優生学と人間社会 の商品レビュー
◯旧優生保護法一時金支給法が可決された今、基礎から学びたい人におすすめの一冊。優生思想、優生学をその起こり?を世界史的な視点から丁寧に説明されている。その流れの中で、我が国における優生学の位置付けが見えてくる。大変分かりやすい。 ◯優生学まではいかないものの、日々を生きる中で、例...
◯旧優生保護法一時金支給法が可決された今、基礎から学びたい人におすすめの一冊。優生思想、優生学をその起こり?を世界史的な視点から丁寧に説明されている。その流れの中で、我が国における優生学の位置付けが見えてくる。大変分かりやすい。 ◯優生学まではいかないものの、日々を生きる中で、例えば職場においては仕事に対する能力が絶対的な価値を持つことになるが、その能力を持たない者に対しては不要な人間であるかのように扱い、排除することは往々にしてありうる。 ◯この辺りは生活のためであるので仕方ないとは思うものの、全く関係はないのだろうかと考えてしまう。 ◯昨今のパワハラなどの議論の根底には、こういった人間が無意識に抱く整理する思考や清潔感があるのではないか。 ◯そうした身近なことから考えに対しても、この本で語られている、未だくすぶり続ける優生的な思想に対する示唆はとても参考になる。
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教養系新書では、漫画やアニメや特撮ヒーローの正義の味方がまず言わない、多様な意見に接することができる一例ですね。
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その経緯からタブー視されてきた優生学について事実部分をフラットな視点で解説し、各国 (地域) での優生政策の歴史が紹介されている。 恥ずかしながら、この本を読むまで日本での優生政策の中身も全く把握できていなかった。 こういったものの歴史は社会の価値観の変化を大きく反映しており、...
その経緯からタブー視されてきた優生学について事実部分をフラットな視点で解説し、各国 (地域) での優生政策の歴史が紹介されている。 恥ずかしながら、この本を読むまで日本での優生政策の中身も全く把握できていなかった。 こういったものの歴史は社会の価値観の変化を大きく反映しており、とても興味深い。
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優生学について客観的な視点で書かれた唯一と思われる和書。2000年と今となってはやや古いのが読む前は気になっていたが、起源や歴史が中心で、神経質になるほどのことではないようで安心。 優生保護法という一時期にメディアを騒がせたワードがあったなあ、という程度で読み始めてもいいし、相模...
優生学について客観的な視点で書かれた唯一と思われる和書。2000年と今となってはやや古いのが読む前は気になっていたが、起源や歴史が中心で、神経質になるほどのことではないようで安心。 優生保護法という一時期にメディアを騒がせたワードがあったなあ、という程度で読み始めてもいいし、相模原障害者殺傷事件というきっかけでもいいし。 一度読んでおけば理解が深まるのでオススメ。
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優生学=悪ではない、が、 優生学は歴史的に見て危険を孕む ということがしきりに語られていた。 優生学にあまり固定観念がなく読み始めた自分としては、優生学を是と言ってるように聞こえないよう必要以上に努力しているように見えた。 哲学、倫理的にはすごく面白いテーマだと思うけど、いろいろ...
優生学=悪ではない、が、 優生学は歴史的に見て危険を孕む ということがしきりに語られていた。 優生学にあまり固定観念がなく読み始めた自分としては、優生学を是と言ってるように聞こえないよう必要以上に努力しているように見えた。 哲学、倫理的にはすごく面白いテーマだと思うけど、いろいろ枷が多い分野なのだなと思った。 出生前診断は今生きている病気の人の生を否定するか?
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1933年に成立したドイツのナチス政権はカリフォルニア州の断種の実績を参考にし、ナチス断種法が成立させた。そしてアメリカの優生学者の多くはこれを賞賛した。欧米の研究者が非難したのは、ナチスが行ったユダヤ人研究者の大量パージだった。ナチスはアメリカの断種法や絶対移民制限法を、自らの...
1933年に成立したドイツのナチス政権はカリフォルニア州の断種の実績を参考にし、ナチス断種法が成立させた。そしてアメリカの優生学者の多くはこれを賞賛した。欧米の研究者が非難したのは、ナチスが行ったユダヤ人研究者の大量パージだった。ナチスはアメリカの断種法や絶対移民制限法を、自らの政治主張の正しさを世界に認め採用した具体例として、さかんに喧伝した。ナチスの人種政策に確信犯的に賛同する人間もいた 。第二次大戦直後のナチズム解釈の文脈では、暴力的圧制とユダヤ人の大量虐殺がその悪行の核心と考えられ、優生政策は非難の対象にならなかった。ニュルンベルグ裁判の訴追流に優生政策は入っていないし、1945年に連合軍が設置した非ナチ化委員会が行った強制解除の対象に、ナチス断種法は含まれていなかった。逆に悪名高いナチスが葬られたことで、いくつかの国では戦後になって本格的な科学的優生学の時代が到来した 。
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元々は優生学は人類社会に存在する劣性遺伝子をなくすことにより、福祉負担の少ない社会への緩やかな進化を目指す善意によるものであった。 今まで考えたこともなかったが個人的な思想はバリバリの優生学支持派だった。出生前診断によって障害を持った子供が産まれそうなら中絶した方がいいし、遺伝病...
