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ロンドン(上) の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2022/08/14

現在ロンドンと呼ばれているあの街に生きた人びとを実際の歴史や歴史に名を残している人々も絡めながら描いた約2000年の物語。最初の章で出てきた少年から血を繋いだ人びと(全ての家族史が残っているわけではないので登場人物が過去の事を全て知っているわけではない)がその時代時代で 歴史に翻...

現在ロンドンと呼ばれているあの街に生きた人びとを実際の歴史や歴史に名を残している人々も絡めながら描いた約2000年の物語。最初の章で出てきた少年から血を繋いだ人びと(全ての家族史が残っているわけではないので登場人物が過去の事を全て知っているわけではない)がその時代時代で 歴史に翻弄され、生きる為や信念を貫く為に悩み苦しみ喜び生き抜いていく。血筋としては7本あり、それがまた枝分かれしていったり交わったりしていくその様子がこの作品を「物語」として読みやすくしている。(現実を考えれば2000年もの歴史が血筋のものだけで進むわけはない。限られた血筋の話とする事で物語性が高まっているので、歴史物としてではなく、「物語」としてこちらは読める)。だが、そこそこに描かれている街の様子、日常風景、景観、小道具、政治の話、宗教の話そうしたものがその時代を読者に伝え、ある意味では歴史小説でもある。各章でメインとなるキャラは変化していくものの、数章に渡って 登場し、子供時代から死ぬまでを読み通せるキャラもいるのもまた面白い。成り上がったものもいるし、落ちぶれたものもいるし、悲喜こもごも人生はテムズの傍で淡々とながれていく。 高校レベルの世界史の知識があると面白さが格段に上がる。多分イギリスの人々は私が読むよりずっと面白く読むのだろう。 歴史的転換期にあたる出来事では描き方が手厚いので、1600年代のページ数はなかなかに圧巻だし、ロンドン塔を中心とした章のドラマ性の高い部分もとてもワクワクした。1750年以降人口も増え、背景の説明として貿易や金融の話が増えていった為文章は同じなのになんというか人口密度のゴミゴミした感がこちらにも伝わって不思議だった。何もなくて広い野が広がっていた場所が人間ばかりになり読んでるこちらも何故かせせこましい気持ちになるというか。だけどずっとこの場所に生きている人間たちの生活の営みが切間なく続いていくその流れに、読んでるこちらも生きるってそういう事なんだろうと思わずにおれなかった。 長い小説だけれど実に心が広がっていく爽やかな読後感だった。

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2021/03/07

やっと読み終わったー! 残念ながら前提知識として必要なものがとても多い。 ロンドンに住んでいる、あるいはイギリス人ならとても面白いだろう。 ・カトリック ・プロテスタント ・ある程度の歴史的知識 もちろん腰を据えてじっくりと世界史と首っ引きしながら読んでも十分面白いと思う。

Posted byブクログ

2015/03/02

僕が人生の中で最もワクワクした最も大切な本の一つです。 この本で物語を読むの愉しみ、歴史を知る愉しみ、違う場所を探検する愉しみそれら全てを味わえることができます。 この物語は、ユリウス・カエサルがブリタニアに侵攻して起源前55年頃から現代に至るまでの約2000年にわたりロンドン...

僕が人生の中で最もワクワクした最も大切な本の一つです。 この本で物語を読むの愉しみ、歴史を知る愉しみ、違う場所を探検する愉しみそれら全てを味わえることができます。 この物語は、ユリウス・カエサルがブリタニアに侵攻して起源前55年頃から現代に至るまでの約2000年にわたりロンドンに住む人々の物語を描いた本です。 名もなき人たちが時に、戦士になり、職人になり、商人になり、貴族になったりしながら、ロンドンという街を舞台にした喜悲劇を繰り広げるというものです。歴史に実在する人物が時々登場するところもとても楽しい瞬間です。 ショートストーリーで登場人物が微妙にシンクロしながら進んでいく物語がありますが、さらにそれに時間軸を加えたように重層的なストーリーになっています。 百人以上の登場人物が様々な時代でシンクロしながら関わりあうこんなストーリーを考え出せた作者の頭脳はどうなっているのでしょうか。 また、この過去から未来へロンドンの路地や通りに入り込み歩き回ることができるのです。 そして、ロンドンという街が遠い私たちの国にも多大な影響を与えているすごいものをたくさん知ることができます。 あの世界最大の保険組合「ロイズ」が最初はコーヒーハウスだっだなんてことも… 今のコーヒー屋もそのうち思ってもいないような何かになるかもしれません(笑)

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2013/03/11

久しぶりに持ち重りのする本である。A5サイズ、上下二分冊、各巻二段組みで500頁をこえる。このクラスの本になると寝転びながら読むのは無理。書見台で読むには厚すぎて頁が押さえきれないから、片手で背を支え、もう一方の手でページを繰るという基本的な読書スタイルが様になる。肘掛け椅子に納...

