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月のしずく の商品レビュー

3.8

141件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    52

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    3

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2015/09/27

浅田次郎さんの小説を読むのは三冊目くらいだけど、女の人より男の人の支持者が多いような気がしている。少なくとも私の周りで浅田次郎さんが好きだと言っているのは全員男の人。 というのも、この短編集を読んで少し解った気がする。 あらゆる意味での“男のロマン”が詰まっているように思えたから...

浅田次郎さんの小説を読むのは三冊目くらいだけど、女の人より男の人の支持者が多いような気がしている。少なくとも私の周りで浅田次郎さんが好きだと言っているのは全員男の人。 というのも、この短編集を読んで少し解った気がする。 あらゆる意味での“男のロマン”が詰まっているように思えたから。 表題作はまさに“男のロマン”。 コンビナートの荷役を30年近くしている冴えない40代の独身男の元に、ある十五夜の晩、ひょんなことから美しい20代の女が転がり込んでくる。 というプロローグからロマンが溢れているように思えるし、主人公の男はこれでもかというほど純朴で、美しい女は気が強い、というところもまさに。 その他も、不倫の関係を精算したあと相手の女に少しの執着心を見せる中年男が主人公の「琉璃想」は、切なくて物語自体は好きなのだけど、主人公の行動は女としては理解しきれない部分もあったりする。 任侠の世界やバイオレンス的な世界に対する憧れが見え隠れする物語もある。 女性が主人公の物語であっても、どこか思考が男性的であるような気がした。言ってしまえば「女はたぶん、もっとずる賢く立ち振る舞うよ」と思ってしまう感じ。笑 それだけ美しい結末のお話が多かった。 映画化に向きそうな物語ばかり、と思っていたら、実際の「銀色の雨」は映画化されているみたい。 ヤクザに匿われている殺し屋と情婦とその情婦を愛する少年のお話。 女よりもきっと男のほうが理解して感動もするだろう。と感じた作品群でした。

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2015/09/22

【月のしずくのひかる場所】 父が浅田次郎を読んでいたと聞いて僕も読んでみようと思った。子どもの頃、流行本ばかり追いかけていた僕に父はこういった事があった。 読んでそれなりに感動して、それで終わりみたいな本は読むな。十年考えられるような本を読め。 今、思うとなかなかいいことを...

【月のしずくのひかる場所】 父が浅田次郎を読んでいたと聞いて僕も読んでみようと思った。子どもの頃、流行本ばかり追いかけていた僕に父はこういった事があった。 読んでそれなりに感動して、それで終わりみたいな本は読むな。十年考えられるような本を読め。 今、思うとなかなかいいことを言っているように思う。宇宙学から哲学、詩と歌、子どもの頃の僕が言うに面白くない本ばかり読んでいた父が浅田次郎を読んでいるイメージはなかった。つまり僕の中での浅田次郎のイメージは、それなりに感動してそれで終わりみたいな本を書いている作家だったので、父が嫌いな分野だろうと思っていたのだ。まぁ、こうやって書けば大体読了後の感想は絞られると思うが。結果は打ち破られる事になる。 月が好きな理由はなにかと聞かれたら、未完成のところ、自分だけじゃ光れないところ、そして一日中会えるところ。私達にとても近い、そんなふうに感じるからだ。月のしずくがひかる場所。それは、わざわざ台座があるような王族お誂え向きな場所じゃない。もっと汚くて普通で平凡でそして人の目の中の端でしか光らないような場所だってそう思う。 美しさって完成してたり、整っていたり、綺麗だったりすることだけじゃないと思う。夕暮れあの一瞬だけ光った砂浜のガラスだって、立派な宝物だから。この本の物語は人の情と愛、そして業を兼ね合わせた、人間浪漫。 父が浅田次郎作品になにを思ったのかもう分からないけれど、でもなんとなく父の心の奥のやわらかいところが乾かずにいたのは月のしずくで濡れていたからかもしれないって思った。

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2015/09/18

短編小説。どの話も、男女のいろんな愛のカタチが切なく、そしてとても優しく描かれていた。 読み終わった後、じわーっと胸に暖かさが残る。それはどことなく月明かりのようなぼんやりとした暖かさにも似ていて、「月のしずく」っていうタイトルがとてもよく似合う本だと思った。 通勤中に電車で...