元々は優生学は人類社会に存在する劣性遺伝子をなくすことにより、福祉負担の少ない社会への緩やかな進化を目指す善意によるものであった。 今まで考えたこともなかったが個人的な思想はバリバリの優生学支持派だった。出生前診断によって障害を持った子供が産まれそうなら中絶した方がいいし、遺伝病を持った性犯罪者や精神病患者は去勢すべきだと思うし、優秀な子供を産むためにサラブレッドよろしく両親の遺伝子を集めることにも賛成である。 とはいえそんなことをこの国で発言しようものなら袋叩きにあうこと請け合いである。反対派は「青い芝の会」のような現状も大いに福祉のための税金の恩恵を受けている人達なのだが、彼らが将来不幸な暮らしを強いられる子供やそれにかかる負担を減らすための優生学的な政策に反対する理由がどうしても理解できない。 ※彼らにとってみれば障害者が減れば差別につながるということなのだろうけど、永久に負担し続ける健常者の身にもなってほしい。
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「しかし、シャルマイヤーは、性病や遺伝病については「患者一人の利益を無条件に守れば、他の多くの人間の利益が犠牲にされてしまう」として、後者の利益を前者に優先させた。」 優生学がどのように発展し、国の政策として活用されていたかについて書かれた本。 優生学は、ナチスドイツのような全...
「しかし、シャルマイヤーは、性病や遺伝病については「患者一人の利益を無条件に守れば、他の多くの人間の利益が犠牲にされてしまう」として、後者の利益を前者に優先させた。」 優生学がどのように発展し、国の政策として活用されていたかについて書かれた本。 優生学は、ナチスドイツのような全体主義よりも、手厚い介護を提供する福祉国家と密接に関連しているものである。 それは、障害者に対する福祉の費用が莫大なものであり、健常者への福祉が薄くなってしまうからである。 ’福祉国家’は国民への手厚い福祉を重視しているので、費用がかかる国民は国にとって重い負担である。 一般的な堕胎はよくて、病気の有無などによる選択的堕胎を認めないのは、二重基準と呼ばれても仕方がないと思う。 堕胎は、女性の権利なのか、それとも胎児の権利なのか非常に難しい問題であるが、法学的に考えると胎児に権利を認めるのでは妥当ではないように思われる。 なぜなら、どの部分から’胎児’として認知できるのか分からないからである。 受精卵は権利を持つのか? そうすると、女性の権利としての堕胎を考えるしかなく、’育てる’ということも考慮すると、DNA検査によって障害を持つと分かった子を堕胎すると決めても、誰も非難することはできないであろう。 それよりも、無理やり産ませることのほうが、その女性への侵害である。 しかし、ダーウィンの自然淘汰によると、ある人間が新しい環境に適用できるかどうかわからないことから、人間の多様性を認め、未知の病原菌に’人類’として対応できるほうがよいので、人間に関しては、優生学的発想を適用するのは好ましくないと思われる。 人間が利用するものは、人間の都合のよいように操作すればよい。
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随分前に読んだ本だが、ふと思い出したので記録。 医療や生物学の専門家たちが厖大な文献を参照しつつ、 優生学と社会のあり方について、歴史を踏まえて客観的に論述した一冊。 一般人は優生学と聞くと、ナチズムやディストピアSFなどを連想しがちだが、 決して過去の問題でもなければ未来の話で...
随分前に読んだ本だが、ふと思い出したので記録。 医療や生物学の専門家たちが厖大な文献を参照しつつ、 優生学と社会のあり方について、歴史を踏まえて客観的に論述した一冊。 一般人は優生学と聞くと、ナチズムやディストピアSFなどを連想しがちだが、 決して過去の問題でもなければ未来の話でもないし、 もちろん日本だって他人事を決め込んではいけないと警鐘を鳴らす、 優生政策=合理的な近代化政策の一種だったことの論証。
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[ 内容 ] 優生学はナチズムか。 戦後日本の優生政策の内実とは。 優生思想の歴史を再検討し、遺伝子技術時代の視座を示す。 [ 目次 ] 第1章 イギリスからアメリカへ―優生学の起源 第2章 ドイツ―優生学はナチズムか? 第3章 北欧―福祉国家と優生学 第4章 フランス―家庭医...
[ 内容 ] 優生学はナチズムか。 戦後日本の優生政策の内実とは。 優生思想の歴史を再検討し、遺伝子技術時代の視座を示す。 [ 目次 ] 第1章 イギリスからアメリカへ―優生学の起源 第2章 ドイツ―優生学はナチズムか? 第3章 北欧―福祉国家と優生学 第4章 フランス―家庭医の優生学 第5章 日本―戦後の優生保護法という名の断種法 終章 生命科学の世紀はどこへ向かうのか [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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