覚と根本実在 の商品レビュー
抱石久松真一の根本思想である「覚の宗教」がどのように形成されていったのかを明らかにする試みです。 著者は、久松の「覚」の立場を解明するために、彼の「大疑」から「大悟」への歩みをていねいに追っていきます。そのためにまず、若き日の久松が浄土真宗の信仰に対する疑いに投げ込まれ、西田幾...
抱石久松真一の根本思想である「覚の宗教」がどのように形成されていったのかを明らかにする試みです。 著者は、久松の「覚」の立場を解明するために、彼の「大疑」から「大悟」への歩みをていねいに追っていきます。そのためにまず、若き日の久松が浄土真宗の信仰に対する疑いに投げ込まれ、西田幾多郎との出会いによって哲学的考察によって自己の根源へとさかのぼっていくきっかけがあたえられたことが、くわしく論じられています。その際、『善の研究』のみならず、久松が受講した「宗教学」や「哲学概論」の講義について検討をくわえ、久松が西田の思想からどのような影響を受けたのかが考察されています。 さらに著者は、久松の卒業論文について検討をおこない、形而上学と認識論の統一を図ろうとした西田の思想的影響のもとで、カントや新カント派の哲学の限界を乗り越えようと試みていたことが明らかにされます。 最後は、「賓主身分」「神と創造」「救済の論理」の3つの論文をとりあげ、「大疑」をくぐり抜けた末に久松が到達した「覚」の思想の内実に迫っています。 究極的な境位をまっすぐに指し示す久松の議論は、分析的な議論の対象とすることがむずかしいように思われますが、本書では若き日の久松が西田幾多郎の思想をどのように受け止め、そこから何を学んだのかをていねいに追っていくことで、久松の思想の内実に分析のメスを挿し入れることで、その難解な思想の一端を解明しています。
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