短編小説。どの話も、男女のいろんな愛のカタチが切なく、そしてとても優しく描かれていた。 読み終わった後、じわーっと胸に暖かさが残る。それはどことなく月明かりのようなぼんやりとした暖かさにも似ていて、「月のしずく」っていうタイトルがとてもよく似合う本だと思った。 通勤中に電車で読んでいたのだけれど、どうしても涙をこらえられなくて、目に涙をいっぱいためながら本を読んでる変なひとになっちゃった。 失敗したっていい、どんな間違いをしたっていい、ちゃんと自分に見合う素晴らしいひとが身近にきっといて、その素晴らしさを拾い上げられるひとにならねば、と思わせられました。 全部好きだったけど、特に好きだったのはパリで出逢った画家の恋人が忘れられない女性のはなし。 「オルヴォワール」 美しい響き。フランス語の美しさを知っているからこそ、最後に交わすフランス語の別れの挨拶がとても切なく、潔く、美しく心に響きました。

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2015/06/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

2008年1月27日読了。 全七篇の短編集。相変わらずの味わいがとても心地良いです。 そしてなにげに、こんな人でコミック化してくれたらなぁと読み進めておりました。 単なる私の希望だけど、もし出来たら描いてもらいたい作家さんを()内に挙げておきます。ていうか脳内でこの人たちの絵で話が動いてましたが(*^_^*) 「月のしずく」(本宮ひろ志) コンビナートの荷役をして三十年余り、四十過ぎの独身男の元にある日降って湧いたような美しい女。不器用な男と、身勝手な男に疲れたやはり不器用な女の話。 「聖夜の肖像」(柴門ふみ) 愛し合った男と別れた後、ふと知り合った男性と結婚。その夫との長い暮らしは平凡だけど決して不幸ではないけれど。妻の過去への思いと、ある聖夜の奇跡。 「銀色の雨」(六田登) 新聞奨学生の真面目だった生活から逃れた先に、慰めてくれた知り合いの女。その間にある事情で入りこんできた、ヤクザの匿う殺し屋との奇妙な三角関係。 「琉璃想(リウリイシアン)」(弘兼憲史) 社内報のグラビアに「帰郷」という企画を出し、カメラマンだけを同行し中国に帰郷した経営者。幼い頃に住んでいた土地へ。出発前、彼の秘書である愛人とカメラマンとの関係を知るが。 「花や今宵」(安野モヨコ) 愛人は今年もやはり誕生日を祝ってくれなかった。友人たちと飲んで帰る道すがら、電車に乗り過ごし、気が付くと知らない男と見知らぬ無人駅に。何かを抱えてそうな(最近婚約者から結婚の解消をされた)彼と一夜を共にすることに。 「ふくちゃんのジャック・ナイフ」(土田世紀) うちの店に長く勤めていた「ふくちゃん」は、店の次男坊の僕とよく遊んでくれた。子どもだった僕には、ひとつひとつが新しかった。裕次郎に憧れていたふくちゃんは、ある日僕と出かけて、ジャックナイフを買った。それはとてもふくちゃんに似合っている気がした。 「ピエタ」(吉野朔実) 幼い頃別れた母を探し、ローマに婚約者と旅した。母も波乱万丈だったかもしれない。だけど母のいなかった私の今までの暮らしは。謝って欲しいわけじゃない。優柔不断な婚約者とも右往左往しながら、母や自分の想いを知る。 私の知識はちょっと偏ってるかもしれないけど、これだけ広いイメージの話が書ける浅田さんはやっぱりすごいよなぁ。 「コミック化するとしたら?」またこのお題でやってみようっと。

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2015/05/23

時代背景は今より少し前、私たちの両親や祖父母の頃だろうか。それでも感情面でとても共感出来る。工場でパッキンを積むのが仕事のタツの想いを描く表題作「月のしずく」、故郷の中国を訪れるワンマン社長の想いを描く「琉璃想」が私のお気に入りです。 辛い時代を忘れる事で自分を保つ生き方、惨め...

