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社会的ジレンマ の商品レビュー

3.7

16件のお客様レビュー

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 世の中のさまざまな…

 世の中のさまざまな問題は社会的ジレンマとして説明できるものが多いんです。難しい本ではなくとてもお手軽に読めます。社会心理学や心理学に興味がある方は必見の本ではないでしょうか。お勧めです!

文庫OFF

「環境破壊」や「いじ…

「環境破壊」や「いじめ」などの社会問題を心理学の視点から見ている本。「環境破壊」の方は納得できたけど、現代のいじめを経験している自分から見ると、「いじめ」の方は納得できないものがあった。

文庫OFF

新しい社会、変化する…

新しい社会、変化する社会のウミの部分を考える。

文庫OFF

2024/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

(p.17)社会的ジレンマの定義 • こうすれば良いと「わかっている」協力行動をとると、その行動をとった本人個人にとっては好ましくない結果が生まれてしまうような状態 • 一人一人の人間にとっては、協力行動をとるよりも非協力行動をとる方が、個人的には有利な結果を得ることができる (p.37)小さな伝統的な共同体では、社会的ジレンマはある程度解消されていた • 小規模な集落では、住民がお互いに役割を分担し、協力関係を築いている • 一人だけ非協力的行動をとった場合、いざという時に協力を得られず生きていけない • 「とりあえず協力しておいた方が得」という環境で生活している →現代社会の常識で考えると異常に思える田舎の同調圧力は、実は社会的なジレンマを解消するための役割を持っていたという気づきがあった。 (p.59)「継続的に発生する囚人のジレンマ」と利己主義の話 • 「囚人のジレンマ」とは、2人の囚人が互いに協力的な行動をとることが望ましいが、個人の利益やリスクを考慮した結果、非協力的な行動をとってしまうという状況 • 「賢い利己主義者」は物事を長期的に考え、相互に協力的な関係を築き長期的な利益を追求する • 実験の結果、囚人のジレンマの状況が何度も繰り返す場合「常に協力的な行動をとる」参加者は安定して利益を受け続けた • 最も高い成果を上げたのは、基本的には協力的だが、相手が非協力的な場合に自分も非協力的な行動を選択する「応報戦略」をとった参加者 →実際の世の中はさまざまな事象が複雑に絡み合っており、囚人のジレンマが継続している状態と言えるのではないだろうか。その中で、一度きりの囚人のジレンマだと考えて、非協力的な態度を取り続ける「愚かな利己主義者」は、長期的には信用を失ってしまう。 世の中どこで何が繋がっているかわからないから、目先の利益に走ることなく基本的には協力的な行動を選択するという方針で生きた方が賢い生き方なのかな、と感じた。

Posted byブクログ

2012/12/13

(1)一度きりのジレンマ状況においても応報戦略を用いる「賢い」利己主義者が、同じ様な「賢い」利己主義者の集団で最も利益を得る、と言う実験結果は大変興味深い.問題は母体集団において、短期的視野でしか動かない「愚かな」利己主義者の比率をいかに減らして、長期的視野でお互いに協力できる「...

