ぶたぶた の商品レビュー
ぶたのぬいぐるみが、当たり前のように喋ったり動いたり食事をしたりと、まるで人間のような日常生活をしていると聞くと、単に、ほっこりとした可愛らしさを持った、癒やし系ファンタジーと思われるかもしれないが、これが意外と、様々な生き辛さを抱えた多くの人にとって、ひとつの救いとなっている...
ぶたのぬいぐるみが、当たり前のように喋ったり動いたり食事をしたりと、まるで人間のような日常生活をしていると聞くと、単に、ほっこりとした可愛らしさを持った、癒やし系ファンタジーと思われるかもしれないが、これが意外と、様々な生き辛さを抱えた多くの人にとって、ひとつの救いとなっていることには、さすがに驚きを隠せなかった。 本書(1998年)は、全9つの中短篇で構成されており、それぞれに異なる職業などで登場する、ぶたのぬいぐるみには、「山崎ぶたぶた」という歴とした名前があり、そんな彼が(年齢的にはおっさんらしい)偶然なのか必然なのか、出会う人それぞれの心の澱を、そっと吐き出させてくれる不思議な存在感に、最初こそ、「えっ、ぶたのぬいぐるみがベビーシッター!?」といった、シュールな面白さにクスッと笑えるものがあったものの、回を重ねる毎に自然と居住まいを正してしまうような、ハッとさせられる気付きも促してくれた。 印象的なお話としては、「銀色のプール」の、小三の少年の大人への第一歩とも感じられた、彼との素敵な一夜の体験や、「殺られ屋」の、彼が身をもって教えてくれた、主観的思いと客観的思いとを混同しない大切さに加え、「ただいま」での、謎の疾走を遂げたきり何年も帰ってこない兄を忘れられない家族を描いた、シリアスなストーリーを、ぬいぐるみが何の違和感も無く、より味わい深いものにしている、その緻密な構成には、こうしたファンタジーもあるのだといった、ぬいぐるみが現実世界への干渉を為すことで、より良い世界へと変貌していく点に、何かメッセージがあるような気がしてならないものを感じられた。 その根拠として印象に残っているのが、「ストレンジガーデン」での『見えるままを受け入れられる』ことであり、最初はぬいぐるみという、夢物語みたいな存在であっても、その中身が大切なのだと言っているように思われたが、実はそうではなく、ぬいぐるみであろうと人間であろうと、それ自体の存在を敬い受け入れる姿勢が大切なのだと感じ、そうした視点で自分以外の人間や物事を眺めたときに得られる、自分自身のフラットな立ち位置には、もしかしたら、私も人間の姿をしたぬいぐるみなのかもしれないと思わせるくらいの妄想を逞しくした、そんな臨場感がありながらも、奇妙な世界に於ける白昼夢といった面白さであった。 それから、矢崎存美さんが、ぶたぶたという名前のぬいぐるみを実際に大切に持っているエピソードには、これだけ彼に愛情を込めに込めた、そうした思いが幾度となく見え隠れするものを空想で書かれたとは思えなかったので、とても納得出来るものがあり、『私にとって、ぬいぐるみも人間も、それほど違いはありません。余計なことをぬかすあいつより、この無口なくまちゃんの方がよほどまし、と思ったことないですか?』への共感も抱いた、そんな彼女のフラットな愛情は、最後の「桜色を探しに」での、ここまで読んできた読み手への感謝の気持ちを込めたような、ぬいぐるみと人間、相互にとっての粋な計らいにもよく表れていると思われたのである。
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シリーズ物の1作目。 後のはどれを読んでも問題なさそうなので、随時シリーズを読破していこうかな♪ 愛くるしい見た目のぶたのぬいぐるみの山崎ぶたぶたさん。 小さい頃、ぬいぐるみとお話していた(もちろん心の中で)私としてはなんともツボったお話(笑) 話す時に鼻をもくもく動かす・・ もくもくって表現もかわいすぎやしませんか(笑) あー、でも。おはながもくもく動く姿、想像できちゃうなぁ♪ かわいらしいお話かと思いきや『殺られ屋』とかちょっと考えちゃうお話もあり。 ラストのお話はつながりがあって、ちゃんと時系列があってぶたぶたさんは生きているんだなぁ。。と妙に納得(笑) ぶたぶたさんがなぜぬいぐるみなのかは謎ですけど、またお気に入りのシリーズに出会えました♪
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ある時はベビーシッター、ある時はおもちゃ屋の店員、その他タクシー運転手、フレンチのシェフ、サラリーマン…いろんな顔を見せてくれる山崎ぶたぶたはピンク色のぶたのぬいぐるみ。「ホンマにぬいぐるみか!」と最初は戸惑うが、いつの間にかぶたぶたワールドに引きずり込まれていました!作中の人物...
