな田舎貴族の恋愛小説だが、後半の主人公の変貌にはびっくりした。なんか正直な...
佐藤亜紀の本は「バルタザールの遍歴」以来、久しぶりになった。 相変わらずの硬質な文章はまるで洋書を読んでいるようで、それでいてファンタジーしてるところがうまい具合にバランスが取れているなあと感じる。 シャイな田舎貴族の恋愛小説だが、後半の主人公の変貌にはびっくりした。なんか正直なタイトルだな、と。
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翻訳物を読むような雰囲気。 Ⅰ モンティニーの男爵が奥方を迎えたこと Ⅱ 男爵が奥方の裏切りを予感すること Ⅲ <狐>が奥方の愛を得たこと Ⅳ <狼>がモンティニーを追放されたこと Ⅴ 大団円。または、良い人は幸せに、悪い人は不幸せに終わったこと。 貴族はつらいよ、みたいな。 ...
翻訳物を読むような雰囲気。 Ⅰ モンティニーの男爵が奥方を迎えたこと Ⅱ 男爵が奥方の裏切りを予感すること Ⅲ <狐>が奥方の愛を得たこと Ⅳ <狼>がモンティニーを追放されたこと Ⅴ 大団円。または、良い人は幸せに、悪い人は不幸せに終わったこと。 貴族はつらいよ、みたいな。 語り手はラウール・ド・モンティニー。 マイイという湯治場の近くにある村と、同じ名前の男爵。 18世紀フランスの話で、革命前…なかなか、いい雰囲気です。 放蕩者の父はパリへ出奔、田舎に残された母が内気な息子を守り育てていたが、10歳の頃に母もなくなってしまう。 一人で百科全書を読み上げたりして成長していく。 森の奥深くまで入って遊び、密猟者と友達つきあいをしたり。 狩猟だけはかなり得意だった。 父の弟である叔父は神父だが、オシャレで、かなり放蕩者。 1977年、至急の呼び出しでパリに行くと、縁談が整えられていた。 ドニーズは美人というほどではないが、15万リーブルの年金という大変な持参金があった。 彼女の婚約が破談になったために、急遽ラウールに花婿役が回ってきたのだったが。 ドニーズをかなり好きになったラウールだが、ドニーズのほうは礼儀正しく優しいが愛情というほどのものは見せない事に次第に気づかされる。 逆上したドニーズに「あなたの子供なんか欲しくない」とまで言われる始末…これには、ラウール自身も気づいていなかった、ある理由もあったのだが? 小綺麗別荘に住むブリザック夫人という中年の魅力的な女性に出会い、父や叔父とも関係があったのではと感じるラウール。 ブリザック夫人の愛人らしき美青年ギヨーム・ルナルダンに、ドニーズが恋してしまうのだ… 章タイトルどおり、後味のいい結末。
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結構前に読んだのにレビュー書くの忘れてた。。 佐藤亜紀はとっつきにくいけど、そのとっつきにくさが好き。 「バルタザールの遍歴」も夢に出てくるほどよかったけど、これも佐藤亜紀らしくてよかった。 純愛ってらしくないって思ったんだけど(笑) 確かに佐藤亜紀だった。 なんというか切な...
結構前に読んだのにレビュー書くの忘れてた。。 佐藤亜紀はとっつきにくいけど、そのとっつきにくさが好き。 「バルタザールの遍歴」も夢に出てくるほどよかったけど、これも佐藤亜紀らしくてよかった。 純愛ってらしくないって思ったんだけど(笑) 確かに佐藤亜紀だった。 なんというか切ないんだけど、童話みたいでもある。 あ〜読了後すぐに感想書けばもっと気の効いたことが書けた、かも、しれないのに…
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佐藤亜紀2冊目。 『バルタザールの遍歴』と趣を異にするけど、これも間違いなく傑作。 主人公の男爵は、愛する妻への猜疑心と自分への不甲斐なさから、あるとき狼に変身する能力を手に入れてしまう。 かといって、そのまま恋敵を食い殺すわけでも妻に復讐するわけでもなく、ただ狼の姿のまま野山...
佐藤亜紀2冊目。 『バルタザールの遍歴』と趣を異にするけど、これも間違いなく傑作。 主人公の男爵は、愛する妻への猜疑心と自分への不甲斐なさから、あるとき狼に変身する能力を手に入れてしまう。 かといって、そのまま恋敵を食い殺すわけでも妻に復讐するわけでもなく、ただ狼の姿のまま野山を走り回って憂さを晴らすだけ。 ところがある日、恋敵の策にまんまと嵌って捕えられてしまい・・・ これは極上のファンタジーであり恋愛小説です。 まるで海外作品を和訳したような文体が雰囲気を盛り上げる。 本を読むというのは、物語を追うだけじゃなくて文章を楽しみ表現に酔うものだと教えてくれる。 ここまでくると「小説」じゃなくて「文学」だ。 本に向き合いたい時にもってこいの一冊。
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決して美男美女ではないカップルの、可愛らしくて不器用なお話。 みんな狼がラウールだと、すぐ気づいてしまいのが可笑しくて素敵です。 時間をおいて、何度でも読みたいストーリー。
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