(1)一度きりのジレンマ状況においても応報戦略を用いる「賢い」利己主義者が、同じ様な「賢い」利己主義者の集団で最も利益を得る、と言う実験結果は大変興味深い.問題は母体集団において、短期的視野でしか動かない「愚かな」利己主義者の比率をいかに減らして、長期的視野でお互いに協力できる「賢い」利己主義者を増やせるかにかかっている. ある程度のアメとムチ(規制)は必要なようだ。しかしアメとムチが行き過ぎると全体主義に陥るというリスクがある. また、「みんながするなら(じぶんもそうする)原理」=「自分だけがバカを見るのでは無い」で協力行動を撮る人間が多数であれば、それにつられて「アメとムチ」が無かったとしても協力行動を取る人間は増えていく. (2)「限界質量モデル」から考えると、同じような社会的ジレンマに直面した2つの集団において人々の協力率が大きく異なっているからといって、その2つの集団ないし社会に属する人々が異なった種類の人々であるということには必ずしもならないのである.(=分布の初期値が限界質量を上回っているか下回っているかで最終的な結果が大きく変わってしまう) 限界質量モデルは社会的ジレンマ解決の際に大きなポイントとなる.限界質量を超えた状態では、高い協力率を生み出し維持するのに人々が「みんながするなら自分もそうする」原理に従って行動するだけで十分だからである.言い換えると、いくら多数の「みんながするなら自分もそうする」主義者がいても、協力率の"初期値"が限界質量を下回っていれば、高い協力率は達成されない. 社会的ジレンマ解決にとって一番重要なのは、筋金入りの利己主義者による日協力行動を、限界質量を超えないように押さえつけられるかどうかだ、ということになる. 比較的穏やかなアメとムチの使用が手遅れになって、協力率が一度限界質量を下回ってしまうと穏やかなアメとムチを使うだけでは社会的ジレンマの解決が不可能となります.そうすると強いアメとムチを使ってすべての人々の協力傾向を変化させる必要が出てくる. (3)合理的な利己主義者はコミットメント問題を解決できない.そのコミットメント問題に直面すると、合理的な利己主義者は、非合理的な人間、つまり感情に駆り立てられて行動する人間よりも損をしてしまう.コミットメント問題を解決するためには、将来の自分の「選択の自由」を自分で放棄する必要がある. 「かしこい非合理性」の源として「直感的理解」と「感情」がある.感情的な行動が時に合理的な行動を凌駕する(後先考えない行動が、他者に認識されると、覚悟を決めた人間として認識されその行動が今後も認められるというメリットがあるので) (1)の話は(2)とかなり重なっている. 本書はジレンマについての視点をいくつも提供してくれており、実生活でジレンマに遭遇した時も基礎となる考え方として有用であろう.

Posted byブクログ

2018/10/31

利己的行動が集団全体に不利益をもたらす問題について、人間関係から国家レベルまで考察されている。 進化によって獲得した行動ゆえ、誰しも少なくとも無意識には理解していることだろうが、実験結果などによって構築された理論からは大いに学ぶところがあった。自分のやっていることが絶対的に正し...

利己的行動が集団全体に不利益をもたらす問題について、人間関係から国家レベルまで考察されている。 進化によって獲得した行動ゆえ、誰しも少なくとも無意識には理解していることだろうが、実験結果などによって構築された理論からは大いに学ぶところがあった。自分のやっていることが絶対的に正しいと考える人には関わりたくないと思う理由が、よく理解できた。最終章の「質量限界グラフ」が見事だが、モデルにすぎないのか、実験データなどの裏付けがあるのかがわからない。累積グラフでS字カーブを描くためには、分布が山なりになることが必要なのだが。 この本になぜ今まで気づかなかったのかと思うほど。 ・協力的な人と非協力的な人の間では、他人がどのような行動をとるかの予想や期待が異なる。協力的な人々は、人は様々と考える傾向があり、相手によって自分の行動を変えることになり、応報戦略を採用する。非協力的な人々は、他人も非協力な行動を取りやすい利己主義者だと考える傾向がある。 ・他人がとる協力行動の理由の解釈も異なる。協力的な人々は、良い人間か悪い人間かという点から判断する傾向がある。非協力的な人々は、相手が協力的な行動をとったのは自分の利益を最後まで追求する力にかけていると考える傾向があり、非協力的な行動を強める。 ・ホッブスは、社会的ジレンマを解決するためには、人々の行動を強制させるための公権力に委ねることにより、安心の保証を得ることを提唱した(社会契約論) ・社会的ジレンマをアメとムチで解決する方法の問題点は、人々の行動を監視し統制するためのコストがかかること、そのコストを誰が負担するかという二次的ジレンマが生じること。 ・また、アメ(報酬)を与えることによって、自発的協力の意欲が下がるという問題もある。政府などの組織の存在によって自発的協力の動機を減少させ、親族や地域などの共同体を破壊することが指摘されている。 ・怒りや愛情などの感情は、コミットメント問題(しなければならないことを実行すること)や社会的ジレンマを解決するために必要な、行動の選択の自由を束縛するためのメカニズムとして働いている(R.H.フランク「オデッセウスの鎖」参照) ・互恵性原理(社会的交換ヒューリスティック)とは、お互いに協力行動または非協力行動を取り合うこと。 ・協力的な行動を取らせるためには、そうすることが本人の利益になることを理解してもらうことが有効。 ・人々の協力行動を高める働きをする要因(p.190) ・「質量限界グラフ」によると、協力者の割合は、最初にどれだけの人々が協力しているかによって全く異なってしまう。半分くらいのクラスではいじめの傍観者の数がほぼ全員であるのに対し、別の半数くらいのクラスではほとんどいない(「いじめを許す心理」正高信男)

