熱砂の絆(上) の商品レビュー

グレン・ミード(著者),戸田裕之(訳者)

四年後、ドイツ軍情報…

[文庫ＯＦＦ]

四年後、ドイツ軍情報部に所属するハルダーは、大戦の勝敗を左右する極秘任務を命じられた。目的地はカイロ。そして同行者の一人が、意外にもラーエルだった。

2016/11/16

この物語はアメリカ育ちのドイツ青年のハルダーとそのドイツ家族と雇用関係にあったアメリカ家族の子息ウィーバーの二人の幼馴染がエジプトでの発掘調査で知り合った女性を交え友情を育む話から書き起こされる。しかし、時はナチスドイツの台頭によりまさに第二次大戦の前夜、ドイツ青年のもとには召集令状が届き二人は枢機国と連合国に袂をわかれて戦争に赴くことになった。それから、2年。かの砂漠の狐と賞賛されたロンメル元帥もカイロを掌中に収めることができず、また、神聖ドイツ帝国の主要都市に連合国が昼夜を問わずに爆撃を許すに至ってドイツの旗色は日を追うごとに悪くなっていることは軍人でなくともわかるようになりつつあった。このような情勢下、アメリカ軍のヨーロッパへの本格参戦を協議する為にチャーチル首相とローズベルト大統領がカイロで会談することを事前にキャッチしたヒムラーは、両トップの暗殺を企てる。その攻撃指揮官として白羽の矢が立ったのが米語、アラビア語に堪能で優秀工作指揮官であるハルダーであった。一方、連合国側現地情報士官にはウィーバーがおり、奇しくも幼馴染がカイロで相見える状況となった。