吸血鬼 の商品レビュー
新事実!
「ユリイカ」2021年10月臨時増刊号 須永朝彦追悼より 収録策「死者の訪ひ」は、どうやら須永朝彦氏ご自分の翻訳だった!とのこと。 対談「幻の夢をうつつに見る人」によると、そうなっています。
士門
スタニスラウス・エリック・ステンボック伯爵「夜ごとの調べ」 まさかそんなにBLしてる吸血鬼譚があるかいて…。 耽美!!退廃!!!!謎の男と美少年!!!!!禁断の口付け!!!!!!!!! と、これでもかと言わんばかりに耽美BL。すごいて。 須永朝彦「樅の木の下で」 俺達の須永朝彦...
スタニスラウス・エリック・ステンボック伯爵「夜ごとの調べ」 まさかそんなにBLしてる吸血鬼譚があるかいて…。 耽美!!退廃!!!!謎の男と美少年!!!!!禁断の口付け!!!!!!!!! と、これでもかと言わんばかりに耽美BL。すごいて。 須永朝彦「樅の木の下で」 俺達の須永朝彦はやはり裏切らない。 なんかもう当然のように男×男エピソードでわろた…。 そんなロマンティックな逃避行演じられたら…頭がおかしくなっちまうよ…。 「就眠儀式」でも思ったけど、やっぱり謎の男に惹かれる男…みたいなの好きなんだな…。わかる…わかるよ……。 なんで悲恋ENDみてーな終わり方なんだよ…。オタクは全員好きだよ、そんなの…。 寺山修司「室内楽」 いやだからなんでそんなホモなのかて。 互いに血を吸い合い、渇き合い、潤い合う男と男……。 そんな…そんなんありかよ………。
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古今東西の古典から近・現代の吸血鬼譚26編。吸血鬼は西洋の怪物なので東洋にはないけれど、そこはうまく吸血鬼に似た怪異を描いた古典、現代作家による吸血鬼ものを選んで収録されている。井原西鶴の「紫女」は西洋の吸血鬼そのもののような、じわじわと人間の生気を吸い取る化け物で、類似性が面白...
古今東西の古典から近・現代の吸血鬼譚26編。吸血鬼は西洋の怪物なので東洋にはないけれど、そこはうまく吸血鬼に似た怪異を描いた古典、現代作家による吸血鬼ものを選んで収録されている。井原西鶴の「紫女」は西洋の吸血鬼そのもののような、じわじわと人間の生気を吸い取る化け物で、類似性が面白い。個人的にはバイロンの「断章」とポリドリの「吸血鬼」が隣り合わせに並んでいるのが面白かった。吸血鬼好きにはうれしい一冊。
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全20巻からなるアンソロジー集の12巻目。 「吸血鬼」は数多くの作品を生んだ、一大怪奇譚である。 青白い顔の美青年、不老不死の彼の秘密は他人の血。闇夜に紛れて忍び込み、鋭い牙で美女の血を吸う。吸われたものは一見、死んでしまったようにみえるが、血を吸われることで吸血鬼と化しており...
全20巻からなるアンソロジー集の12巻目。 「吸血鬼」は数多くの作品を生んだ、一大怪奇譚である。 青白い顔の美青年、不老不死の彼の秘密は他人の血。闇夜に紛れて忍び込み、鋭い牙で美女の血を吸う。吸われたものは一見、死んでしまったようにみえるが、血を吸われることで吸血鬼と化しており、のちに墓場からよみがえる。 不死とはいえ、彼らには弱点があり、ニンニクや日の光、十字架には弱い。心臓に杭を打ち込まれると滅びる。 バリエーションはさまざまあれ、典型的なものはそんなイメージだろうか。 吸血鬼の「原型」となる伝説はかなり古くからあり、当初は吸血鬼化するのは貴族ではなく、農夫など庶民だった。彼らは必ずしも「血」を吸うわけではなく、生者にしかない「生気」を奪うものだった。 死者がよみがえり、生者に害をなすというのは、古代から人々の心に潜む恐怖だろう。吸血鬼に咬まれると吸血鬼になるという発想は、伝染病の陰を感じさせる。キリスト教以前の多神教の影響も多分にあろう。言うまでもなく、土葬文化と強く結びつくものでもある。 吸血鬼伝説が最も盛んであったのは、特に18世紀のバルカン半島であったという。近代になり、異常心理学的、また「科学」的見地からの解析が試みられもする。但し、ことの性質上、むしろオカルティズムや錬金術と結びつける方がはるかに容易であったろう。 