スパイス戦争 の商品レビュー
スパイスの勉強のために読みましたが、いい意味で期待を裏切られる内容でした。 タイトルの通り、スパイス戦争を主題にしたノンフィクション、歴史小説です。 ただし、他の方も書いていますが、作者がイギリス人の為か全編を通してイギリス人が主役の話になっています。 本来ならフランスの盗木に...
スパイスの勉強のために読みましたが、いい意味で期待を裏切られる内容でした。 タイトルの通り、スパイス戦争を主題にしたノンフィクション、歴史小説です。 ただし、他の方も書いていますが、作者がイギリス人の為か全編を通してイギリス人が主役の話になっています。 本来ならフランスの盗木により自然的に収まっていったスパイス戦争は終焉します。 本書の最後は、イギリス東インド会社のスパイス貿易の拠点としての衰退と、その後のインド植民地経営につながる部分までになっているため、スパイスの歴史として読むと偏った内容だと思います。 内容的に"スパイス戦争が起きてるあたりの時代に活躍したイギリス人の話"が主題の本と思いました。 そのため、原題のNathaniel's Nutmegの方が内容に対ししっくりきますね。 内容は深く、しかも史実に沿った話のようです(判断できるほどの知識がないですが)。 メインではないですが、スパイスは当然、キーアイテムとして登場し、モルッカ諸島やバンダ諸島といった、スパイス好きにおなじみの島々が登場するので、スパイス好きの読みものとしてはいいと思います。 ただ、文章が固く非常に読みにくいです。読了まで一月以上かかってしまいました。 香辛料が大金で取引されていた時代、一攫千金を求めて多くの人々が香料諸島を目指して航海に乗り出したあたりの時代が好きな方には特におすすめです。
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インドネシアのバンダ諸島でイギリスとオランダがナツメグ(香辛料)をめぐって住民そっちのけに争った歴史をつづったノンフィクション。 いわゆる東インド会社の争いなんだけど、イギリスの作家さんが書いているのでイギリスに優しい見方になっているかもしれません(笑) いろんな歴史があるんだな...
インドネシアのバンダ諸島でイギリスとオランダがナツメグ(香辛料)をめぐって住民そっちのけに争った歴史をつづったノンフィクション。 いわゆる東インド会社の争いなんだけど、イギリスの作家さんが書いているのでイギリスに優しい見方になっているかもしれません(笑) いろんな歴史があるんだな~って思ったけど、よほどスパイスや歴史に興味がないと途中で飽きるかも。 同じ内容を新書程度の分量でまとめてもらえたら嬉しかったです!
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極上。史実に関わる著述がたびたび前後、重複するわかりにくさ〜なにしろ話そのものが興味深いのでさほど気にもならないのだけれど〜を除けば完璧なノンフィクション。時は1600年代、舞台は東インド諸島。たった一摑みで一財産築くことができたナツメグ等の香辛料をめぐって、イギリスとオランダが...
極上。史実に関わる著述がたびたび前後、重複するわかりにくさ〜なにしろ話そのものが興味深いのでさほど気にもならないのだけれど〜を除けば完璧なノンフィクション。時は1600年代、舞台は東インド諸島。たった一摑みで一財産築くことができたナツメグ等の香辛料をめぐって、イギリスとオランダが血みどろの戦いを繰り広げる。本書の原題(Nathaniel's Nutmeg)ともなっているナサニエル・コートホープら命知らずの船乗り・商人群像が実にたまらない。ほとんどスポーツ感覚で繰り返される海賊行為がまたシビレる。下手な小説より100倍は面白い。(観たことはないけれど)映画パイレーツ・オブ・カリビアンなんて目じゃないだろう。正しく「事実は小説より奇なり」である。ジャイルズ・ミルトンという著者は相当にできるね。調べたら他に3作あるけれど、どれもこれも面白そう。また一つ楽しみが増えました。
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●構成: 第一章 北の湖のつむじ風 第二章 何という不健康な気候 第三章 音楽と踊るおとめ 第四章 ライオンの爪にかけられ 第五章 「提督、謀られました」 第六章 洋上の叛乱 第七章 食人種の国 第八章 セント・ジョージ旗 第九章 紳士の争い 第十章 血染めの旗を掲げて 第十一章...
●構成: 第一章 北の湖のつむじ風 第二章 何という不健康な気候 第三章 音楽と踊るおとめ 第四章 ライオンの爪にかけられ 第五章 「提督、謀られました」 第六章 洋上の叛乱 第七章 食人種の国 第八章 セント・ジョージ旗 第九章 紳士の争い 第十章 血染めの旗を掲げて 第十一章 火責め、水責めの裁き 第十二章 取引成立 -- 本書は16~17世紀の、ヨーロッパと東南アジアの香辛料交易に関する歴史ノンフィクションである。前半はイギリスを中心とした16世紀の東インド交易の高まり、いわゆるスパイス・レースへの過程を描き、後半は17世紀のイギリスとオランダのルン島を中心としたバンダ諸島の覇権争いを論じる。 前半に関しては、幾人かの冒険商人(イギリス・オランダなど)の動向を通じて、ヨーロッパと東インド(東南アジア)との香辛料交易がどのように成長していったかを追う。一攫千金を夢見る冒険商人の、国からの援助をうけながらではあるが個人商人中心の交易活動から、東インド会社での独占的交易への変容を、冒険商人の視点から論じる。 後半に関しては、イギリス東インド会社の交易員ナサニエル・コートホープの動向を中心として、イギリスとオランダの両東インド会社による香料諸島の争奪戦を記す。東インド会社初期において、比較的穏健な交易活動を行っていたイギリスと武力による強権的な交易活動を旨としたオランダの方針の違いは、17世紀のほとんどの時期にオランダの優位を生み出した。激しい争奪戦のさなかに行われた拷問の叙述は、原住民=非キリスト教徒に対してだけでなく、必要とあれば同じ西洋人に対しても手段を選ばず自己の利益を追求する姿勢をまざまざと見せつける。 香辛料交易に対して、西洋人がいかに心血を注いでいたかを活写しており、小説のつもりで一気に読める本である。 -- 【図書館】
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