ふなうた の商品レビュー
表題作の「ふなうた」…
表題作の「ふなうた」は、曲を知らないのに頭の中で聞こえてくるような作品だった。
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三浦哲郎短編集モザイク2冊目「ふなうた」 性、糞尿、生命を嚥み込む、自死…、1冊目より生々しさがあり、体がムズムズ〜っとするお話も。(((=_=))) 80歳のお祝い、傘寿の席で孫が披露したロシア民謡”舟歌”。しかし彼の耳に残る”舟歌”とは違う歌だった。それは戦地ロシアで聞い...
三浦哲郎短編集モザイク2冊目「ふなうた」 性、糞尿、生命を嚥み込む、自死…、1冊目より生々しさがあり、体がムズムズ〜っとするお話も。(((=_=))) 80歳のお祝い、傘寿の席で孫が披露したロシア民謡”舟歌”。しかし彼の耳に残る”舟歌”とは違う歌だった。それは戦地ロシアで聞いた美しい歌だった。もう生きては帰れないと思ったあの夜に、この世の最後に聞く歌だと思った歌だったのに。/『ふなうた』 夫婦の睦み合い。異国で自分だけに囁くように聞こえてきたアナウンス。妄想状態の女から10年受け続けている電話の。それらの声。/『こえ』 田舎の山道にできた夜の店。クリーニング屋の要は一人の女に目を留める。だが別の男といるところを見てその場を離れた。山の中に入った要の足元に群生する赤い赤いアワタケ。/『あわたけ』 亡くなった妻と結婚したのは、焚き火の事故がきっかけだった。家に作った暖炉の側にいると、妻が語りかけてくるようだ。/『たきび』 伝説は糞尿譚が好きなのだろうか。地元にあった伝説と自分の経験とを考えてみる。読んでいてお尻がムズムズしてきた^^;/『でんせつ』 藪入りの里帰りを密かに楽しむ老婦人の一コマ。/『やぶいり』 こんな老人しかいない山の村なのに赤子の泣き声がした。かつて子を産んだ女として久しぶりに聞く泣き声に涙が出そうになる。いても立ってもいられなくなり声の主を探す。/『よなき』 かつて桜貝のようだった爪の色は今では紫色だ。それと同時に身体の動きも悪くなっている。だが入院して退院したら、ちゃんと桜貝がもどっていたんだ。/『さくらがい』 昔気質の仕立て屋は、お客の体をさっと触ってその癖を取る。男性客の場合は股間のその居所も一瞬で触り取らなければいけない。でもその客にはそれが感じられなかったんだ。長年の経験が狂ったかと混乱する仕立て屋。(←本人は真剣なんだが、読者としてはコミカルな感じ)/『てざわり』 帰りの見えない入院でも、下駄を持たせないわけには行かない。でもあの世への旅立ちは下駄でなく草鞋だ。それではこの、履けなくなった帰りの下駄はどうしよう。/『かえりのげた』 ホテルの朝定食。隣りに座った老夫婦は初めてのホテルに驚きと若返った気持ちを持って泊まったようだ。/『ブレックファースト』 コンボ(ごぼう)堀なんていわれる腸捻転で死んだじいさまの墓の上にきれいに牛蒡の花が咲いた。庭に根付いた山椒から咲いた花。花豆を所望する老婦人にまずはふやかす間は目で楽しんでもらおう。/『はな・三しゅ』 昔彼の遺品を燃やした。私は彼の死に責任があるのか。あのときと同じ火柱をみて、自分はきっと何度かうっかりして他人の不幸の原因になったことがあったのだろうと考える。/『ひばしら』 ツアーの老人たちは一人、一人と入れ歯を外した。入れ歯の品評会とは呆れるじゃないか。/『いれば』 83歳の誕生日を金寿と言って祝う。その前夜に銭を枕元に入れて、お祝いに来てくれた人たちに配るんだ。じいさんは寝たきりになってしまったけれど、それでもおめでたいから金寿をすることにした。すると病人に中った人の銭枕ならむしろ演技が良いってみんながお祝いに来てくれたし、昔馴染とも再会できたし、これはこれでよいのかもしれない。/『ぜにまくら』 もうすぐ還暦を迎える妻は、跳ねた油で火傷をして慌てて東京に帰っていった。いままで連れ添った相手だけれど、夫である自分よりも女であることを優先するということがこの先もあるのだろうか。(←いや、これは帰してあげて…)/『かお』 一匹だけ残ったメダカ。田舎に帰らなければいけなくなった女は流し台に向かう。 …読んでいて胸のあたりがムズムズと…(((=﹏=)))/『メダカ』 癌の老女が退院したが、夫は認知症となっていた。翌日の朝、痴呆症の夫はリンゴの木からぶら下がっているものを見た。こりゃあまた、がいにでっかいミノムシぞ。 …読んで心がムズムズと…(((=_=)))/『みのむし』
