暴力について 共和国の危機 の商品レビュー
暴力について―共和国の危機 (和書)2012年02月01日 16:15 2000 みすず書房 ハンナ アーレント, Hannah Arendt, 山田 正行 ハンナ・アーレントさんの本は良いです。自分自身もそれに近づける様にしたいと思うことができる。そういう人の本は非常に有益...
暴力について―共和国の危機 (和書)2012年02月01日 16:15 2000 みすず書房 ハンナ アーレント, Hannah Arendt, 山田 正行 ハンナ・アーレントさんの本は良いです。自分自身もそれに近づける様にしたいと思うことができる。そういう人の本は非常に有益だし、生きていくのに必要なものだと思います。 こんかいは『暴力について』でした。アレントさんの他の本を借りにいったら貸し出し中だったのでこの本を借りた。非常におもしろい。次は『革命について』を読んでみたい。 アレントさんの全集などでないかな?あったら買いたいけど高そうだから借りたい。きっと誰かが企画してるかもしれない。その人達に期待しています。
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人間の行為の特徴は、つねに何か新しいことを始めることであるが、それは一番最初から始める、無から創造することができるということを意味するわけではない。行為をなす余地をつくるためには、以前からあったものを取り除いたり壊さなければならないのであって、もとのままのものは変えられることにな...
人間の行為の特徴は、つねに何か新しいことを始めることであるが、それは一番最初から始める、無から創造することができるということを意味するわけではない。行為をなす余地をつくるためには、以前からあったものを取り除いたり壊さなければならないのであって、もとのままのものは変えられることになる。そうした変化は、もしわれわれがいま自分の肉体がいるところから頭のなかで自分自身を移して、さまざまな事物がいま現にあるのとは異なるものであるかもしれないことを想像することができなければ、不可能である。いいかえれば、〈事実の真理〉の意識的な拒否――嘘をつく能力――と事実を変える能力――行為する能力――は相互に関連しているのであって、両者は想像力という共通の源泉によってはじめて存在するのである。
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アメリカに亡命したハンナ・アーレントが、ベトナム戦争の激化、公民権運動や学生運動の高まり、プラハの春などなどの激動の時代を踏まえて、70年前後に書いた政治的なエッセイを集めたもの。いつもはアマゾンで本を買うのだが、久しぶりに書店で本を眺めていて、面白そうだったので、読んでみた。 ...
アメリカに亡命したハンナ・アーレントが、ベトナム戦争の激化、公民権運動や学生運動の高まり、プラハの春などなどの激動の時代を踏まえて、70年前後に書いた政治的なエッセイを集めたもの。いつもはアマゾンで本を買うのだが、久しぶりに書店で本を眺めていて、面白そうだったので、読んでみた。 いつもは難解な印象のアーレントだが、個人的にも興味をもっているこの時代の具体的な事件を背景に議論を進めて行くためか、わりと読みやすい。 テーマも、政治的な嘘、市民的不服従、暴力など、個人的に関心の強い問題群である。また、核兵器によって大国間の戦争が不可能になった状態での小国や小さな集団の軍事的影響力の増大など、今日のテロリズムやならず者国家の問題に直結する問題意識だとか、未来への希望を持てない世代の話とか、まさに今日的な状況そのものの洞察がたくさん含まれていて、とても40年くらい前のエッセイとは思えないものになっている。 とはいえ、そこはアーレント、やはり一筋縄ではいかない複雑さを内包している。 それが一番如実にでてくるのが、本の一番最後にでてくるインタビュー「政治と革命についての考察」で、いかにも70年代くらいの典型的左翼インテリといったインタビュアーの質問をバサバサと切り捨てつつ、誠実に、そしてかなり分かりやすく自身の立場を解説していくところが圧巻だ。 つまり、「黒か、白か」「賛成か、反対か」など、分かりやすいポジショニングを訪ねるインタビュアーに対して、「そんな質問、意味ないでしょ。世の中そんなに単純ではない」と単純なポジショニングこそ、ファシズムに通じるものだという感じで返答しつつ、ほとんど不可能であるものの唯一の可能性としての共和制への希望をもって、話は終わる。 その辺、なんだかんだで、非決定論や暴力論を経由して、「来るべき民主主義」を志向するデリダとも通じるかな、なんて、にわかデリダ読者は思ったりする。 というふうにインタビュアーをバカにした読みが可能なのは、誰にとっても今は、ポスト共産主義、ポスト冷戦、ポスト9. 11、あるいはポスト資本主義の時代になっていることが明らかな状況であるからであって、70年くらいの左翼インテリには、やっぱり「社会主義か、資本主義か」というフレームを通してしか、物事をみれなかったわけで、それはそれで、人ごとではなく、笑えない。 これまで気になる存在でありつつ、なかなか入門できなかったアーレントだが、これを機会に少し他の著書にも手を伸ばしてみようかな。
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アーレントの論考とインタビューを集めた著作。各論文の内容は、1960年代ごろのアメリカの政治問題についての論考になっている。しかし、そこで扱われるテーマは時代的制約を超えた普遍性を有している。権力と暴力の概念的区別や市民的不服従の問題など、各論文で提起されている思想的問題は今なお...