本書は、「吸血鬼」に関する詩や短編小説、論考を集めているが、吸血鬼そのものというよりも、もう少し広く「吸血鬼的なるもの」への思索の逍遥を誘っているようだ。 闇より来たりしものに魅入られ、その世界に引きずり込まれる。そうなれば白日の下、「清く正しく」「健全に」暮らすことはもはや叶わない。にもかかわらず、時に、それに抗えぬ魅力を感じる者がいるのはなぜか。 吸血鬼にはどこか、エロティシズムを伴う甘美な背徳の香りが漂うようである。それを端的に示したのが、ポリドリ『吸血鬼』に始まり、ブラム・ストーカーが発展させた「青年貴族の吸血鬼」像なのだろう。 収録作をいくつか拾ってみる。 ゲーテ『コリントの許嫁』 アテネの若者がコリントの許嫁の家を訪ねるが、父と娘はすでに就寝しており、母のみに迎えられる。疲れて眠りに就いた若者の元に、1人の美女が現れる。死をもって成就する激しい愛欲。ギリシャ神話のエッセンスも含み、甘やかに怖ろしい。 バイロン『断章』/ポリドリ『吸血鬼』 いずれも1816年、バイロン卿邸での怪異談義から生まれた(同じ時に、メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の萌芽も生まれている)。『断章』はよみがえりがモチーフのごく短いスケッチ的作品。エジプトを舞台とし、エキゾチックで魔術的。『吸血鬼』は長く、バイロン卿作と誤解されていた作品で、これが現在のドラキュラ像の嚆矢とされる。社交界で有名な青年貴族、だがその周囲には死が撒き散らされていた。彼の毒牙から妹を救おうとする兄の戦いの行方は。 ポオ『ベレニス』 恋人の歯にまつわる、悪夢のような1編。偏執的な狂気を漂わせ、強い印象を残す。「吸血鬼」の話か、というと、少々広がり過ぎな感じがするが、死してなお残る妖しの力を歯に象徴させた、と思えば、「吸血鬼的なるもの」と言えなくもない。いずれにしても絶叫を誘うラスト。 ダーレス『仮面舞踏会』 正真正銘の吸血鬼が登場するが、時代が下っている(*1952年発表)せいか、比較的からりと明るい。仮面舞踏会に参加した姉弟。どうやら本物のドラキュラが紛れ込んでいるらしいのだけど、真相は? どんでん返しが軽やか。 ゴーティエ『クラリモンド』 芥川龍之介訳。やはり本書に収録されている『刺絡』(シュトローブル作・森鴎外訳)と併せて、日本でごく初期に紹介された吸血鬼ものの1つ。敬虔な若き僧侶が、ただ一度、美女を見てしまったために激しい恋に落ちる。「信仰」と「官能」の間に引き裂かれたその恋の顛末を記す。芥川自身の作品を彷彿させる鮮やかな1編。 須永朝彦『樅の木の下で』 大戦前のウィーンを舞台にした吸血鬼譚。17歳の日本人の秀才少年と20歳のオーストリア公爵の交友が、美しい欧州の風景の中に描き出される。怪奇色は強くない。深い樅の森林で味わう友愛と陶酔には、どこか同性愛的な味わいもあるが、それもまた吸血鬼ものの1つの典型。 *このシリーズ、私は既読は19巻「王朝」のみなのですが、古今東西の怪奇幻想譚から幅広く採られていて、なかなかアヤシイ雰囲気です。ほかに「王侯」、「美少年」、「美食」、「妖怪」などなどのタイトルがあります。
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ゲーテ「コリントの許嫁」、ダーレス「仮面舞踏会」、ボードレール「吸血鬼」、種村季弘「吸血鬼幻想」など、吸血鬼をテーマにした作品26編を収録
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ポリドリの「吸血鬼」が読みたくて手にしましたが、広いものでした。その元になったバイロン卿の「断章」や、ストーカーの「ドラキュラの客」など"吸血鬼がいっぱい”です。解題には映画の紹介もあって、またまた読みたい本が溜まってしまいますね。このシリーズは20タイトルありますが、...
ポリドリの「吸血鬼」が読みたくて手にしましたが、広いものでした。その元になったバイロン卿の「断章」や、ストーカーの「ドラキュラの客」など"吸血鬼がいっぱい”です。解題には映画の紹介もあって、またまた読みたい本が溜まってしまいますね。このシリーズは20タイトルありますが、いずれも面白そうです。
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