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2012/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本によると、「社会的ジレンマ」の定義とは「こうすればよいと分かっている行動を取ると、その行動を取った本人にとっては、その行動を取らなかった時よりも好ましくない結果が生まれてしまう状態。ただし、全員がこうすればよいと分かっている行動を取れば、最終的には全員にとって最もよい結果を引き出すことができる」ということ。 端的な例として、みんなが公共交通を使えば環境問題や交通渋滞は解消するが、自分ひとりだけ車通勤から電車通勤に切り替えてもたいして状況は改善しない。そのため、相変わらず車通勤を続けてしまう、というものが挙げられている。 この社会的ジレンマと、誰でも一度は聞いたことがあるはずの「囚人のジレンマ」を主軸に据え、人間が社会環境に適用し、社会を発展させてきた原理を丁寧に検討している。結構しっかりした本なので、頑張って読まないと主張の軸を理解できなくなるけど、説そのものは面白い。欲を言えば、本の大半が社会的ジレンマの分析に割いているので、もう少し実例を交えて、自分の身近なところにも適用できる話なんだ、という実感が持てるようにしてほしかった。

Posted byブクログ

2014/02/09

必読本大全より 発想力 1考え方の軸を作り、物事の見方を学ぶ ゲーム理論の心理版。人間関係の根本的な仕組みを、科学的視点で最大限解を明かす。様々な駆け引きの背後にある理屈が載っており、「読むと発想力がグワッと広がります。」

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2012/04/10

とりあえず最後まで読んだ、という現状。広いところに目を向けてそこから考えなくてはいけないのに、どうしても考え方を人の心を出発点として考えちゃう癖が抜けなくて、読みすすめるのに苦労しました。パチンと思考のスイッチが切り替わっちゃえばすっと頭に入ってくるはずなのに!というわけで、同筆...

とりあえず最後まで読んだ、という現状。広いところに目を向けてそこから考えなくてはいけないのに、どうしても考え方を人の心を出発点として考えちゃう癖が抜けなくて、読みすすめるのに苦労しました。パチンと思考のスイッチが切り替わっちゃえばすっと頭に入ってくるはずなのに!というわけで、同筆者の別の本を読んでまた戻ってきて再読したいです。

Posted byブクログ

2012/02/19

「わかっちゃいるけどやめられない」 社会的ジレンマについて基本的な考察を丁寧に教えてくれます。 「環境問題のことを考えれば、通勤には自家用車でなくて公共交通機関を使った方が良い」・・・・わかっちゃいるけど 「寒い日はバス停で待つのもつらいので、ドアtoドアの自家用車を使ってしまう...

「わかっちゃいるけどやめられない」 社会的ジレンマについて基本的な考察を丁寧に教えてくれます。 「環境問題のことを考えれば、通勤には自家用車でなくて公共交通機関を使った方が良い」・・・・わかっちゃいるけど 「寒い日はバス停で待つのもつらいので、ドアtoドアの自家用車を使ってしまう」・・・・やめられない こんな社会的ジレンマをちょっぴり科学的に考えてみるのに良い本だと思います。

Posted byブクログ