ぼくの伯父さんの東京案内 の商品レビュー
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詩人で写真家の沼田元氣が、伯父さんについて書いた文章と写真で東京を語り、さらには人生について書いたエッセイ。 タイトルの伯父さんというのは、実在する人物ではなく、著者の中にある理想の日々の暮らし方を人格化したもの。 見返しにはこうある。 『二十一世紀、全然未来に気持ちが向かない大人のための童話』 『あるいは―― 自由というものに縛られている人生』 二十一世紀の書物なのに、写真も文章も恐ろしく時代がかっているのに最初馴染めなかった。 トタン塀、ひび割れたすりガラス、アルマイトのたらい…。 オブゼって何?オブゼ…オブゼ…オブジェのことか! サイクリングレヂャ→サイクリングレジャー トイレで使うのは、ロールのトイレットペーパーではなく、四角く切ったチリ紙である。 トイレを水洗にしたところ、長屋の他の住人に「水の音がうるさい」と怒鳴り込まれ、夜には水を流すことを禁止されるという住環境。 これ本当に平成の東京の話ですか? けれど伯父さんは伯父さんだけのこだわりがあり、それ以外のことには大概鷹揚なのだなあと気づくと、伯父さんのこだわりの一つ一つが愛おしくなる。 ”この東京で、人それぞれが居心地の良し悪しを、語るのを聞くにつれ、自分の居場所(パラダイス)をどれほど持っているか否かによって居心地というものが決まってくるのではないか。そうして自分のお気に入りを、どれだけたくさん発見、発明し日常生活の中へ持ち込めるかということによって自分の居場所における居心地が決まってくるのだと伯父さんは考える。” 他人の価値観で、損か得かで右往左往するのではなく、自分の価値観で取捨選択して行けば、傍からどう見えてもそれは幸せな人生と言えるのではないか。 常々思っていたことを伯父さんは体現してくれている。 楽しむことを義務にするのではなく、義務の中に楽しみを見つけられたらいいと伯父さんは言うが、なんとなくそれが幸せに長生きをするための肝のような気がした。
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なかなか面白い情報が手に入ります。長体がかかったような書体でQ数もちいさいので、けっこう目が疲れます(苦笑)
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違う次元にタイムスリップしたような気持ちになる、不思議な本。ふらりふらり。ゆらりゆらり。ふわりふわり、した文体、写真にこちらまでふわりとなる。
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高円寺の古本屋でGet☆ 装丁に惹かれる本です。 流行の観光スポットじゃないから 長く楽しめるガイドBookってよいなぁと 思います。
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都会の孤独、私も好きだなぁと共感するところ多し。 詩的な文でふんわりしてるのに、 真理を突いている鋭いところが多々あって。 引用したい文がたくさんあった。 フォントも装幀も凝っているのでハマる人はハマると思う。 でも最後の方は、ちょっと理解不能だったし、少し重いところも。
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「二十一世紀、ぜんぜん未来に気持ちが向かない大人のための童話」表紙をめくったら、この言葉がいきなり目に飛び込んできて、ぼくはすっかり嬉しくなった。ちょっと孤独だけど、なんだか懐があったかくなるような味わい深い東京案内。この本に登場する伯父さんから人生で大切なことを教えてもらった気がするんだ。観光案内じゃなくて、生活しながら近所を旅するような感覚。伯父さんの優しい視線の先にあるモノや空間はちょっと時代遅れだけど、”物語”のある豊かな時間があるんだよ。歳をとるのも、なかなかいいもんだ、なんて思ったりして。平凡な日々の生活に退屈したら読んでみて。伯父さんの言葉が、きっと日常を非日常に変えてくれるはず。
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少し孤独なひとがすき。 ひとりだけをずっと楽しむのは、気力がないとつづかないからヌマ叔父さんにときどき背中を押してもらう。
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この本は本当に素敵!装丁、形、写真、文章、書体、どれをとっても。ノスタルジックでレトロ、魅力的な東京がここにはある。
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レトロで懐かしい東京の写真にやエピソードには、沼田元氣さんの不思議な魅力がびっしり詰まっています。装丁のディテールにもこだわりが感じられ、永遠に手放したくない一冊です。
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