時の旅人 の商品レビュー
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歴史は変えられないけどその時いた人たちとひょいっと交流を持てるようになり、行きつ戻りつしていく話。 フランシス、アンソニー、奥方、と未来は決まってるだけにとても切なく、生きている間はもう会えない。このちょっと恋心かどうかなところで寸止め状態で色んな意味でせつないです。
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7月19日から8月9日にかけ、4回にわたってclubhouse内で実施した読書会のテキストとして購読したもの。16世紀のエリザベスとメアリー、2人の女王が「対立」していた時代に迷い込んだペネロピーと、それぞれの時代での人々との交流と生活を描いた作品。読む前には、波乱万丈な冒険譚な...
7月19日から8月9日にかけ、4回にわたってclubhouse内で実施した読書会のテキストとして購読したもの。16世紀のエリザベスとメアリー、2人の女王が「対立」していた時代に迷い込んだペネロピーと、それぞれの時代での人々との交流と生活を描いた作品。読む前には、波乱万丈な冒険譚なんだろうと思っていたが、むしろ静謐な作品だった。16世紀のサッカーズに生きるメアリーやアンソニーの運命を知りながら、それを変えられないことも受け入れつつ、ペネロピーは成長していったのだと思う。傑作。
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さすがのアトリー。ハーブの匂いや乾草の香り、教会の鐘の音など、実際に体験しているかのように感じられる情景描写が美しい。 スコットランド女王メアリーの処刑に関する史実に基づいて書かれた話を、土の匂いのする生活感あふれる地元の人たちとの様子とともに描いており、実際にあったことなのだ、...
さすがのアトリー。ハーブの匂いや乾草の香り、教会の鐘の音など、実際に体験しているかのように感じられる情景描写が美しい。 スコットランド女王メアリーの処刑に関する史実に基づいて書かれた話を、土の匂いのする生活感あふれる地元の人たちとの様子とともに描いており、実際にあったことなのだ、という感慨が湧く。 それと同時にイギリスのフェアリーテイルのような時空を行き来する描写が、ナチュラル。 歴史として知っていることをどうにもできない切なさの残る作品。
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イギリス児童文学の豊かさを存分に味わえる名作。 多分1940年位のロンドンで暮らすペネロピーは、転地療養で、姉兄と共に、ダービーシャーにある母の実家のサッカーズ屋敷で大叔母、大おじとしばらく暮らすことになる。ペネロピーは、母方の祖母の血を強く受け継ぎ、過去の人物を見ることがあった...
イギリス児童文学の豊かさを存分に味わえる名作。 多分1940年位のロンドンで暮らすペネロピーは、転地療養で、姉兄と共に、ダービーシャーにある母の実家のサッカーズ屋敷で大叔母、大おじとしばらく暮らすことになる。ペネロピーは、母方の祖母の血を強く受け継ぎ、過去の人物を見ることがあったが、サッカーズ屋敷に暮らすうち、屋敷の持つ歴史の記憶に感応して、1528年、領主アンソニー・バビントンがメアリー・スチュアートを救出する策を練っていた時代を行き来するようになる。 ポイントは、メアリー・スチュアートがどうなるかは(アンソニー・バビントンのことは、私の記憶にはなかったのだが)皆知っていること。もちろん、ペネロピーだって知っている。 歴史的事実から言えば、アンソニーはエリザベス一世の王位を転覆させようとした罪で処刑され、メアリー・スチュアートも処刑される。 例えば、男の作家だったら、もっとガチガチのSFファンタジー、あるいは歴史ものにしたのではないかと思うが、アトリーは、あくまでペネロピーの感じたこと考えたことを丁寧に描いている。 ストーリーは十分に面白いが読みどころはそこだけではない。 岩波少年文庫にしては厚いが、この厚さは例えばタイムパラドックスなどの理論や、歴史上の人物やその人間関係の描写に充てられてはいない。 日常のディテールが描かれているのだ。1940年代と1582年、1584年のサッカーズ屋敷がどんなところであったか、目に見えるように描かれている。台所で女達がどんな風に食事の支度をしていたか。庭師達がどんな思いで花や草木の手入れをしていたか。農夫がどんな風に働いていたのか。領主一家が何を身に着け何を食べ、何を楽しみにしていたか、苦しんでいたか。ここが、基本のストーリーと絡みながら(なぜならペネロピーはサッカーズ屋敷の家事を担っていた女性の子孫であり、家事や手仕事の繊細さ奥深さ、魅力を知っていたから)進むので、サクサクッと筋が知りたい人には向くまい。むしろこのディテールを楽しめる人が、本当にこの本を堪能できる読者であろう。そして、それはやっぱり女性の方が多いんじゃないかと思う。 少年文庫で中学生以上とあるが、イマドキの中学生がこのディテールを楽しめるかというと、難しいんじゃないかと思う。むしろ、人生半分過ぎたくらいの大人の方が楽しめるのではないか。 初めてタイムトラベルする時のペネロピーは、おそらく12歳くらい。まだ子どもっぽいところもある。しかし、2回目は14歳くらいで、大人の世界の入口に立ち、恋も知る年頃。この設定がとても上手い。もっと幼けれぱここまで人間関係に入れないし、ハイティーンでは16世紀にはもう大人。14歳くらいだと、16世紀ならもうすぐ大人、という扱いで、ちょうどいい。 それにしても、暮らしの描写、本当に素晴らしい。焼きジャガイモをオーブンで焼いて、二つに割って、塩をふりかけ、バターとクリームを入れてスプーンで食べる。「茶色く焼けたぱりぱりの皮まで食べました。」(p54) クルマバソウとヨモギギクで香りをつけたリネン、食料部屋、ハーブガーデン、何もかもうっとりする。 もちろん、物語も素晴らしいし、終わり方がまた良い。 口はきけないが、特殊な能力を持つジュードという少年は、自閉症のような気がする。 至福の読書時間。
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けっこうな厚さで、何度も休憩しながらやっと読了。 もう四年くらい、面白いと評判をきいて、読もう読もうとしていたこの本をやっと読み終えて、まずはホッとしたところ。 実際にイギリスでは田舎のほうだと、100年前の絵とほとんど変わっていない家屋敷や街並がある。 地震のない国で、石造り...
