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凍りついた香り の商品レビュー

3.7

103件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

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2016/09/25

よく知っていると思っていた恋人のことを、実は何も知らなかったと知ることは、どれだけ悲しいことだろうか

Posted byブクログ

2016/08/16

調香師の彼が自殺。その彼の弟を通じて、あるいはその彼が高校時代に数学日本代表として訪れた外国をめぐる、不思議な物語。

Posted byブクログ

2016/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「あらかじめ用意された間違いを犯すために、身代わりになった。」 「『どっちだって、大して変わりないさ。僕が行く場所はもう決まっているんだから。誰かが決めてくれているんだ。僕が生まれるずっと前にね』」 ルーキーは、“正しい答え”が見つけられない事柄に対して、“分類”ができなかった。「僕が行く場所」、つまりいつか死ぬことは、「あらかじめ用意」されていて、「もう決まっている」ことであって、ルーキーはそれをきっと“正しい答え”としたのだろう。こうやって死の動機をたった一つの“答え”として考えるのは恐らくこの小説の本意ではないのだろうが、そう感じた。 きっとルーキーの「香り」は涼子や彰や母親の中で凍りついていて、もう溶けない。

Posted byブクログ

2016/06/25

久しぶりに小川洋子さんの作品を読んだ。 静かで神秘的な世界観。読み終わりたくない感じ。 登場人物は個性的で情熱的なのに、冷ややかで人を寄せつけない。 夢なのか現実なのか分からなくなる。

Posted byブクログ

2016/06/18

今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の体で一番温かい場所に触れた・・。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数字の問題・・・いくつかのキーワードから死者を...

今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の体で一番温かい場所に触れた・・。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数字の問題・・・いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。 今回も小川洋子ワールド炸裂の本を読んでしまった。途切れることのない空気と香り。おだやかな人、激しい人。夢の中なのか現実なのかあいまいな人。 面白かったです!ルーキーも彰も、こういう人大好き。

Posted byブクログ

2016/06/15

やはり、小川洋子さんの小説は、独特な世界観だ。 現実を生きる人たちの物語なのに、どこか現実感が欠けているというか、童話めいているというか。 職場で突然自殺をしてしまった調香師の弘之。“ルーキー”と呼ばれ皆から親しまれていた彼の恋人・涼子は、弘之がなぜ死んでしまったのか、過去を辿...

やはり、小川洋子さんの小説は、独特な世界観だ。 現実を生きる人たちの物語なのに、どこか現実感が欠けているというか、童話めいているというか。 職場で突然自殺をしてしまった調香師の弘之。“ルーキー”と呼ばれ皆から親しまれていた彼の恋人・涼子は、弘之がなぜ死んでしまったのか、過去を辿りながら理由を探し始める。 弘之の弟・彰と風変わりな母親との短期間の共同生活、そしてプラハでの出来事。 孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。 大筋はミステリ風だけど、結果的にはっきりと謎が解けるわけではなくて、終始ふわふわとした雰囲気。 そして静けさ。小川洋子さんの小説は、どれを読んでも静けさがある。 主人公が感情を荒立てることがなくて、どこか客観的だからだろうか。 読んでいて言い知れぬ悲しさを感じるのだけど、その静けさがとても心地好い。 エンタメ小説ではないし、ここが面白い!とも言えない種類の小説だけれども、この雰囲気にはまる人は小川洋子さんの小説を全部読んでみたいと思うはず。 私もその一人で、徐々に読んでいってる最中。 物語の中心はルーキー(弘之)なのに、彼はもう死んでいて、回想や過去の中にしか生きていない。 それなのに周りの人間たちは皆ルーキーに囚われたままで、彼の突拍子のなさや天才的なところに、いつまで経っても振り回され続けている。 人間は多面的で、“私の知らないあなた”や“あなたの知らない私”が絶対にある。どの部分が表でどの部分が裏とかではない。全部本物のその人だけど、相手によって見せる面が違うのは自然なことだ。 どれだけ親しく、近しくなっても、きっとそれは変わらない。未知な部分があるからこそ、人は人に惹かれる。 そんなことを思いながら、静かに読み終え、本を閉じた。 最後まで、静けさに満ちた小説でした。

Posted byブクログ

2016/05/31

なぜ恋人は突然自殺したのか?その動機を明らかにするため過去を調べていく。 自分に話していたことは全て嘘であることがわかり、知らなかった顔が次々と見えてくる。 それを淡々と受け止め、心の奥を理解しようとする主人公。恋人を失った女性としてはあまりにも冷静で現実味のない対応なのと、突然...

なぜ恋人は突然自殺したのか?その動機を明らかにするため過去を調べていく。 自分に話していたことは全て嘘であることがわかり、知らなかった顔が次々と見えてくる。 それを淡々と受け止め、心の奥を理解しようとする主人公。恋人を失った女性としてはあまりにも冷静で現実味のない対応なのと、突然ファンタジックな展開になるので最終的にどう受け止めて良いのか困る。

Posted byブクログ

2016/01/22

何の前触れもなく、突然エタノールを飲んで自殺してしまった、調香師の恋人の隠されていた過去が明らかになっていく。 特殊な職業、言葉数の少ない恋人、スケート、孔雀、そして数学と、小川洋子の要素たっぷりでストーリーが進行する。そしてネタばれと言われたところで、結局は解決も進展もしない...

何の前触れもなく、突然エタノールを飲んで自殺してしまった、調香師の恋人の隠されていた過去が明らかになっていく。 特殊な職業、言葉数の少ない恋人、スケート、孔雀、そして数学と、小川洋子の要素たっぷりでストーリーが進行する。そしてネタばれと言われたところで、結局は解決も進展もしない。あえて言うのなら、最終的に得られたものは「洞察」と「記憶」になるんだろうなあ。 全体に、小川洋子にしては突っ込んでいる部分が少なく、お得意の数学の部分で具体的に出てくるのは1問だけ、それも割と浅めのものだ。また、過去の"弘行"が、死者とはいえ、美しすぎて人間らしさが全くないので、いまいち。 過去のストーリーと同時に進行する"現在"のチェコの部分も、完全に消化されていない。孔雀をワイルドカードにされてしまったのもちょっと不満。 とりあえず、お得意といえば、阪神タイガースでも何処かで絡めたら、もうちょっと肉がついたストーリーになったんじゃないでしょうか。 最後に、弘行がスケートの羽生選手以外イメージできなくてね。うん。

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2015/07/29

亡くなった恋人の調香士・弘之の過去を辿る涼子。 天才数学少年、フィギュアスケートの曲芸、乗り物恐怖症なのにチェコに行ったこたがあるという真実。 演劇部顧問、チェロ演奏の特技は嘘。 チェコを旅して、いろんな嘘と真実が一つ一つ繋がっていく。 「凍りついた香り」ってタイトルがぴったりな...

亡くなった恋人の調香士・弘之の過去を辿る涼子。 天才数学少年、フィギュアスケートの曲芸、乗り物恐怖症なのにチェコに行ったこたがあるという真実。 演劇部顧問、チェロ演奏の特技は嘘。 チェコを旅して、いろんな嘘と真実が一つ一つ繋がっていく。 「凍りついた香り」ってタイトルがぴったりな話だった。

Posted byブクログ

2015/06/17

全体的に冷ややかな雰囲気が流れている。しかし弘之の周りの人々の温かさがじんわりと伝わってくる。結局、孔雀の番人とは何だったのだろう。香りで記憶を結びつける。

Posted byブクログ