時代背景は今より少し前、私たちの両親や祖父母の頃だろうか。それでも感情面でとても共感出来る。工場でパッキンを積むのが仕事のタツの想いを描く表題作「月のしずく」、故郷の中国を訪れるワンマン社長の想いを描く「琉璃想」が私のお気に入りです。 辛い時代を忘れる事で自分を保つ生き方、惨めな気持ちも淡々と受け入れる生き方、どの話も登場人物は地に足をつき一生懸命に生きています。彼らを抱きしめたくなる。 この本、読み終えたら図書館に寄付しようと思っていたけれど、しばらく手元に置いておく事にしました。自分が年齢を重ねたからこそ味わいを感じられる本だと思う。

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2015/05/06

短編集。 三十路よ誕生日に不倫相手にさえ会えない女と、上司の女に振られた男の話など切ないものばかり。

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2015/03/13

男の人の視点から書かれた、性的なこと。そして女の人をどこかよくわからない存在として書かれている点が面白かった。普段女性の作者の本ばかり読むから。2015年3月に読んだ。

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2014/10/17

こんなに一途な男が(=いちぶ女性も出てくるが)ホントにいるのかよ!? という短編集ですが,それはそれとして,ストーリーにはきちんと惹かれます! 1.月のしずく:蟻んこ(=コンビナートでパレットに品物を積み込む現場作業員)と銀座の女性の話 2.聖夜の肖像:3人出てくる.パリに絵の修...

こんなに一途な男が(=いちぶ女性も出てくるが)ホントにいるのかよ!? という短編集ですが,それはそれとして,ストーリーにはきちんと惹かれます! 1.月のしずく:蟻んこ(=コンビナートでパレットに品物を積み込む現場作業員)と銀座の女性の話 2.聖夜の肖像:3人出てくる.パリに絵の修業に行った男性,その人のかつての恋人だった女性,あとはその女性のいまの夫. 3.銀色の雨:これも3人出てくる.逃亡中の暴力団の鉄砲玉と,その相手をさせられる女性,その女性が面倒をみている高校生(=やくざの事務所にいながら,ちゃんと勉強してる).この話がいちばん面白かったかな. 4.瑠璃想:敗戦時の中国から,極限状態で引き揚げてきた当時6歳だった男の話.(ちょっと印象うすい) 5.花や今宵:男女ふたりの話.似た者同士といっては単純すぎる?→それぞれ傷心で飲みすぎて,中央線を乗り過ごしてとんでもない田舎の駅に着いてしまった,という話. 6.ふくちゃんのジャック・ナイフ:柳ジョージの「アフリカの夢」(だっけ?)という曲を思い出しました. 7.ピエタ:イタリアが舞台.母に捨てられた女性と,その母が再会.娘には中国人の(いちおう)恋人が付いてきた.この男性が泣かせる.中国でも一般のひとはピュアなのかね? でもこれはフィクションですからな.

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2014/03/03

2014.3.3読了。 短編集。人を思う気持ちが沢山詰まった一冊。難しい文書もあったけどほとんど面白かった。『ふくちゃんのジャックナイフ』がお気に入り。

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2014/01/18

おお外れせず、文庫本で、短編が読みたい。 そして、タイトルに惹かれた。 6本ぐらいからなる短編集。 タイトルにもなっている「月のしずく」が一番心に残った。全体的に読み易く、心がちょっとしんみりする作品が多かった。

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