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18話からなる短編集。 短い話がばかりだけど、深みを感じる。ときに落とし穴に突き落とされたような気持ちにさえなる。 多種多様なの人生の一部が切り取られていて、まったく飽きがこない。 「みのむし」は哀しい衝撃で、「メダカ」は予想外の衝撃だった。どちらも恐ろしい。
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ふなうたと同様、読んでいて笑えたり、泣けたり、市井の人々の生活、人生、それは自分のことなんだけれど、これを読むと、いちいちイライラしても仕方ないかなって思える。 …ちょっとめだかが怖かった…。
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秀逸な短編集。静かで、心のひだにひっかかるような…。 読んでいて安心できる文体です。一歩踏み込んで、何を描きたかったのか考えてしまう。でも分からなかったり(笑)
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なんて恐ろしい作家だろう・・・ここまで人間の孤独や悲しみの淵を巧みに描ける人に出会ったのは初めてかもしれない。 時に東北の農村、また時には繁華街の街角を舞台に織り成されるどこか後味の悪い人間模様。 深深とした沈黙の中で読みたくなる短編たち。 中でも特に最後の『みのむし』はわずか1...
なんて恐ろしい作家だろう・・・ここまで人間の孤独や悲しみの淵を巧みに描ける人に出会ったのは初めてかもしれない。 時に東北の農村、また時には繁華街の街角を舞台に織り成されるどこか後味の悪い人間模様。 深深とした沈黙の中で読みたくなる短編たち。 中でも特に最後の『みのむし』はわずか10ページにも関わらず救いようのない鬱っぷりで独特の存在感を放っている。 今まで読んだ短編の中でも5本の指に入るかも。
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おじいさんが聞きたかったというロシアの「ふなうた」を調べてみた。おそらくはチャイコフスキー作のふなうた、のことだったのだろう。聞いてみた。 あぁ、そうかと思った。 おじいさんが、人生の最後の歌になるかもしれないと思って遠い昔、ロシア兵が歌うのを聞いたのは、この音だったかと。 どこかで聞いたことのある音色であった。 あぁ、そうか。 このように優しく切ない音色であったか。
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「みちづれ」の時はあまり感じなかったが、作者晩年のこの短編集は、死というものの捉え方が、今まで読んだどの小説とも異なっている。この作品での死は衝撃とかそういうものではなく、どちらかと言えば寄り添うような穏やかなものだ。作中、かなりの人数が人生を終えているが、悲壮感はあまり感じられ...
「みちづれ」の時はあまり感じなかったが、作者晩年のこの短編集は、死というものの捉え方が、今まで読んだどの小説とも異なっている。この作品での死は衝撃とかそういうものではなく、どちらかと言えば寄り添うような穏やかなものだ。作中、かなりの人数が人生を終えているが、悲壮感はあまり感じられなかった。それは登場人物の年齢が高いためだが、自分にはまだまだわからない感覚だ。
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2008.10.07. よい、よいよ。なんだか心に染み入って、読み終わってしばらぼうっとなる。切なくなるものあり、可笑しみのあるものあり。どの短編も日本の味がする。方言がまた、いいなぁ。
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