反在士の指環 の商品レビュー
これまで未収録だった…
これまで未収録だった作品をボーナストラックとした『反在士の鏡』の再刊。SF好きなら絶対読め!
文庫OFF
本作は、ずっと前にハヤカワ文庫JAから出された『反在士の鏡』(SFマガジン掲載)の加筆版である。 全体としては『鏡の国のアリス』オマージュ作品だが、ともかく格好いい。 SFであり、ハードボイルドである。 なので、最初に『反在士の鏡』を読んだ時にはとても興奮したものだった。 これは...
本作は、ずっと前にハヤカワ文庫JAから出された『反在士の鏡』(SFマガジン掲載)の加筆版である。 全体としては『鏡の国のアリス』オマージュ作品だが、ともかく格好いい。 SFであり、ハードボイルドである。 なので、最初に『反在士の鏡』を読んだ時にはとても興奮したものだった。 これはデュアル文庫から出るにあたっての加筆であり、いうなれば続編がプラスされているようなもの……なのだが、ううん。 その分、作品世界には深みが増し、虚人、鏡人入り乱れて、ハードボイルドというより、ワイドスクリーンバロックに近くなっているのではないか、という気がしなくもない。 まあ、印象ですが。 そして、ラストについてはなんかもやもや感が残る。 しかし、主人公の名前がポーン(歩)であることから、当然それは鏡の国を冒険したアリスと同様、盤の向こう端に到達して、キングになる(将棋でいえば成金)、となる事が期待される。 まさに、このラストで、ポーンはキングになっているわけだ。 ホワイトキングの正体(らしきもの)を考えた時、それはとても意味深いものでもある。 そのように考えていくと、非常に面白く、興味深いものなのだが、しかし、単純に読んだ時、 カースルはどうなったのか、 カースルの人々はどうなったのか、 テルミの存在の意味は、 などなど、細部にもやもや感がどうしても残る。
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