ある時はベビーシッター、ある時はおもちゃ屋の店員、その他タクシー運転手、フレンチのシェフ、サラリーマン…いろんな顔を見せてくれる山崎ぶたぶたはピンク色のぶたのぬいぐるみ。「ホンマにぬいぐるみか!」と最初は戸惑うが、いつの間にかぶたぶたワールドに引きずり込まれていました!作中の人物だけでなく、読み手まで幸せな気持ちにしてくれるぶたぶた。まだまだシリーズが続くので楽しみです♪幼い頃のぶたぶたの記憶で出会う、あの2人…ラストの話も最高!
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かわいいブタのぬいぐるみがベビーシッターをしたり、タクシーの運転手になってたり、イタリアンレストランでシェフをしてフランス留学したりしてる・・・・なんだこの小説は?! かわいい、かわいいぞ、ぶたぶたさん! でも中身はオジサンらしい・・・(とはいえ30代?) いろんなシーンで登場するブタブタさんが、最後の話でつながっていきます。 「ただいま」が好き。 つい街中でバレーボール大のブタのぬいぐるみが歩いていないか探してしまいそうです。
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区切りの300冊目はぶたぶたさん。ぶたぶたさんってば…なんてぶたぶたさんなの❤ちょっと町でぶたぶたさん探してみます。牛乳飲むぶたぶたさん、耳を洗濯ばさみで吊るされたぶたぶたさん、轢かれるぶたぶたさん、からすにさらわれるぶたぶたさん、もうっ!ぶたぶたさんってば!!って感じです。
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あるときはベビーシッター、あるときはタクシードライバー、あるときはコックさん…見た目は可愛いピンクのぶたのぬいぐるみだけど、中身はすごく紳士で優しいおじさま(?)その名も山崎ぶたぶたさん。ぶたぶたさんかわいいいよー癒されました。話すと鼻先もくもく動くのかわいすぎる……。 ほのぼの...
あるときはベビーシッター、あるときはタクシードライバー、あるときはコックさん…見た目は可愛いピンクのぶたのぬいぐるみだけど、中身はすごく紳士で優しいおじさま(?)その名も山崎ぶたぶたさん。ぶたぶたさんかわいいいよー癒されました。話すと鼻先もくもく動くのかわいすぎる……。 ほのぼの短編集だなーと思ってたら「殺られ屋」みたいな重い話があったり「ただいま」みたいな泣ける話もあったり、そして最後の一話で綺麗に話が繋がって、すごく満足。
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ぶたぶたシリーズの第1作。相変わらず、ほのぼのしていて、安心できる。 しかし、なんとなくぶたぶたさんの過去?みたいなものも出てきて、気になるところ。
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自分にだけ、かわいいぶたのぬいぐるみに見えている「ぶたぶた」さんが登場するお話集。 表紙で見ると、ぬいぐるみはかわいいし内容もほんのりと楽しい。 でも1冊の本でずっと同じような内容だときつかったです。
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ずっと気になっていたのをやっと読めました。 ぶたぶた癒される。 ちょっと疲れたときとかに読むと、 癒されるし勇気をもらえるし、 心がほっと温かくなるお話です。
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基本的にシリーズ物は、単行本なら単行本、文庫なら文庫でそろえるのだけれど。この表紙の愛くるしさに、これだけは単行本で買ってしまった…!ぱっと見「ぷたぷた」って読めちゃうのも、ぶたぶたさんなら許しちゃう。 外見は愛くるしい桜色の(ちょっとくたびれた)ぬいぐるみ。 中身は中年男性ぶ...
基本的にシリーズ物は、単行本なら単行本、文庫なら文庫でそろえるのだけれど。この表紙の愛くるしさに、これだけは単行本で買ってしまった…!ぱっと見「ぷたぷた」って読めちゃうのも、ぶたぶたさんなら許しちゃう。 外見は愛くるしい桜色の(ちょっとくたびれた)ぬいぐるみ。 中身は中年男性ぶたぶたさんが、ある時はベビーシッター(の責任者)、フレンチシェフ、ある時はおもちゃ屋の店員、またある時はタクシードライバー…etc.と大活躍。 自分に降りかかる、良いものも悪いものもそのまま静かに受け止めるぶたぶたさんの在り方に、自分もそう在りたいと願う。 (シリーズも回を重ねるごとに、ぶたぶたさんもまろくなっていくのだけれど)まだこのころは少しクールさが勝っている感じで、ちょっぴり新鮮。 ただ、鼻をもくもく動かして喋る様子や、短い手足でちょこちょこ動いてるさまを想像すると、やっぱりすごく癒されてしまうからか、すぐ眠くなっちゃってどうしようもないのが困ったところ(笑) 短編集かと思いきや、最後に大きなまぁるい円を描くように繋がる1冊。 「殺され屋」は少し苦くて、それでもぶたぶたさんの温かさが伝わるお話。 「桜色を探しに」 ぶたぶたさんを通じて知り合ったふたりの関係が自然で、なんだかわからないけれど嬉しくて。 すごく良かった。
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