皆月 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めて花村作品を読ませていただきました。皆さんのレビューにもあるとおり全編を通して、「暴力とエロス」の世界観が散りばめられている。暴力のシーンは目を背けてしまうほど、血なまぐさい表現が印象的であった。アウトローな青年アキラと元ソープ嬢由美との出会いを通して、成長、再生していく主人公;諏訪徳雄の物語。
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『だが、納得したい。できうることなら、心の底からあきらめたい…だから…』 『高価な物など求めてはいなかったと思う。欲しいのは気持ちだ。それが夫婦というものではないか。』 『セックスは、終わる。私が射精をすることによって完結してしまう。しかし、こうしてふたりで支えあって歩いてい...
『だが、納得したい。できうることなら、心の底からあきらめたい…だから…』 『高価な物など求めてはいなかったと思う。欲しいのは気持ちだ。それが夫婦というものではないか。』 『セックスは、終わる。私が射精をすることによって完結してしまう。しかし、こうしてふたりで支えあって歩いているぶんには、当分持続するだろう。』 『私を必要としている人間がいる。これほどの幸福が他にあるだろうか。』 『法律とかは関係ないの。なにをやろうとあたしの勝手よ。基本的にそう思ってるもん。』 『人間の性は、性欲を発散するためでもなく、子孫を残すためのものでもない。性の根元にあるのは、孤独だ。この世界にたった独りでいることに対する不安だ。だから、他人を求めるのだ。』 『世の中の馬鹿な人をいちいち相手にしていたら、何もできなくなっちゃうよ。』 『かまわない。生きている。問題ない。さあ、行こう』 『 ー わたしも、あなたも、アキラも、あのころわたしのまわりにいた人間は、みんなお月様だった。自分では光ることができず、他人の光を反射するのがやっと』 『あなたは嘘さえつかずに、ひたすら誠実な月だった。いつもおなじ面だけをわたしに向け続けた。あなたは自分の裏側、月の裏側を決してわたしに見せようとはしなかった。』
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ストーリーは良いが、文章が読みにくい。くたびれた中年オヤジが二十歳そこそこの女性と恋仲になり、次第にプライドを取り戻していくというストーリーや退廃的な雰囲気が「どうしようもない恋の唄」(草凪優)に似ている気がした。
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妻に逃げられた中年男、ソープ嬢、やくざ、、、、「暴力」「セックス」、、、萬月ワールドの原点がここにあり。
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萬月の他の作品でも言ったと思うが、これが、萬月でなければ、 エロス、暴力が過ぎて敬遠してしまったろう。 必ずしも心地よくはないのだが引きこまれてしまう、 萬月なんなのだろう? 寂しさ、暖かさ、規格外、はみ出し物、そういったところに共感するのだろか? 初めは、読むのつらくてつ...
萬月の他の作品でも言ったと思うが、これが、萬月でなければ、 エロス、暴力が過ぎて敬遠してしまったろう。 必ずしも心地よくはないのだが引きこまれてしまう、 萬月なんなのだろう? 寂しさ、暖かさ、規格外、はみ出し物、そういったところに共感するのだろか? 初めは、読むのつらくてつらくて、死にたいほどで、 でも、ああ、やっぱり、生きてて良かった そういう、後味がいいのかも。"
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自分と名字が同じというだけの理由で気になっていた作家さんです。 読んでみて後悔はなかったです。 愛と暴力で彩られた世界観が人を魅了するのも納得です。 違う作品も読んでみようと思います。
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吉川英治文学新人賞受賞作品。 登場人物の異色さうんぬんよりもむしろ、登場人物の織り成す心模様の展開が魅力的な作品。花村作品といえば、セクシャル&バイオレンスですが、そういった描写が違和感なくすっと入り込んでくるのが不思議。
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諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。 人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!?胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。 第19回吉川英治...
諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。 人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!?胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。 第19回吉川英治文学新人賞受賞作品。
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作者が得意な愛と暴力とセックスの表現がこの本でも秀逸。バランスをとれずにギリギリの所をいく・・・いや、踏み外してる話。やっぱり面白い。
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「魂を震わせる『再生』の物語」とあるのは、そうだな、とは思う。 でも、やっぱり萬月はちょっと苦手。 暴力シーンとか、読後とか、なんだか嫌な気持ちになってしまう。 すっきりしないかんじ。 「じん・じん・じん」もかなり後味悪かったし、うちの中で萬月といえば「じん・じん・じん」のイメー...
「魂を震わせる『再生』の物語」とあるのは、そうだな、とは思う。 でも、やっぱり萬月はちょっと苦手。 暴力シーンとか、読後とか、なんだか嫌な気持ちになってしまう。 すっきりしないかんじ。 「じん・じん・じん」もかなり後味悪かったし、うちの中で萬月といえば「じん・じん・じん」のイメージが強すぎるのかもしれません。 でも、よさは分かる。 萬月をすごく好きな人がいるのも、よく分かります。
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