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菜の花の沖 新装版(三) の商品レビュー

4.2

34件のお客様レビュー

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2010/01/31

嘉兵衛がいよいよ船頭として頭角を顕わし、蝦夷地を訪れ「日本」を外から見る目が入ってきて、ぐっと面白くなる。

Posted byブクログ

2010/01/10

自前の船・辰悦丸が完成。松前から箱館(函館)まで行く。幕府の役人・高橋三平と親しくなり、三橋藤右衛門、最上徳内も船に乗せる。北風との軋轢なども書かれています。この巻は途中、蝦夷地と松前藩、近江商人、アイヌの人々の説明がかなり続いて、航海時のテンポのよさが急に落ちるので、多少辛抱が...

自前の船・辰悦丸が完成。松前から箱館(函館)まで行く。幕府の役人・高橋三平と親しくなり、三橋藤右衛門、最上徳内も船に乗せる。北風との軋轢なども書かれています。この巻は途中、蝦夷地と松前藩、近江商人、アイヌの人々の説明がかなり続いて、航海時のテンポのよさが急に落ちるので、多少辛抱がいります。

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2009/10/07

主人公の高田屋嘉兵衛はいよいよ独立。自身の船で松前に初めて向かう。 本の半分以上は、司馬遼太郎の恒例の脱線、というか時代背景の説明に費やされる。 当時の蝦夷地(北海道)を管理していた松前藩は権益にあぐらをかき、蝦夷(アイヌ)を搾取していたのみならず、藩運営ならびにアイヌ虐待の内情...

主人公の高田屋嘉兵衛はいよいよ独立。自身の船で松前に初めて向かう。 本の半分以上は、司馬遼太郎の恒例の脱線、というか時代背景の説明に費やされる。 当時の蝦夷地(北海道)を管理していた松前藩は権益にあぐらをかき、蝦夷(アイヌ)を搾取していたのみならず、藩運営ならびにアイヌ虐待の内情を幕府に対して隠ぺいしていた、との由。 一方でロシアは資源を求めてアジアに進出しつつあったため、虐待されているアイヌをロシアが取り込むことで北海道における影響力を増してしまうことを懸念した幕府は、北海道の東半分を直轄領としてしまうところで3巻は終わる。

Posted byブクログ

2020/07/15

嘉兵衛はかねがね海商である以上は船がりっぱでなければならないと思っていた。 この当然な思想を、名だたる廻船問屋が存外もっていなかった。 船というのは高価なわりには寿命がみじかく、とくに百石以上の大船はせいぜい十五年ぐらいの寿命で、まことにはかない。家屋が恒久材とすれば船は消耗材で...

嘉兵衛はかねがね海商である以上は船がりっぱでなければならないと思っていた。 この当然な思想を、名だたる廻船問屋が存外もっていなかった。 船というのは高価なわりには寿命がみじかく、とくに百石以上の大船はせいぜい十五年ぐらいの寿命で、まことにはかない。家屋が恒久材とすれば船は消耗材であろう。 それに北前というような冬季の日本海の荒波を避けねばならぬ航路の船は、一年に一、二航海できる程度で、一隻の生涯が、よく働いても二十往復できればいいほうだった。 このため、つい、船にかける資金をけちけちせざるをえなくなる。その上、難船・破船してしまえば荷もろとも元も子もなくしてしまし、そのため底の浅い廻船問屋はつぶれてしまう。 廻船問屋というのは剛腹な肚づもりを必要とする商売でありながら、その危険の多さと注ぎ込む資金の大きさから考えると、たれでもやれる稼業ではなく、気が小さくなればどこまでも小心になってしまう稼業でもあった。その気の小ささが、すぐれた船をもつという方向にどうにもゆかないものらしかった。 嘉兵衛は旗揚げの最初から日本一の大船を造ってしまった。この船の入費をとりもどすのは大変なことであったが、しかし人目を驚かせる大船であったればこそ、無名の嘉兵衛が、松前上陸早々、土地の商品から信用を得たし、また多分に商人化している松前の御家中からは、あたまも一軍の総帥でもあるかのような敬意をうけるにいたったといえる。(p.127)

Posted byブクログ