日本人の魂の原郷 沖縄久高島 の商品レビュー
集英社新書 比嘉康雄 「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」久高島の祭祀に 原日本人の精神文化の原像を見出した本 女性は生まれながら霊的な力を持ち男性を守護するという「おなり神」信仰を中心として、神職者組織が作られ祭祀が行われている 琉球王朝の祭政政策として 組織的な祭祀が...
集英社新書 比嘉康雄 「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」久高島の祭祀に 原日本人の精神文化の原像を見出した本 女性は生まれながら霊的な力を持ち男性を守護するという「おなり神」信仰を中心として、神職者組織が作られ祭祀が行われている 琉球王朝の祭政政策として 組織的な祭祀が始まった点、祟りをする混沌霊が存在している点 から考えると、死の不安を解消し、王権秩序を守るために神話と祭祀があるように思う アマミヤ(女神)とシラミキヨ(男神)による島創り神話 兄と妹による人創り神話 久高島の死生観 人間存在のもとになる魂という不滅の霊魂〜人は死ぬが肉体が消滅するだけで、死者は形を変えて存在する 久高島の他界観 始原への回帰の思想〜生まれたところに還る、民族の原郷に還る ニライ 海の彼方の他界 ニラーハラー 不滅の魂が帰る場所、再生する場所 遠いはるか彼方にある始原の地 ティンユタ(シャーマン) 混沌霊を司る神職者 悪霊除け、祟り解除 太陽、月、海の自然神だけでなく、カマドの火神や便所の神といった生活神も存在する。健康に生きる感謝を捧げる対象を神としているように感じる
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久高島の祭祀の話が、写真とともに。いろいろなくなり始めていると書かれているが、この本自体だいぶ昔の本なので、今はどうなっているか…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館の本 読了 内容(「BOOK」データベースより) 沖縄本島の東の海上に浮かぶ小さな島―久高島に琉球王朝よりはるか昔、古代人の心情から生まれ、「母神」を守護神とみる祭祀の形があった。それは、ノロをはじめとする女性神職者たちによって担われ、今日まで継承されてきている。12年に一度の大祭「イザイホー」、海の神が鎮まる海岸で豊漁を祈り草束を振るう神女や、海の彼方にある魂の原郷ニラーハラーの神となって登場する神女の威厳に満ちた姿が、かずかずの祭祀を彩っている。30年近くも琉球弧の祭祀を追いつづけてきた著者が、久高島祭祀の多層なシーンをカメラとペンで記録した。30余枚の写真とともに、古代人の鎮魂のありようを伝える貴重な1冊。 沖縄に研修旅行で行くことになり、1日オフ日になにをしようか調べていて行き着いた久高島。 そこを調べる資料を探していて最初にたどり着いた本。 神の島といわれるゆえんがもれなく述べられていてためになった。 読んでいて意識を奪われそうになること数回。 単なる疲労でそうなったのか、何かに抜かれたのか謎。
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久高島に行ったのでよんでみました。 沖縄の離島である久高島、そこに今でも残る(しかし失われつつある)伝統の儀式や信仰について記述した本です。 12年に一度の儀式イザイホーをはじめ、各種の儀式の詳細、久高島の信仰のあり方、魂の考え方などが、個人の考えや批判などをあまりいれず淡々と...
久高島に行ったのでよんでみました。 沖縄の離島である久高島、そこに今でも残る(しかし失われつつある)伝統の儀式や信仰について記述した本です。 12年に一度の儀式イザイホーをはじめ、各種の儀式の詳細、久高島の信仰のあり方、魂の考え方などが、個人の考えや批判などをあまりいれず淡々とかいてあります。 離れてみているぶんには大変興味深くおもしろいものだけど、もし自分がその世界のなかにいたら、なんて古くさいことばかり言うひとたちなんだ、もっと科学的に考えるべきだ、と思ってしまいそうです。 1989年に、著者にたくさんの儀式について教えてくれた西銘シズさんが亡くなり、多くの知識や伝統が失われ、おそらくもう二度とイザイホーがひらかれることもなく、この伝統は終わっていくのでしょう。 残念なことだけど、それもまた一つの文化の歴史なんだろうと思います。 ただ、ここまで「生きている」民俗学的伝統が残っているのは、本当に稀有なことだし、沖縄という地の利がそれを許したのでしょう。
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失われつつあり、またすでに失われたものも多い中、逆によくここまでその形が残っていたと感心する。この世界観の中にオルタナティブを探ることも必要な気がする。
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沖縄には様々なシマ文化があり、それぞれ微妙に異なっている。 中でも神ノ島とも言われる久高島は特別な文化、風俗がある。 それを本書では細かく記載。シマの行事を追い、そこから見られる死生観、自然との共生、生活を魅力的に書いている。 本書において重要な外間ノロウメーギの方が亡くなったこ...
沖縄には様々なシマ文化があり、それぞれ微妙に異なっている。 中でも神ノ島とも言われる久高島は特別な文化、風俗がある。 それを本書では細かく記載。シマの行事を追い、そこから見られる死生観、自然との共生、生活を魅力的に書いている。 本書において重要な外間ノロウメーギの方が亡くなったことは久高島にとっても重要な文化を失くしたことに等しい。現にそれ以来イザイホーは行われていないわけだし、徐々にではあるがシマ行事も簡略化されつつあるという。 ということは実際にシマ行事を見ることは時と共に困難になっていて、その手掛かりはもはや本書のような本でしかないということになる。そうなるとこの本の偉大さに改めて気づくことが出来る。帯に「この本は古典である」という表記がなされていたけど、近い将来、本当にそうなるかもしれない。
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沖縄本島の南東にある小さな小さな、神の島。 久高島にどうしても行きたくて、 その旅の友に買った一冊。 女の人が、男の人を「守護」する文化。 「魂(マブイ)」の話も印象的。 体が不調だと抜け落ちちゃうそうです。 その場合、体内に戻す儀式もある。なるほど。 貴重な写真がたくさん...
