神様がくれた指 の商品レビュー

佐藤多佳子(著者)

2010/05/24

見失っていた。本当に手に入れたいものを。出所したばかりのスリは家に戻れなかった。オケラになった占い師は途方にくれていた。なにかに導かれるように、二人はひとつ屋根の下で暮らし始めた。スリが手を伸ばそうとし、占い師の抜き取ったタロットのカードと交錯した、そのとき二人は身も心も引き裂く嵐に巻き込まれていた。ストーリーテラーの名品。

ラストの事件は、少し浮いて感じたけれど、
それを気にしなければ面白かった。

2010/04/20

いやあ、面白かった。日本って電車の中ですられる心配もしなくていいし、普通にリュックも背負えるし、なんていい国なんだろうと思っていたところに読んだので、またいらぬ心配をする羽目に。それにしても面白かった。ただしただし、作者は主人公の辻と昼間を何とか魅力ある人物に描こうと努力しているんだけど、読者はあまりのめりこめずに終わる感じがする。おそらく、スリの話しなんだか、犯人探しの探偵ものなんだか、もっと探偵部分にスリがからめば面白いのかもしれないけど、中途半端感が漂うせいかもしれない。

2009/10/04

図書館にて。
面白かった!!登場人物のキャラクターがどれも個性的で、
なおかつしっかり描かれていたと思う。
最後の最後まで息の抜けない、いい作品だったと思う。

2009/10/04

面白かったです！
刑務所から出てきたばかりのスリの青年と、ギャンブル好きの占い師が出会ったところから始まる物語。
スリの青年辻牧夫は、犯罪で食ってる割りに常識人で、好青年。
プロ根性が強く、群れるのを嫌う一匹狼。
占い師昼間薫は普段はへらへらと頼りなく見えるが、仕事に対してはとても真摯。
中性的美貌で、占い師の時は女装しているというのも個人的には特に付け加えておきたいところ（￣▽￣*）

辻が少年グループのスリを追いかける一方で、昼間は一人の少女と知り合う。
少女が少年スリグループの一員だと気づいた瞬間から、物語は急展開する。
ストーリー本筋もスリルがあって面白かったのですが、私が楽しんだのは特に、彼ら辻と昼間がただの同居人という関係から、それ以上の何かになってゆく過程です。
特に辻←昼間の想いはどんどん強くなって、最後あたりはお前それはもう友情ですらないよ違う種類の想いだよ…！と突っ込みたくなること請け合い。
咲ちゃん（辻の彼女）に嫉妬してるように受け取れる箇所があってにやにやしました。

最後、まさか全てを投げ出して終わるなんて思わなかった！
くっつきそうなところはくっつかず、悪は逃げ、善は不明。
でもいいの、最後にあの人の所に帰ってきてくれた（違）だけで……！
結局朝５：００まで読んでて翌日死にましたが悔いはない。

2009/10/04

カテゴリを分類するに難しい。

スリの青年と、占い師の青年の奇妙にして優しい関係。

複雑な生い立ちを持つ、一匹狼のスリ、マッキー。
塀の中よりシャバへ帰還したその日に少年の集団スリに出くわす。
追いかけるも不意打ちをくらい、敢え無く負傷する。

ギャンブル好きの性別不詳な小柄な青年、占い師マルチェラ。
未払いの家賃の充当に姉から借りた50万円をすっかりスッてしまう。
その帰り、怪我をした見知らぬ青年、辻君を偶然助ける。

少年スリ集団を捕まえようとやっきになるマッキー。
家賃の肩代わりから、マッキーと同居することになったマルチェラ。

まったく無関係だった2人のそれぞれの日常が、少しずつ交差しはじめる。

あんなに見事にすられたらたまらんなぁと、つい現実を考えてしまうけれど、
信念を持って職業としているところはまさに「神様がくれた指」となるのでしょうか。

分厚い本なのですが、一見普通の少年少女風のスリとそのカリスマの関係。
世間知らずでマッキーに恋する、箱入り娘が見せる強い一面。
人情に溢れたマッキーを取り巻く優しい人々。
2人の心の揺れなどが丁寧に描かれていて、読み応えは十分です。

2011/09/17

刑務所帰りの掏摸と街角占い師が奇妙に交錯する話。掏摸の衝動を抑えきれなくて、妙に掏摸のプライドにこだわる刑務所帰りの掏摸にはイライラしたし、無知で無謀で不満だらけな若者掏摸グループには底知れない不気味さを感じてしまったが、占い師の迷いや優しさには共感できた。こういう人に占ってもらったら、自分の心を見つめ直してまた明日も何とか生きていける小さな勇気をもつことができるかもしれない。また読むことは多分無いだろうけれど、心に残る話だった。

2009/10/04

出所したばかりのスリと、偶然彼を助けた占い師。
奇妙な同居生活がはじまり、
二人はみえない歯車で絡み合っていく。

軽快なタッチで物語りはすすみ、
おもわぬ展開に
どんどん引き込まれていくストーリー。

実に登場人物が魅力的にかかれた作品だ。
すぐ目の前にあたかも存在しているような錯覚さえする。

2009/10/07

最初から、これは絶対いやな事が起きる、というのがわかってなかなか読み進められなかった。さすがにうまいんだけど、ちょっと長く感じました。最後、どうして竹内は警察に気付かなかったのかな？

2009/10/18

見失っていた。本当に手に入れたいものを。出所したばかりのスリは家に戻れなかった。オケラになった占い師は途方にくれていた。なにかに導かれるように、二人はひとつ屋根の下で暮らし始めた。スリが手を伸ばそうとし、占い師の抜き取ったタロットのカードと交錯した、そのとき二人は身も心も引き裂く嵐に巻き込まれていた。

今までの「佐藤多佳子」作品とは違うように感じました。量も多く、読み応えは十分でした。スリとい行為自体は賛成できないですが、どんな仕事にもプライドを持って取り組めるというのはカッコイイと思います。昼間と辻の気の置けない関係がいいと思います。また一緒に暮らしてくれたらいいと思いましたが、残念･･･

2009/10/04

プロのスリ師・辻牧夫（マッキー）は刑期を終えてから初めて電車に乗り、若者のスリ集団に手痛い目に遭う。弁護士の姉から借りた滞納家賃を、ギャンブルですって使い果たした占い師の昼間薫（マルチェラ）は、怪我を負った辻を助ける。偶然のふたりの出会いから、奇妙な男ふたりの同居がはじまる。辻は知り合いの西方一家に、自分が襲われた若者探しの協力を求め探し続ける。一方昼間は、大きな不安を抱えた女子高生のことが気になり、彼女に深い関心を寄せる。無関係だったふたつの事件が、やがて結びついた…。プロのスリと占い師。この組み合わせが面白く読んでいて飽きない。後半はサスペンス調。辻を慕う咲、西方一家の面々、黒幕のハルなどさまざまな人物が登場するが、結局は本当の悪人は一人も出てこなかった。それがいいのか悪いのか？かなり楽しめたけど、あと一押し！って感じでした。