アーレントの論考とインタビューを集めた著作。各論文の内容は、1960年代ごろのアメリカの政治問題についての論考になっている。しかし、そこで扱われるテーマは時代的制約を超えた普遍性を有している。権力と暴力の概念的区別や市民的不服従の問題など、各論文で提起されている思想的問題は今なお十分な解決を見ていないし、インタビューで表明されている、アーレント自身の国家の理想像―評議会システムによる連邦―は、現在まで多くの批判に晒されてきているが、『革命について』などと合わせて、その意義が再考されても良いように思われる。
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[ 内容 ] ベトナム戦争、プラハの春、学生運動…1960年代後半から70年代初頭にかけて全世界的な広がりをみせた騒然たる動向を、著者は亡命の地・アメリカ合衆国でどのように考えていたか。 「国防総省秘密報告書」を手がかりに嘘と現実(リアリティ)とのあり方を論じた「政治における嘘」...
[ 内容 ] ベトナム戦争、プラハの春、学生運動…1960年代後半から70年代初頭にかけて全世界的な広がりをみせた騒然たる動向を、著者は亡命の地・アメリカ合衆国でどのように考えていたか。 「国防総省秘密報告書」を手がかりに嘘と現実(リアリティ)とのあり方を論じた「政治における嘘」、暴力と権力との相違をテーマにした「暴力について」、さらに「市民的不服従」など、本書は、情況への鋭い発言のかたちをとりながら、われわれとわれわれを取りまく世界への根本的な問いを投げかけている。 「政治とは何か」をもっとも明快かつ具体的に論じた書ともいえよう。 [ 目次 ] 政治における嘘―国防総省秘密報告書についての省察 市民的不服従 暴力について 政治と革命についての考察―一つの註釈 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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この手の本って、著者と読者が問題意識を一にするか、あるいは、著者の問題意識を読者がよく理解していないと、読めないんだろうな。政治学の基礎とか分かっていないから、非常に難解。一時間に5ページぐらいしか進まないもん。でも頑張って読みます。
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「暴力について」の他に、数編論文が収められているが、やはり中心となるのはこれ。 アーレントは、まず、暴力=Violence=Gewaltをたの混同しやすい概念からの分離でもって、論述を開始する。 すなわち、権力、力、強制力、権威などからである。 この暴力についての考察は、ベ...
「暴力について」の他に、数編論文が収められているが、やはり中心となるのはこれ。 アーレントは、まず、暴力=Violence=Gewaltをたの混同しやすい概念からの分離でもって、論述を開始する。 すなわち、権力、力、強制力、権威などからである。 この暴力についての考察は、ベンヤミン「暴力批判論」と比較することで理解をしやすい。 「理論的に見て、権力と暴力が生物学的用語で解釈される、政治的な事柄をめぐる有機体思考の伝統ほど危険なものはありえないとわたしは思う。 …政治的な用語ではなく、生物学的な用語で語るかぎり、暴力の礼賛者たちは、自然の営みの中では破壊と創造は自然の過程の両面にほかならないという否定しがたい事実に訴えることができるので、集合的な暴力行為は、それが本来もっている魅力とはまったく別に、動物王国における生命維持のために生存競争と暴力死がそうであるのと同様に、人類の集合的生活にとって自然な必要条件であると訴えられるかもしれない。」 国家の擬人的表現には大きな落とし穴が、付きまとうことは、憲法学、政治学、社会学を取り扱うものは意識しなければならないと思う。 目次 政治における嘘―国防総省秘密報告書についての省察 市民的不服従 暴力について 政治と革命についての考察―一つの註釈
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