セメント・ガーデン の商品レビュー
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語り手の僕の気持ちがあまり起伏が激しくないのか、単に描写が私には響かなかったのか、あまり感情移入できずに終わってしまった。死体遺棄、と文字にすると、もっとショッキングな何かがあるのかと思ったけど、それもなく。近親相姦という部分ばかりクローズアップされてるようだが、その部分はかなりあっさりしてるし、それすらもそれぞれの気持ちがふんわりしてて希薄な状態のまま流れで…って感じで拍子抜け。ただ、夏の息苦しい暑さの描写は非常に良かった。
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カミさんが新海誠の作品を見て、なんやねんこのシスコンだかマザコンだか、キモいーって言ってたわけだが、今作品も、まぁシスコンという意味ではキモいのかもしれん。 だがちょっとまって欲しい。今作品は、新海誠ではなくて芸術作品なのである。そんじょそこらのシスコンではなく、思春期だからナニ...
カミさんが新海誠の作品を見て、なんやねんこのシスコンだかマザコンだか、キモいーって言ってたわけだが、今作品も、まぁシスコンという意味ではキモいのかもしれん。 だがちょっとまって欲しい。今作品は、新海誠ではなくて芸術作品なのである。そんじょそこらのシスコンではなく、思春期だからナニーを覚えてもう止まらんわーってなってしまって、キレイなお姉さんに触られてはトイレに駆け込み、最終的にはやることやってしまっても、それでも一段上なのである。そんなにホイホイキレイなお姉さんは見つからないし、夢見てんじゃねーよ、ってなるけど、ロマンだからね。イギリス人にも分かってもらえて良かった。
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まずこんな作家だったけ?という思いが先に来るが、何しろ一年以上読んでいなかったのだからそれはそうなる。近親相姦が本書のテーマだけれど、直接的に見えてくるものは、デレクの発言に嫌悪感を示すジェリーの言葉からもわかるように、権威的なものから逃れて完璧な自由を得たときに、人が直面する混...
まずこんな作家だったけ?という思いが先に来るが、何しろ一年以上読んでいなかったのだからそれはそうなる。近親相姦が本書のテーマだけれど、直接的に見えてくるものは、デレクの発言に嫌悪感を示すジェリーの言葉からもわかるように、権威的なものから逃れて完璧な自由を得たときに、人が直面する混沌と危険だ。彼らはその後どこへ向かい、何を見つけようとするのだろうか。読後感はあまりよくない。
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いつか読もうと思っていたイアン・マキューアン。タイトルから手にしたこの小説が、奇しくも彼の長編第一作だった。入門にちょうどよかったか。 彼のどの作品だったかを、友人が「非常に不愉快な小説」と断じつつ賛辞を述べていたことが印象的だったが、本書も非常に不愉快かつ魅力的な本だった。 父と母を相次いで亡くし、世間から離れた広大な家に住む4人が大人の目のない子どもだけの世界を造る。うだるような暑さ、荒んでいく家、赤ん坊に退行していく弟、退廃的な姉と弟の関係…。母の遺体を埋めたセメントにヒビが入るのと同じくして、臭気が漂い子どもたちの世界も膿みはじめる。 ああ、疲れた。マキューアン、時間をおいてまた読むと思う。
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桜庭一樹さんの読書日記で紹介されていたマキューアンの長編小説。 死体処理や近親相姦などのちょっとショッキングな内容も含まれていた(死体処理に関してはもっとショッキングなものを読んでいるから全然大丈夫だったけれども)が、子供たちの楽園の誕生と喪失を上手く描いているというか、シンプ...
桜庭一樹さんの読書日記で紹介されていたマキューアンの長編小説。 死体処理や近親相姦などのちょっとショッキングな内容も含まれていた(死体処理に関してはもっとショッキングなものを読んでいるから全然大丈夫だったけれども)が、子供たちの楽園の誕生と喪失を上手く描いているというか、シンプルながらも結構生々しい感じで描いているのがいい。こういう生々しさこそ小説には必要なことだと思う。フィクションであっても。
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死んだ母親をコンクリートに埋めて暮らすきょうだいの、一夏の物語。思っていたより気持ち悪くはないが、当たり前のように異常。
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「マキューアン初の長編」らしいけどそんなに長くない とろとろの濃密な時間をさらりと読む感じ あれみたいだあれ 映画『誰も知らない』 原因は違えど、子供達だけの生活しかも夏 でも、この作品のモデルになった実際の話より、マキューアンの小説のほうが先なんだ へ〜え そしてあの映画よりこの小説のほうがなんだかリアルに感じる 兄弟がバラバラになると仄めかしてあくる日死んじゃった母親を 父親が遺したセメントで埋める 夏休みに入り 街の外れにある彼らの住む大きな屋敷は間もなく 世間の流れからも外れて時間も固まってしまったようになる 解放感と閉塞感が同時進行している感じ 私の好きな、マキューアン独特のものの表現がまだ影を潜めている感じだけれど それでも面白く、一気に読みました 行き着いた先はとっても乾燥していて以外と清潔かもしれない 長女が外界の男友達に放つ「凡人」というセリフが読み手にも放たれたようで 何が正しいんだかようわからんくなる それにしてもこの作品 なんとシャルロットゲンズブール主演で映画化されておる しかも邦題の副題が『ルナティック・ラブ/禁断の姉弟』となっている デパートの迷子のアナウンスかなんかで読んでもらいたいタイトルです
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近親相姦。 コクトーの「恐るべき子供たち」を思いだしました。最も、こっちの方が現代エグイ版だけど。。 マキューアンは変態だーー面白いから読んでしまうけども。
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近親相姦がテーマという問題作。問題作なだけに劇場公開されていないというシャーロット・ゲンスブールがやったというこの小説の幻の映画化バージョンが気になる。小説に関しては、しかし、マキューアンは初期より最近の方がうんと面白くなってきていると思う。
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マキューアンらしさはもうかなり出ているとはいえ、やはり若書き。近親相姦的な気味の悪さばかりが感じられてしまう。
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