久しぶりに持ち重りのする本である。A5サイズ、上下二分冊、各巻二段組みで500頁をこえる。このクラスの本になると寝転びながら読むのは無理。書見台で読むには厚すぎて頁が押さえきれないから、片手で背を支え、もう一方の手でページを繰るという基本的な読書スタイルが様になる。肘掛け椅子に納まって膝掛けをし、スタンドを引き寄せると後はひたすら読んだ。 紀元前54年、カエサルの指揮するローマ帝国軍の侵攻から始まって1997年の現代に至るまでのロンドンの街に起きた歴史上有名な事件を、10組の家族、150人以上の登場人物の行動で織りなす一大大河ドラマである。リチャード獅子心王やヘンリー八世、エリザベス女王などの王侯貴族は言うに及ばず、ジェフリー・チョーサーやシェイクスピアなどの文人、クロムウェルやトマス・モアなど、イギリスの歴史に名を残す有名人が総出演するという豪華な顔触れに、何はともあれ、イギリス好き、歴史好きの人なら巻を措く能わずという勢いで読みふけること請け合いである。 狂言回しをつとめるのは前髪に一房の白髪が混じり、指の間に水掻きを持つという遺伝的特徴を持つダゲットの一族だが、歴史の大海の中で浮き沈みを繰り返す何組かの家族が、互いに縁を切ったり結んだりしながら2000年という時代を生き抜いていく。農奴から伯爵、ヴァイキングの子孫からユグノー教徒まで、階級も人種も宗教も異なる人々が、ロンドンという街を舞台に陰謀をたくらみ、裏切りにあい、使命感に燃え、王のため、信じる神のため、そして愛する人のために、ある時は大火の中をまた砲弾の嵐の中を懸命に生きていく。 漠然とアングロ・サクソンの国だと思い込んでいたイギリスだが、二千年の長きに及ぶ物語を読み終えて感じるのは、国家とか人種とかいうものの出自の出鱈目さである。変わらないのはテムズの流れと、大河のごとくすべての人種や宗教を呑み込んでしまうロンドンという土地のみ。そして、その土地に流れ込んでくる人間の、ある者は金を、またある者は家柄を頼みにするという違いはあれ、誰もが生きるということを疑わず、そのために悪戦苦闘する姿。なるほど、イギリス人というのは人間好きであるわい、とあらためて思った。 文章は平易で読み易く訳文もよくこなれている。厖大な登場人物も、各一族にはそれぞれ特徴的な性格づけがなされているので、感情移入もスムーズに行える。歴史的なエピソードにも工夫が凝らされていて飽きさせない。いうならば、大人が本を読む楽しみを知っている国の読み物である。傍らの小卓子にお気に入りの飲み物を用意し、暖炉はなくともストーブの一つも近くに置き、冬の夜のつれづれを慰めるにはもってこいの一冊。(下巻も含む)

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2011/12/01

古代~中世(か?)のロンドンと、いくつかの一族の話。 2段組の文章でこれだけ分厚いのに、上巻はまだまだ導入部って感じです。だんだんと、人と自然の描写から人々と街の描写に移っていきます。 これから大英帝国の首都となっていくときにどう書かれるのか、下巻が楽しみ。

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2010/09/27

読み進んでいくと、登場人物の子孫が次々(遺伝を引き継いで)登場する。大きなクライマックスはないが、ロンドンを面白く描いた作品だと思った。

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2010/03/26

上巻は、古代からペストが流行った時期まで。 連綿と続く血筋を辿る話です。 レオフリック、バーニクル、シルバースリーヴス、ダケット。 ある時代では敵同士でも、何世代もあとには再び交わる。 運命って不思議なものですね。

Posted byブクログ

2009/10/04

こんなに上質の小説には一生にそう何度も出会えるもんじゃないと思えるほどの作品。家系図って夢が膨らむなぁ。

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