沖縄本島の南東にある小さな小さな、神の島。 久高島にどうしても行きたくて、 その旅の友に買った一冊。 女の人が、男の人を「守護」する文化。 「魂(マブイ)」の話も印象的。 体が不調だと抜け落ちちゃうそうです。 その場合、体内に戻す儀式もある。なるほど。 貴重な写真がたくさんあるけど、白黒なのが残念。 その分想像を膨らませて読みます。
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沖縄本島の東、数キロの海上に位置する、古琉球の文化、民俗、風習が色濃く残る久高島。本書は、同島の文化が純粋な形で残されていた時代を克明に記録した、貴重な資料である。 古代より様々な民族が流れ着いたと見られる琉球にあって、他の民族からの影響をほとんど受けずに最近まで独自の世界観...
沖縄本島の東、数キロの海上に位置する、古琉球の文化、民俗、風習が色濃く残る久高島。本書は、同島の文化が純粋な形で残されていた時代を克明に記録した、貴重な資料である。 古代より様々な民族が流れ着いたと見られる琉球にあって、他の民族からの影響をほとんど受けずに最近まで独自の世界観を持ち続け、年20回以上の祭事、その他諸々の機会に行われる、神職者を中心に行われる神事がそのまま受け継がれてきた事実には、驚嘆を覚える。 そして、その世界観は、太陽と月を中心としたアニミズムであり、特定の思想家の哲学などに影響されたとは考えにくい、きわめて根源的なものである。このような信仰が、現代日本にはっきりとした形で残されていることには、感慨すら覚える。 ただ、同島で受け継がれてきたこうした思想や祭事、神事は、明治時代から1980年代まで生き、そのすべてを伝えてきた神女であり、著者に詳細にその文化を伝える語り部ともなった西銘シズさんの死去から、崩れゆく方向にあるという。これは寂しい限りであるが、日本全体がこのようにして、過去の風習を簡略化、あるいは廃してきたことで近代化を進めてきたことを思うと、必然の流れなのかもしれないとも思う。 本書は貴重な記録であるとともに、その特殊な文化をありのままに伝えようとする著者の意図があるのであろう、非常に読みにくい本になっている。言葉も可能な限り現地語が使われており、読者にはかなりの負担がかかる。しかし、この日本の地にも、このような文化を継承している場所があるのだと知ることには、大きな価値があるものと考える。 宮古島沖に位置する、よそ者の入島を拒むように存在する神の島、大神島も久高島のように古琉球の文化・民俗を継承している島なのかもしれないと、本書を読んで思った。
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旅行に行くから読んだが、これは行かない人も読んでも面白い民俗学的一冊。自分たちの起源を考えさせられたり、今の常識や正義について疑問を抱いたり。家族を守る役割は母親が担い、男親という存在そのものが曖昧になっていく。採集中心の労働における男女差のない社会は女系化し、子どもが生まれると...
旅行に行くから読んだが、これは行かない人も読んでも面白い民俗学的一冊。自分たちの起源を考えさせられたり、今の常識や正義について疑問を抱いたり。家族を守る役割は母親が担い、男親という存在そのものが曖昧になっていく。採集中心の労働における男女差のない社会は女系化し、子どもが生まれると「偉くならないように」と祈る。競争のない社会において、偉くなることは単なる混乱の種や不吉な予感でしかない。といった記載など非常に興味深い。 実際に久高島に行くと、原始宗教のシンプルさに胸打たれ、荘厳な神殿や仏閣などはちょっと汚らわしいような気持ちになるから不思議。
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[ 内容 ] 沖縄本島の東の海上に浮かぶ小さな島―久高島に琉球王朝よりはるか昔、古代人の心情から生まれ、「母神」を守護神とみる祭祀の形があった。 それは、ノロをはじめとする女性神職者たちによって担われ、今日まで継承されてきている。 12年に一度の大祭「イザイホー」、海の神が鎮まる...
[ 内容 ] 沖縄本島の東の海上に浮かぶ小さな島―久高島に琉球王朝よりはるか昔、古代人の心情から生まれ、「母神」を守護神とみる祭祀の形があった。 それは、ノロをはじめとする女性神職者たちによって担われ、今日まで継承されてきている。 12年に一度の大祭「イザイホー」、海の神が鎮まる海岸で豊漁を祈り草束を振るう神女や、海の彼方にある魂の原郷ニラーハラーの神となって登場する神女の威厳に満ちた姿が、かずかずの祭祀を彩っている。 30年近くも琉球弧の祭祀を追いつづけてきた著者が、久高島祭祀の多層なシーンをカメラとペンで記録した。 30余枚の写真とともに、古代人の鎮魂のありようを伝える貴重な1冊。 [ 目次 ] 序章 久高島の祭祀世界 第1章 魂の発見 第2章 守護神の成立 第3章 海神からの贈り物 第4章 神々の鎮まる場所 第5章 巫女の力 第6章 久高島祭祀の風景 第7章 自然から紡ぎ出した物語 第8章 誕生・結婚、そして死 終章 崩れゆく母たちの神 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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