凍りついた香り の商品レビュー
調香師の恋人が初めて…
調香師の恋人が初めて私のために作った香水、「記憶の泉」を贈ってくれた次の日に自殺した。このようにはじまるこのお話は多くの謎を含んで、展開していきます。プラハという町と、日本と、過去を行き来してだんだん溶けていく謎。静寂に満ちた、小川さんの文章がまたこのお話の素敵さを増しているよう...
調香師の恋人が初めて私のために作った香水、「記憶の泉」を贈ってくれた次の日に自殺した。このようにはじまるこのお話は多くの謎を含んで、展開していきます。プラハという町と、日本と、過去を行き来してだんだん溶けていく謎。静寂に満ちた、小川さんの文章がまたこのお話の素敵さを増しているように思います。
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恋人の死・・そこへ辿…
恋人の死・・そこへ辿り着くまでの彼の生きた証を追う女性の物語。彼の残したキーワードに引き寄せられるように導かれてゆきます。スケート場で、彼の生まれ育った場所で、そしてプラハで、愛する人の記憶を共有することで、その死を受け入れていく過酷で切ない旅路です。 霧のかかったような美しい小...
恋人の死・・そこへ辿り着くまでの彼の生きた証を追う女性の物語。彼の残したキーワードに引き寄せられるように導かれてゆきます。スケート場で、彼の生まれ育った場所で、そしてプラハで、愛する人の記憶を共有することで、その死を受け入れていく過酷で切ない旅路です。 霧のかかったような美しい小川ワールドに惹き込まれます・・
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この小説には数式が出…
この小説には数式が出てきます。「博士の愛した数式」の母体かな、と思いました。
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プラハを舞台に繰り広…
プラハを舞台に繰り広げられる「香り」を題材にした長編。静謐で透明な中に薄っすらと芳香が漂っている、そんな世界観です。
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夢の中にいるような感…
夢の中にいるような感覚で読み進んだ本。少し怖い感じもあった。
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涼子の恋人、香水の調香師弘之が自殺した。なぜ?彼の全く知らなかった一面が次々と明らかになっていく。涼子は弘之の面影を求めて迷宮の街プラハへ。 弘之の過去と涼子の今が重なり、弘之が残した『匂いのイメージの言葉』と出会う。 弘之の死の原因は解らない、ただ生きにくい人だったことはわかる...
涼子の恋人、香水の調香師弘之が自殺した。なぜ?彼の全く知らなかった一面が次々と明らかになっていく。涼子は弘之の面影を求めて迷宮の街プラハへ。 弘之の過去と涼子の今が重なり、弘之が残した『匂いのイメージの言葉』と出会う。 弘之の死の原因は解らない、ただ生きにくい人だったことはわかる。 涼子は弘之の過去を訪ねることで、救われたのだろうか。 臭覚で感じる香りを言葉で表現する。それを読者が香りとして感じるには、言葉が示す香りをイメージできなければならない。言葉から臭覚を呼び起こそうとし、知ってる何かに当てはめようとする。 言葉で五感を刺激し、言葉で静寂を感じる小川洋子さんの世界、好きだなぁ。
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何が面白かったかとか、 どこが良かったのかとか、 言葉にするのはとても難しいけど、 読んでいてただただ心地良かったです。 敢えて言うなら文章が心地良い。言葉選びとかリズムが好きです。 最愛の人を突然失った女性のお話。 調香師の彼からオリジナルの香水をプレゼントされた翌日に彼は自殺… それだけでもかなりの喪失感なのに、彼が死んでから彼に関する新事実がどんどん明らかになっていくので、物理的にそばに居ないという喪失感に加えて心の中にあった彼がどんどん崩れていく様な精神的な喪失感が積み重なっていきます。 彼が死んで"私の中の彼"を大事に手で包んでそれを拠り所に自分を支えたいのに、どんどん指の間からこぼれてしまって気付いたら手の中には最後にもらった香水しか残っていなかった…そんな感じ。 ルーキーの自殺の原因が結局分からないこともそうだけど、これだけの存在感がありながらルーキーの「人となり」というか「本質」というかルーキーという人が最後まで掴めません。周りにいる人はみんなルーキーに吸い寄せられるように惹かれながら、ルーキーを理解していた人はいなかったんでしょうねきっと。 香りって本当に過去の記憶を呼び起こします。 安心するにおい。 元気になるにおい。 泣きそうになるにおい。 良いにおいとはちょっと違う、自分だけの好きなにおい。
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亡くなった恋人の軌跡を辿る旅に出る主人公の話。 全体的な雰囲気は暗く美しいと感じました。香りは記憶を呼び覚ますと聞いたことがあるのでルーキーの自死は決めてからは主人公に忘れないでほしいと願い記憶の泉として送ったのかなと感じました。 母が精神疾患患っていることもあり遺伝的な要素は少...
亡くなった恋人の軌跡を辿る旅に出る主人公の話。 全体的な雰囲気は暗く美しいと感じました。香りは記憶を呼び覚ますと聞いたことがあるのでルーキーの自死は決めてからは主人公に忘れないでほしいと願い記憶の泉として送ったのかなと感じました。 母が精神疾患患っていることもあり遺伝的な要素は少なからず受け継いでるルーキーは分類癖や数学の突出した才能などもあることから診断されるだろう障害的をもってそうだなと思いました。 それは世間からは表彰される内容だったり周りは喜ぶところなのでしょうが、当の本人は申し訳なさそうにしているところから主人公しかわからない苦しは計り知れないな、と。 主人公は知れば知るほど新事実が出てきて少なからずショックうけても良さそうだけど、納得いくまで行動して結果を静かに受け止めてて意味凄いなと感じました。得るものはあったのかな。とは思いますけど。 アキラはどうしてあんな優秀な兄弟いるのに捻くれてないんだろう。アキラは強いなと思いました。
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とても静かな最後になって、この作品にふさわしい終わり方をしたなと思う まだ悲しさと静けさが漂っているかのような不思議な感覚が無くならない 結局ルーキーがなぜ自殺したのか、履歴書に嘘を書いたのか、関わった全ての人に異なった情報を与え続けたのか、答えは分からなかった。 ただ目の前に彼が息をして言葉を操って確かに存在していたことだけが事実、死んでしまった人の事で新しくわかることなんてそうそうないし真実は分からないことの具現化みたいな小説だったな 今現実に起こっていること、目に見えているもの、それだけがリアルでそれだけが思い出になる 死んでしまって過ぎた過去の中で生きていた人間はもう「記憶」の中にしか存在しないものになってしまう、それ以上でもそれ以下でもない ただ、今までが嘘みたいに " そうであった、そうだったと思う、きっとそうだった " に変わってゆくだけなんだろうなと思った 記憶は書き換えられていくし人によって濃度も記憶する種類も異なる、一度過去になってしまったら最後 突然薄っぺらい写真のように紙のように平面になるだけ、それが記憶 人は死んだら最後、なにも残らず更新されずその瞬間で全ての時が止まるのだと改めて実感した 周りの人間しかり、死んだ人間しかり ただそこにはちゃんと一人の人生があって思いがあって記憶がある、生活があった環境があった好きなことがあった その全てが文字通り「凍りついた」ものになるの興味深かったな いつか私もそうなるんだし 人間、人生、不条理、冷淡、事実、って感じだった 私はこれから、これを超える作品に出会えるかな
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主人公の夫が序盤から自殺してしまうが、亡くなった夫に対する悲しみや愛がひしひしと伝わる。読み進めていくうち胸が締め付けられる。さすが小川洋子さん!といった作品だと思う。
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