自閉症スペクトル の商品レビュー
最近自閉症とAIの組み合わせがSNSで盛り上がっており、インプットの機会にちょうどいいと思い本書を購入した。 自閉症スペクトルという概念が生まれた時代の専門家であった著者が、自閉性障害の歴史的経緯や症状、対策などをまとめている。 内容は正確に書かれている印象は受けるが、専門用語...
最近自閉症とAIの組み合わせがSNSで盛り上がっており、インプットの機会にちょうどいいと思い本書を購入した。 自閉症スペクトルという概念が生まれた時代の専門家であった著者が、自閉性障害の歴史的経緯や症状、対策などをまとめている。 内容は正確に書かれている印象は受けるが、専門用語が多い訳でもなく、素人でも問題なく読める。 本書は2005年に出版された版なので決して最新の情報ではないが、細かい数値的な分析ではなく行動の傾向などに基づいて議論が展開されていて、現代でも同様の議論は成り立つのだろうという印象がある。 全体を通して、研究対象としてではなく、当事者や親の立場を考えた記述がされている。 自閉性障害の「三つ組」として知られる概念が冒頭付近で紹介されている。 > 「自閉性障害」をもつどの子どもも、人との相互交渉、コミュニケーション、および想像力の欠如が共通して欠けていたり障害されていたりすることがわかりました。またどの子どもにも狭く固い反復的な活動や興味のパターンがありました。この三つの障害(「三つ組」と呼びます)と反復的活動にはさまざまな幅広い種類がありますが、その根底にある類似点は確認されています。(第二章 自閉症スペクトル障害とは) 第三章は診断について書かれていて、境界の曖昧さや個人の多様な振る舞いから診断も複雑な手順を経ざるを得ないことが書かれている。 > 診断は、入手可能なあらゆる情報からもたらされ集積された個人史によってなされます。理想を言えば、乳幼児期からの病歴と現在の行動についての記述が親の面接を通じて体系的に集められなければなりません。細かい重要なところのすべてを網羅するためには、自閉症スペクトル障害の診断用に組まれた質問表を用いるべきです。さらには、その人の行動を観察し、一連の心理検査をすべきです。...この手続きを急ぐあまり適切な質問を欠きますと、診断を誤りかねません。(第三章 診断するということ) 診断の目的は、必要なケアを考えるためであるとされる。 > いつも「この子どもには自閉症障害なのか、他の障害なのか、どちらだろうか」と考えてはなりません。自閉症障害の存在に気づくことが重要である理由は、子どもに必要なケアや教育のタイプを決める最も大切な要件が、他の障害の有無にかかわらず自閉症であるかどうかだからです(第六章 自閉症スペクトル障害または自閉的行動と関連のある疾患) さらにより詳しい特性の説明やそれに対するケアについての記述が続く。 あとがきには我々がとるべき態度が書かれている。 > 自閉性障害をもつ子どもや大人とともに暮らしたり働いたりする私たちは、彼らの世界に入る努力をすることが必要です。なぜなら、彼らのほうからは、私たちの世界に入ってくることができないからです。...自閉症への鍵は、人間的生活の本質への鍵なのです。(あとがき)
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1998年刊行。著者は精神科医(英国)、かつ息女が本疾患に罹患している人物。 今まで読んだ自閉性スペクトラム症候群の全体像をテーマにし、網羅的かつ的確な叙述がなされているものは多くはない(トニー・アトウッド著「ガイドブックアスペルガー症候群」もいい本だが、アスペルガー症候群・高機能自閉症にフォーカスされた書なので)。 専門家以外で、当該テーマに関心のある人の必読といって過言ではなかろう。
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自閉症についてすごく分かりやすいし、よく当てはまる例も挙げられていて、入門書って感じ。少し古い物だけど、それを感じさせないぐらいピッタリ!さすがウィングさん
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自閉症について学ぶのであれば先ず本書をおすすめする。自閉症に関する理論は明快。実の娘が自閉症児であることも関係しているのか、著者の温かみが感じられた。そして、自閉症がどのような障害であるのか、映像が目に浮かぶようであった。
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この本は援助者、親の両方に参考になる本である。自閉症を理解することは決して難解なことではないということを実践的に示してくれている。
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