けっこうな厚さで、何度も休憩しながらやっと読了。 もう四年くらい、面白いと評判をきいて、読もう読もうとしていたこの本をやっと読み終えて、まずはホッとしたところ。 実際にイギリスでは田舎のほうだと、100年前の絵とほとんど変わっていない家屋敷や街並がある。 地震のない国で、石造りの建造物の寿命はとても長い。 こういう、永く使われる屋敷は本当にロマンがあるし、こんな夢を見てしまうだろうなと思った。 一方で、ストーリーがゆったりしていて、大事件が起こらないので、どうも掴み所が無かった。 私が要所を把握しきれないまま、惰性で読んでしまったところもあり、本来の風を味わっていないかんじもした。 読後に、アンソニー バビントンのことをggってしまい、残酷な世界でショックをうけた。 ああいう処刑法は本当にあったんだ。。。内臓。。。 7人のシェイクスピアで見たときもギョエーと思い、ささっとページをめくったけど。 怖い怖い。やだやだ。
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児童文学としては切ない内容のものです。 病弱で夢見がちな少女が見る 数百年前の時代の物語です。 もう起きてしまった歴史は、変えることができません。 できちゃあいけないのです。 ほらほら、ある映画でもタブーがあったでしょ? 「その時代のものを持って行ってはいけない」 それと同じようなものです。 実際に変えようとはしたけれども 彼女にはできなかったのです。 ストッパーがかかるんですよね。 そして、現実では姉の言葉が刺さるのです。 そう、いくら体が弱くても これからは自分でいろいろと決めないと いけないのですよ。 残酷だけれどもね。
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作者が幼い頃過ごしたイギリスの農場を舞台にしたタイムスリップものです。 病弱なペネロピーが療養の為に来た田舎で過去の時と現在の時を行き来する物語。 彼女が特別な活躍をする訳ではないですが、双方の世界を自分の意志とは無関係に行き来し、真摯に話を聞き、最後には戻らずそこで生きていたいと考える描写が切ないです。 幽閉されたスコットランド女王メアリ・スチュアートをエリザベス女帝の手から解放しようとする人たちの話にも段々と感情移入してしまいます。 ペネロピーを温かく迎えてくれる人々がとても優しく 風景や生活の描写もしみじみとした良いものでした。 時間という概念は不思議なものですが、そんな概念についてもふと考えてしまう物語です。
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再読。じっくり読んだので時間がかかった。 スコットランド女王メアリにまつわる歴史的な事件の悲劇的な結末が分かっていながら、現にその事件の渦中にいる親しい人たちのなかで過ごす辛さとか、とうとう別れの時がやってきて、現在の世界のことが煩わしく思える場面とか、ぐーっと引き込まれた。
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珠玉の物語。 五感を通して物語の世界を味わった。読みながら、広々と開けた緑の田園風景を目の前に浮かべ、教会の鐘の音を聞き、ハーブの香りを鼻一杯に嗅ぎ… 「ペネロピ―!」と呼びかけるみんなの声が耳に残った。 描かれている世界は繊細で美しく、生き生きとして、そして物悲しい。いつまでも...
珠玉の物語。 五感を通して物語の世界を味わった。読みながら、広々と開けた緑の田園風景を目の前に浮かべ、教会の鐘の音を聞き、ハーブの香りを鼻一杯に嗅ぎ… 「ペネロピ―!」と呼びかけるみんなの声が耳に残った。 描かれている世界は繊細で美しく、生き生きとして、そして物悲しい。いつまでもこの世界にとどまっていたい気持ちになる。 今のこの時は、幾世代もの営みが積み重なった結果。荘園屋敷にも農場にも、いたるところに幾世代もの人々の営み、思いが刻み込まれている。何人ものペネロピ―がその空気のなかで育まれてきた。この土地に結びついて生きることで、生きる底力を得ていく。 故郷を持たず、世代をこえて受け継ぐ記憶も持たない私は、生命力の弱いみなしごだ。 読み終わっても、いつまでも余韻に浸っていたい気持ちになる物語だ。
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ロンドンの少女が、サッカーズでの田舎暮らしをしている間に、何百年も前の“時”に紛れ込んでしまう。その“時”と今の“時”とを行きつ戻りつする中で、美しい自然と、命を繋げているそれぞれの人々の息吹が聞こえて来る物語。 読み始めは、まさか自分が完読出来るとは思わなかったが、サッカーズ...
ロンドンの少女が、サッカーズでの田舎暮らしをしている間に、何百年も前の“時”に紛れ込んでしまう。その“時”と今の“時”とを行きつ戻りつする中で、美しい自然と、命を繋げているそれぞれの人々の息吹が聞こえて来る物語。 読み始めは、まさか自分が完読出来るとは思わなかったが、サッカーズの館や自然が眼に浮かぶ様になってからは、少しずつ少しずつ、風景を大切にしながら読み進める事が出来た。
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