影が行く の商品レビュー
2010年6月4日読了。表題作「影が行く」は映画「遊星からの物体X」の原作。ディックの短編の中でもその苦味・視点の切替が生む効果が私は大好きな「探検隊帰る」などのSF短編を13編含んだ日本オリジナルのアンソロジー。ホラー、というと定義は違う気がするが、どの短編も背筋をゾクリとさせ...
2010年6月4日読了。表題作「影が行く」は映画「遊星からの物体X」の原作。ディックの短編の中でもその苦味・視点の切替が生む効果が私は大好きな「探検隊帰る」などのSF短編を13編含んだ日本オリジナルのアンソロジー。ホラー、というと定義は違う気がするが、どの短編も背筋をゾクリとさせられるような、小説に描かれた未来のその先の未来や、我々が生きる現実世界の延長線上にこんな未来があったとしたら・・・?などと思わず考えさせられてしまう。ほか、「郡体」「唾の樹」などの短編も実に面白かった。レベル高い。
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現在入手可能なSFホラーアンソロジーとしては、『幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる』と双璧を成す傑作選。表題になっている収録作「影が行く」は、カーペンターの『遊星からの物体X』の原作である。今もって色褪せない同映画で割愛された衝撃のシーンをイメージするのも面白いだろう。 マシスン「消え...
現在入手可能なSFホラーアンソロジーとしては、『幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる』と双璧を成す傑作選。表題になっている収録作「影が行く」は、カーペンターの『遊星からの物体X』の原作である。今もって色褪せない同映画で割愛された衝撃のシーンをイメージするのも面白いだろう。 マシスン「消えた少女」は、『トワイライトゾーン』で映像化されている。 他収録作も、映像化が望まれる傑作が多い。ビジュアルイメージが鮮烈な、あるいは、舞台設定や構成が映像向きな、読み手のイマジネーションを広げてくれる、ある種爽快感のある短編集だ。 あ、そうそう。シオドア・L.トーマスの「群体」は、『絶対の危機』や『人食いアメーバの恐怖』の原作ではないか?と勘ぐりたくなってしまう、スライム系モンスターの小説。短編ながら、モンスターが増殖拡散していく様≒被害の拡大が丁寧にテンポ良く描かれている。映画以上に映画的な、拾い物のの逸品。
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