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証言水俣病 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2022/04/05

難しいと敬遠していた水俣病のことが、この一冊でぐっと理解できたような気がする。「証言」の数々が特に心に刺さった。

Posted byブクログ

2021/05/27

1996年に東京で開催された「水俣・東京展」での講演をもとにまとめられた患者さんたちの証言集。石牟礼さんの著作などを通して、患者さんたちの精神性の高さ、強さには感嘆していたが、本書でも改めてその思いを強くした。それにひきかえ、問題を早く終わりにするための和解や認定申請却下を押し通...

1996年に東京で開催された「水俣・東京展」での講演をもとにまとめられた患者さんたちの証言集。石牟礼さんの著作などを通して、患者さんたちの精神性の高さ、強さには感嘆していたが、本書でも改めてその思いを強くした。それにひきかえ、問題を早く終わりにするための和解や認定申請却下を押し通す国や県のやり方の汚いこと。この講演時からすでに30年近く経った今、状況はさらにひどくなっていると聞く。患者さんに犠牲を押し付けて終わりとしないためにも本書は読み継がれていくべき1冊だと思う。

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2016/09/27

(2016.09.26読了)(2011.12.04購入) 【目次】 序章 死者と未生の者のほとりから―水俣病者が語るということ  栗原彬 第一章 悲劇のはじまり 幼い妹が「奇病」に  下田綾子 一家全滅の淵から   荒木洋子 第二章 隠された被害 漁を奪われて     荒木俊二...

(2016.09.26読了)(2011.12.04購入) 【目次】 序章 死者と未生の者のほとりから―水俣病者が語るということ  栗原彬 第一章 悲劇のはじまり 幼い妹が「奇病」に  下田綾子 一家全滅の淵から   荒木洋子 第二章 隠された被害 漁を奪われて     荒木俊二 故郷をはなれて    大村トミエ 第三章 みずから立ち上がる 一人からの闘い    川本輝夫 苦渋の選択      佐々木清登 第四章 水俣病とともに 水俣の海に生きる   杉本栄子 部落に救われて    仲村妙子 第五章 現代を問う 故人たちとの再会   木下レイ子 魂のゆくえ      緒方正人 本書の成り立ち―あとがきにかえて  石黒康 水俣病関連文献 水俣病関連年表 ☆関連図書(既読) 「水俣病」原田正純著、岩波新書、1972.11.22 「水俣病の科学 増補版」西村肇・岡本達明著、日本評論社、2006.07.15 「新装版苦海浄土」石牟礼道子著、講談社文庫、2004.07.15 「天の魚 続・苦海浄土」石牟礼道子著、講談社文庫、1980.04.15 「谷中村滅亡史」荒畑寒村著、新泉社、1970.11.20 「田中正造の生涯」林竹二著、講談社現代新書、1976.07.20 「沈黙の春」カーソン著・青樹簗一訳、新潮文庫、1974.02.20 「奪われし未来」T.コルボーン・D.ダマノスキ著、翔泳社、1997.09.30 (「BOOK」データベースより)amazon 親しき者たちの壮絶な死、突き刺さるような差別と偏見、チッソ・行政との長き闘い、そして和解案受諾の選択…。心身を蝕む病苦を抱えながら、水俣病患者たちは、どのように生き、何を訴えてきたのか。事件の風化が危惧されている今、10名の患者がみずからの体験や思いを語り、時代の感受性を問う証言集。

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2016/07/22

 原田正純さんの『水俣病(http://booklog.jp/item/1/4004111137)』を読んで患者の方々の言葉が聞きたいと思い、本書を手に取ってみた。(実ははじめからそのつもりで借りたのですが)  本書は1996年の「水俣・東京展」での水俣病患者による講演をもとに...

