山梔 の商品レビュー
ここまで女が生き難い…
ここまで女が生き難い時代があったのか!という驚き。現代では考えられないほど毎日が過酷で、残酷。自らを曲げなくては生活を送ることができない時代があった。ラストにはぞっとする。でも、間違いなくこういう時代があったのだ。
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厳格な職業軍人の家に…
厳格な職業軍人の家に生まれ育った少女の物語。大正時代に書かれ発表された作品だけれど、古さをほとんど感じないどころか、現代女性の心を十分につかむような内容です。心にしっかりと残る傑作だと思います。
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人より感受性が豊かな…
人より感受性が豊かなばかりに周囲から圧力をかけられてしまい傷ついて行く悲しい少女の話。作者の半自伝。
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少女小説のようです。…
少女小説のようです。西洋に憧れ、俗物に嫌悪を示す少女の潔癖さが現れています。
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著者が自分をモデルに…
著者が自分をモデルにした少女を描いた長編。主人公の結婚を厭う様や学問への情熱、西洋への憧れなどは驚く程普遍性があります。この作品が特別というよりも、当時(現代も)の社会が隠蔽してきたのでしょう。
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刺さりすぎて苦しかった。阿字子=著者はいわば家父長制に縛り付けられて逃げるしかなくなった子。今でも家父長制の呪いは残ってるし、システムや世の中、政治に違和感を感じて抗ってると、気が狂ってる扱いされる(今なら変な奴くらいまでかもしれないけど、フェミニズム絡みの発言とか意見を表明する...
刺さりすぎて苦しかった。阿字子=著者はいわば家父長制に縛り付けられて逃げるしかなくなった子。今でも家父長制の呪いは残ってるし、システムや世の中、政治に違和感を感じて抗ってると、気が狂ってる扱いされる(今なら変な奴くらいまでかもしれないけど、フェミニズム絡みの発言とか意見を表明すると苛烈なバックラッシュにあうこともある)状況はある。 私個人も、現政権に怒り続けてるけど、たしかに変なこともあるかもしれないけどなんでそんな怒ってんの?みたいな空気を感じて自分がおかしいのかと絶望するときがある。 復刊されてほしい 。
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明治時代の厳格な職業軍人の家に生まれ育った阿字子の多感な少女期を描く自伝的小説。主人公の阿字子は人一倍、感じやすく、聡明であったために、彼女を取り巻く人々と衝突を繰り返し、ぼろぼろに傷付いていく様は読んでいて酷く痛ましかったです。阿字子を理解しようとしない、或いは理解しようとして...
明治時代の厳格な職業軍人の家に生まれ育った阿字子の多感な少女期を描く自伝的小説。主人公の阿字子は人一倍、感じやすく、聡明であったために、彼女を取り巻く人々と衝突を繰り返し、ぼろぼろに傷付いていく様は読んでいて酷く痛ましかったです。阿字子を理解しようとしない、或いは理解しようとしても果たせない悲しさ。阿字子が嫂の京子から暗に家族の厄介者であると投げ付けられる部分では自分自身と重なって見ることもあって後半の展開は辛いものでした。脚色はあれど、この作品に描かれる世俗はそれ程遠い昔でもなく、また女性への差別や抑圧は形を変えて未だにあることを気付かされます。
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※このレビューにはネタバレを含みます
きりきりひりひりと痛んだ。作品のなかにて積み上げられてきたことば、作品を通して主人公を通してこちらのこころに重なり積もったものが、そのまま、主人公の「運命」の結果であるむごさの前に対照されてあらわれでて怯む。かのじょは純粋であり、けれども男性が描く男性の純粋のごとくには身勝手ではなかったように、私には思える。かのじょを映す他のもののこころが、鏡としてかのじょの像を捻じ曲げた。そしてその後、かのじょが暮らす現実も、願っているさいわいも、すべて、「かく生きなければならない」という時代の要請に捻じ曲げられた。「らしく」が強制されない世に暮らしたいけれど、いまの世でさえ、やはり、身勝手かつ享楽的に誤魔化して生きるほかないのかもしれないと思うとつらく苦しい。
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これまた色んな意味ですごいのを読んでしまった。 とりあえず文体が何しろレトロなので、これだけでハードルが一気に上がってしまう。文体もさることながら、この漢字使いときたら。山梔って絶対読めんだろ、これ。希臘とか歔欷とか、もう、このインテリやろうが!と言わずにはいられないのだが、それ...
これまた色んな意味ですごいのを読んでしまった。 とりあえず文体が何しろレトロなので、これだけでハードルが一気に上がってしまう。文体もさることながら、この漢字使いときたら。山梔って絶対読めんだろ、これ。希臘とか歔欷とか、もう、このインテリやろうが!と言わずにはいられないのだが、それはきっとこの時代に小説なんて読むのはインテリだし、書くのもインテリだったんだろうからしょうがない。知らんけど。 でもってこのインテリがとりあえず勉強したけど卒業しても家でダラダラするだけだし、頭の中ではなかなかに偉そうなことを考えてもキョドって何も言えないというニートっぷり。でもそれって子どもの頃から虐待されて育ったという家庭環境に依存するという、なんかこれ現代小説のテーマとまんま変わらなくないか? とかなんとか偉そうに考察しつつ、だんだんとドロドロした方向に向かっていく展開は思いのほか楽しめたのだった。
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阿字子の叫びに心打たれます。作者の野溝さん自身の叫びのようにきこえます。 これが一九二十年代の作品だなんて。いつの時代も文学少女というのはいるのですね。 阿字子の姉の緑さんの犠牲の精神にも、頭が下がります・・ツッコミもしましたけど。
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