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私の東京物語―蘇る日々 の商品レビュー

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2024/09/29

【華族の自由研究:3】 財閥系の華族ということから『街の灯』の主人公、花村英子のモデル?かと思われる著者ですが、その人生も華族そのものでした。 軽井沢や鎌倉の別荘、皇族や大名華族との付き合い、なんでも「お」をつける言葉づかいから「おパン」「おすてー」や「御御御汁おみおつけ」…。...

【華族の自由研究:3】 財閥系の華族ということから『街の灯』の主人公、花村英子のモデル?かと思われる著者ですが、その人生も華族そのものでした。 軽井沢や鎌倉の別荘、皇族や大名華族との付き合い、なんでも「お」をつける言葉づかいから「おパン」「おすてー」や「御御御汁おみおつけ」…。 著者の父は、福沢諭吉とご縁があるそうで、「大きくなったら天下をとって、おじさん(諭吉)に半分やる」と言った豪快な逸話が残っています。 『街の灯』に出てきた〈崖下〉の一般庶民を思うシーンが、本書にあることも興味深いです。「崖上のブルジョア家庭(中略)から飛んで来る球を崖下の子供たちはどう受けとめていただろう?」p196 しかし戦争は、朝吹家にも容赦なく影響を及ぼします。 洋風の暮らしぶりが敵意の的にされ、石を投げられたこともあったそうです。 ロイヤルコペンハーゲンの食器でご馳走だった生活から、ヤミ市でパンを求める食糧難の生活へ…。落差が激し過ぎます。 著者はその後、パリに移住し、フランス文学者として活躍されたそうです。 ――― 『街の灯』のお嬢様のその後は?という疑問から華族のお嬢様の自由研究をしてみましたが、彼女たちに共通している言葉があると気づきました。 〈ノブレス・オブリージュ※〉という言葉です。 いたずらに財力や権力をふりかざすことなく、いつも礼儀正しく、家に伝わる文化や先祖の想いを受け継いでいく…。 この精神が、戦後の混乱期でも彼女たちを支えたと思いました。 おわり ※「noblesse(貴族)」と「obliger(義務を負わせる)」を合成した言葉。で〈財力、権力社会的地位の保持には責任が伴うことをさす〉 ★再読記録に余談アリマス→→→

Posted byブクログ

2012/10/03

戦前、日本に本物の上流階級が存在した頃。深窓の令嬢だった著者が少女時代を懐古している。思い出エッセイに留まらずできるだけ正確に自分の記憶を辿ろうと している姿勢に好感をもちます。皇族・財閥・大名家の子女が集まる学習院の様子、軽井沢での交流、 両親の世界一周漫遊、瀟洒な邸宅での暮し...

戦前、日本に本物の上流階級が存在した頃。深窓の令嬢だった著者が少女時代を懐古している。思い出エッセイに留まらずできるだけ正確に自分の記憶を辿ろうと している姿勢に好感をもちます。皇族・財閥・大名家の子女が集まる学習院の様子、軽井沢での交流、 両親の世界一周漫遊、瀟洒な邸宅での暮しなどなど。今読んでも雲の上の生活に目を見張ってしまう。 当時「お嬢様」「お姫様」として同窓生だった女性達が戦後どのような人生を歩んだかについての言及も多く、昭和女性史の生きた証言がたくさん。 興味深いです。

Posted byブクログ