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身体/生命 の商品レビュー

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2012/02/20

 フーコーが提出した「生‐権力」という概念、その基盤には社会が人間の身体/生命をどのように捉えているのかがあるのだが、本書はその系譜(“死”の揺らぎ)をたどっている。脳死問題から始まり脳死問題に回帰していく本書の中で、フーコーが肯定した「死への権利」、つまり安楽死・尊厳死はたしか...

 フーコーが提出した「生‐権力」という概念、その基盤には社会が人間の身体/生命をどのように捉えているのかがあるのだが、本書はその系譜(“死”の揺らぎ)をたどっている。脳死問題から始まり脳死問題に回帰していく本書の中で、フーコーが肯定した「死への権利」、つまり安楽死・尊厳死はたしかに生‐権力に対する抵抗にはなるが、それは、抵抗しようとした生権力のメカニズムと共振しうるという市野川氏の指摘はまさにその通りで、投げかけられているのはフーコーを乗り越えること、と言えばやはり目眩が始まる。明確なことは何も打ち出せず、ひたすら要検討スタイル。ただ乗り越えるバネとして、本書の系譜は必ず役に立ちうるであろう。  余談だが、個人的に、ビシャの主張した、「有機的生命」と「動物的生命」のうち前者の機能停止こそが死であって、後者の機能停止は死ではないという話から、それをルソーの社会契約論にみる政治体に関する記述、つまり国王からその権力を剥奪し、彼に優越する近代民主制に対応させたのはなかなかアクロバティックだと思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

フーコーの生‐権力論を下敷きに、西洋近代医学史を検討。頁数は決して多くないのに、力のこもった筆致と丹念な作業に惹きつけられる(単なるファンかも(^^))。近代(現代)医学に違和感や危機感を感じる人には一読の価値大アリ。

Posted byブクログ