社会的ジレンマ の商品レビュー
皆が協力行動をとれば、皆の利益が最大となるが、非協力者がいる限り個々の利益は非協力行動の方が大きくなる。こうした集団の「囚人のジレンマ」を「社会的ジレンマ」とし、協力行動をとるための方策等を検討するが、解決策は見えない。かしこさ(経済学で想定される合理性)よりもむしろ、生来人間に...
皆が協力行動をとれば、皆の利益が最大となるが、非協力者がいる限り個々の利益は非協力行動の方が大きくなる。こうした集団の「囚人のジレンマ」を「社会的ジレンマ」とし、協力行動をとるための方策等を検討するが、解決策は見えない。かしこさ(経済学で想定される合理性)よりもむしろ、生来人間に備わった感情にこそ社会的ジレンマを解決に導く可能性があるとするが、書かれた例え話は現実味を欠いているような気がする。でも、「社会的ジレンマ」は至るところにあるので、何とかしないと破たんが待っている。
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様々な本を読んで思った事があります。それは、これからの学問は社会心理学と哲学(哲学史を含む)の時代だ、という事です。著者の本を読む度に、この『社会的ジレンマ』の課題解決に苦心する環境を打破できる処方箋があればな~と思います。フリーライダーの問題が解決できれば更に進歩した社会になる、しかしその根本的な解決法や処方箋は著者も持っていません。 テレビCMで、『江戸時代の日本人の生活にはリサイクルが根付いていました。未来を頼んだよ!』というフレーズのものがあります。それはつまり、換言すれば『江戸時代の日本人は物を大切にしていた。それが日本人の民族性だ。しかし現代人は物を大切にしないで、ちょっと使えなくなったら捨てて新しい物を買うようになった。実に嘆かわしい事だ』と暗に言っているように聞こえますが、それは決して問題の本質を突いたものではなく、『当時(江戸時代)は資源が限られていたためにリサイクルせざるを得なかった。そして現代は資源の枯渇に困る事が無いからリサイクルをしない。もとも日本人は物を大切に使うという民族性ではない』が本質です。畢境、各人なり国民なりが置かれた社会環境によって制約を受けているので、行動心理学的な、結果(行動)のみを見て心理的にアプローチするには限界があります。その点で言えば、社会心理学は行動心理学より包括した学問と言えます。 社会的ジレンマの一つ、いじめ問題の解決アプローチを書いていますが、巷にあるようなお説教的方法ではなく、『いじめを傍観者する人数によって解決できる』との論は一読の価値有りですし、社会(環境)づくりの肝要性を感じます。 ただ、先述したように、これといった社会的ジレンマの処方箋や特効薬を著者も持っていない、というのが残念です。一生懸命やった人間が馬鹿を見る、ダイエットに成功する、環境破壊問題、あらゆるところで社会的ジレンマは世界を覆っています。 最後に…本書で時々、性に関しての記述があったのは面白かったです。著者は執筆の際に性的欲求不満があったのでしょうか(笑) 知的好奇心をくすぐられる一冊、僕の評価はA-です。
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[ 内容 ] 違法駐車、いじめ、環境破壊等々、「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。 数々の実験から、人間は常に「利己的」で「かしこい」行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら」という原理で動くことが分かってきた。 この「みんなが」原理こそ、人間が社会環境に適応するために進化させた「本当のかしこさ」ではないかと著者は考える。 これからの社会や教育を考える上で重要なヒントを与えてくれるユニークな論考。 [ 目次 ] 第1章 イソップのねずみと環境破壊 第2章 社会的ジレンマの発生メカニズム 第3章 不信のジレンマと安心の保証 第4章 ジレンマを生きる 第5章 「かしこさ」の呪縛を超えて 第6章 社会的ジレンマの「解決」を求めて [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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社会的ジレンマについて分かりやすく解説。全体と個人との間で、望ましい行動に齟齬が生じている状態を社会的ジレンマといいう。分かりやすい例では、環境問題など。筆者が解決のために出している提案なんかは、面白いとは思うがなにかしっくりこなかった。
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社会心理学の観点から、囚人のジレンマを様々な社会問題に適用し説明している本。 北海道大学の山岸先生は、この社会的ジレンマの研究で著名である。 心理学を現実世界へ応用しようとする試みは、あらゆる心理学者が見習わなければならないだろう。 欲を言えば、現象の予測や対策法をもう少し具体的...
社会心理学の観点から、囚人のジレンマを様々な社会問題に適用し説明している本。 北海道大学の山岸先生は、この社会的ジレンマの研究で著名である。 心理学を現実世界へ応用しようとする試みは、あらゆる心理学者が見習わなければならないだろう。 欲を言えば、現象の予測や対策法をもう少し具体的に論じていれば、さらに良かったと感じる。
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みんなにあわせるってのが実は一番いい方法って話・・・多分。 日常的な現象から世界的な現象まで、様々なところに社会的ジレンマは関係しておりまする。
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