私たちはどのような時代に生きているのか の商品レビュー
ジャーナリスト辺見庸と哲学者高橋哲哉の対談。実際に対談が行われたのは1999年9月だそうだ。直接的にはこの年の第145通常国会で成立した「周辺事態法」「盗聴法」「国旗・国歌法」「改正住民基本台帳法」に対する両者の危機感を契機として行われた対談。「危機感」と簡単にまとめてしまったけ...
ジャーナリスト辺見庸と哲学者高橋哲哉の対談。実際に対談が行われたのは1999年9月だそうだ。直接的にはこの年の第145通常国会で成立した「周辺事態法」「盗聴法」「国旗・国歌法」「改正住民基本台帳法」に対する両者の危機感を契機として行われた対談。「危機感」と簡単にまとめてしまったけど、実際にはそれぞれ思うところも違うし、立脚点も異なる二人。辺見氏は自分の身体的感覚を出発点として、高橋氏は記憶というものを出発点として、それぞれの切り口で話は法案批判にとどまらず、法案成立に至る日本のこの10年の動きから、現在の情報化社会の分析に至るまで多岐にわたってます。 ただ対談という形式なので、それぞれの話題の深化が足らない感じで、どうも物足りない。辺見氏は思想的というか精神的というか、気持ちの「熱さ」だけが前面に出てしまって空回りしてるような印象を受けてしまった。特に「ジャーナリスト」という自分の立場へのこだわりは、なんか素直に共感できないんだよね。高橋氏はこれまで知らなかったんだけど、その切り口や歴史認識・記憶に対する考え方がちょっと新鮮で面白い。 まぁ二人の基本的な思想性というか、政治的立場はかなり私に近いので、逆に物足りなさが残ってしまったのかも。 ★印は3つですが、普段からときどきはこういう事も考えている方には、一読をお薦めします。 ちょっと興味を持ったので、そのうち高橋哲哉氏の著作を何か読んでみる予定です。辺見庸氏は「もの食う人びと」(共同通信社)は好きなんだけどな。
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