 原田正純さんの『水俣病(http://booklog.jp/item/1/4004111137)』を読んで患者の方々の言葉が聞きたいと思い、本書を手に取ってみた。(実ははじめからそのつもりで借りたのですが)  本書は1996年の「水俣・東京展」での水俣病患者による講演をもとにしており、被害者の方々が全国に広くその問題を訴えるために、自分たちの苦しみをあえて言葉にして伝えるという覚悟の上に成り立っている本とも言える。  その実態は『水俣病』で理解していた以上のものがあった。家族を失い、自分も病に倒れ、信頼していた親戚や近隣の人びとから疎まれ、役所も国も助けてくれなかった。家族、親戚、街の仲間。認定された患者と、認定されなかった患者。企業や行政の責任を追及すべく訴訟を起こした患者と、和解に応じた患者。結局のところ、海は汚され、街の人びとは引き裂かれていったのだということがよく分かる。  彼らはそんな絶望のなかで生き続け、さまざまなきっかけでそれが「水俣病」であると知り、立場は違えども企業や県・国を相手に戦ってゆく。ここにどれほどの苦しみがあり、どれほどの覚悟があったことだろうか、と思う。  1968(昭和43)年に水俣病が公害病とされてからも認定されない患者が多く存在し、水俣病認定をはじめ水俣病に関する裁判は繰り返されてきた。そして1996(平成8)年に、チッソと未認定患者集団のあいだで和解協定書が交わされ、公式的には和解は成立したものとされている。  しかし本書では、未認定患者らが進んでこの和解に賛同したわけではないことがよく分かる。戦いの末に仲間の患者らは高齢とともにますます病状を悪化させてゆく。そのようななかで与えられた最後ともいえる和解の機会。それを彼らは泣く泣く受けいれていったという実態が、複数人の証言から明らかになる。  公式認定から60年が経ち、水俣の海はきれいになったのかもしれない。けれど、そこにはまだ「水俣病」の被害者がいる。そう実感させられる本だった。

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2017/08/17

1996年に東京都・品川で開催された「水俣・東京展」の期間中に 行われた水俣病患者10人の講演をまとめている。 悲惨であるとか、凄絶であるとか、言えば言えるのであろう。 しかし、そんな言葉だけでは物足りないほどの苦しみと悲しみ、 怒り、恐怖、絶望がある。 熊本大学の調査で早々...

1996年に東京都・品川で開催された「水俣・東京展」の期間中に 行われた水俣病患者10人の講演をまとめている。 悲惨であるとか、凄絶であるとか、言えば言えるのであろう。 しかし、そんな言葉だけでは物足りないほどの苦しみと悲しみ、 怒り、恐怖、絶望がある。 熊本大学の調査で早々に有機水銀による汚染が原因であると 判明していた水俣病は、原因企業であるチッソと産業を守ろう とする国が自国民を見殺しにしたのに等しい。 「今後、チッソに対する一切の訴訟・請求はしない」ことを 条件に見舞金をばらまき、工場排水が汚染原因であると分かっ ても垂れ流しは止めず、指定医以外の診断では認定を認めず、 患者が増えれば認定基準を更に厳しくする。 患者たちを苦しめたのはチッソ・国だけではない。当初は奇病だ、 伝染病だと言われ、謂われなき差別を受け、一時金を受け取れば やっかみの目に晒される。 足尾銅山鉱毒事件を引くまでもなく、産業界を優先させた国の 責任も重いはずだ。それなのに裁判や認定申請を取り下げること を条件に、和解協定が結ばれる。 医療費・年金の支給は受けられる。しかし、水銀に侵された体が 元の健康を取り戻す術はない。 日本にもこんな時代があった。これは国と産業界による自国民へ のジェノサイドである。日本人なら読んでおきたい◎な良書である。

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2011/10/15

水俣病の患者たちの生の声を集めて編まれた本。今は、すでに亡い方々もいることを思うと、今後、さらに貴重な証言集になるだろう。

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2010/01/10

まさに『証言』。 すごく分かりやすい。文章としては読みやすい。 だけど、苦しい。重い。 患者の症状描写と、何より言葉が。 豊かな日本のために苦しめられた人たちがいて、 その時代を'知らない’私たちが確実に理解できるこういう本って、貴重。

Posted byブクログ