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桃尻語訳 枕草子(下) の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2022/12/15

詳しいが知識がない人には難関です、博識満載 上巻を中断して何十年、やっと読破 中宮をお慕いして社交的で感性が高かった枕草子 アンテナをはり好きな上司?に仕えられた清少納言は幸せです

Posted byブクログ

2019/01/29

慣れてくると、レナちゃんでなくても「枕草子」が読めるようになる。だから下巻はいらないようなものだが、橋本治の勉強量を知るにはここまで読んだ方がいい。

Posted byブクログ

2017/11/15

「をかし」が「素敵」と訳されているけど、今なら「ヤバイ」になるのかな。清少納言のあっち行ったりこっち行ったりするところは桃尻娘に通じるものがあるし、橋本治そのもののように思えてくる。枕草子を橋本治がまんまとフィクションにしてしまったというのは、確かに成功している。「帰って来た枕草...

「をかし」が「素敵」と訳されているけど、今なら「ヤバイ」になるのかな。清少納言のあっち行ったりこっち行ったりするところは桃尻娘に通じるものがあるし、橋本治そのもののように思えてくる。枕草子を橋本治がまんまとフィクションにしてしまったというのは、確かに成功している。「帰って来た枕草子」なんて続編があっても違和感ないかも。 今さらではあるけど、橋本治の10年がかりの三部作を読み切れたのはとても良かった。

Posted byブクログ

2011/09/01

清少納言や枕草子など、平安時代に女御文学が出たのは、彼女たちが宮仕えをしていたからなんですね。 当時は印刷技術が無く、神も貴重な時代だったので、宮様に近い彼女たちだからこそ、紙をふんだんに使って執筆できたという背景も分かりました。 枕草紙の枕とは何のことかも説明がありました。 ...

清少納言や枕草子など、平安時代に女御文学が出たのは、彼女たちが宮仕えをしていたからなんですね。 当時は印刷技術が無く、神も貴重な時代だったので、宮様に近い彼女たちだからこそ、紙をふんだんに使って執筆できたという背景も分かりました。 枕草紙の枕とは何のことかも説明がありました。 現在もなお、いろいろな憶測が存在するようですが、この本では『史記』を写す人と対で、しき→敷妙(しきたえ、敷布団代わりの布のこと)→枕、と転じたのではないかと書かれています。 つまり、実際には枕とは関係ないんですね。 英語版タイトルは、そのまま「ピロ-・ブック」だそうです。何のことかわかりませんね。 当時は写本していたため、どんどん書き足されていった海賊版も横行したそうです。 平安時代に薔薇の花があったなんて、おどろき。そうびと呼んだそうです。 『落窪物語』の話が挿入されていましたが、当時はトイレがなく、道端に汚物がたまっていたことも知りました。 なんだか、雅なところばかり追っていましたが、そういう生活事情もあったわけですね。 ただ1000年後のフランスも同じような状態だったのですから、仕方が無いでしょう。 最後の巻なので、訳者のあとがきが載っていました。 ノリノリで執筆したのかと思いきや、まずは書き始めるまでの事前準備が大変で、暗中模索のまま書き進めていったとのこと。 なかなか仕上げられず、完成するのに10年もかかったとのこと。 10年もたつと、ギャル語も変遷していて、尚更気を使ったことでしょう。 訳し方について、細かく記されており、とても面倒な作業だったという本音も見え、相当に大変だったことが伺い知れました。 勢いで書きあげたように見える序文は、実際には3回書き直しているそうです。 努力のたまものですね。 今となっては読みづらいなどと、勝手なことを言っていましたが、著者の功績には頭が下がります。 おもしろく読みましたが、よくわからなかったところ(本文というよりは当時のしきたりや官位用語など)もまだ多々あるため、いまいちど、ほかの人による現代語訳を読んでみたいと思いました。

Posted byブクログ

2011/04/11

『桃尻語訳 枕草子』の上・中・下巻には、少なくとも二つの変化を見てとることができる。その一つ目は、上巻にあった「枕のコラム」と題した解説文が、中巻と下巻では見当たらないこと。その理由が、上巻を執筆する時に入っていた気合いのようなものが、中・下巻では尻すぼみになっているというわけで...

『桃尻語訳 枕草子』の上・中・下巻には、少なくとも二つの変化を見てとることができる。その一つ目は、上巻にあった「枕のコラム」と題した解説文が、中巻と下巻では見当たらないこと。その理由が、上巻を執筆する時に入っていた気合いのようなものが、中・下巻では尻すぼみになっているというわけではない。上巻では、『枕草子』が書かれた時代背景を理解してもらうために「枕のコラム」を挿入した。しかし、時代背景が理解されたであろう中・下巻では、コラムとしてはさむよりも、注釈部分に組み込むことで間に合うと考えたものと思われる。事実、注釈部分は、巻を追うごとに洗練されている。 この作品は、1986年3月から1995年5月までの十年を要して刊行されている。この十年の間には『桃尻語訳 枕草子』以外に70冊もの本を出しているだけに、紙数にして950ページ程度の作品に十年もの歳月を要するというのは、橋本治氏の作品では珍しい。ちなみに、全14巻の大作である『窯変 源氏物語』は1991から1993までの三年間で書かれているから、それと比べても『桃尻語訳 枕草子』の執筆期間は圧倒的に長い。それだけの期間だから、作品の構成に変化があっても不思議ではない。 さて、もう一つの変化は文章そのもので、これにも執筆期間の長さが関係している。先ほどの『桃尻語訳 枕草子』と『窯変 源氏物語』の執筆期間を詳しくみると、『桃尻語訳 枕草子』の中巻が出された後に『窯変 源氏物語』が出ている。そして、『窯変 源氏物語』全14巻を完結した後に『源氏供養』が書かれ、その翌年に『桃尻語訳 枕草子』の下巻が刊行されているのだ。橋本治氏は、この執筆期間の長さを、「その理由の一は、私が飽きっぽいからです」、「その理由のもう一つは、これがとんでもなく大変な仕事だからです」と《あとがき》で述べている。だが、二つの理由は表向きのもので、そこには本音が隠されている。 それは、著者が飽きっぽいのではなく、納得できてからでないと筆を進めることができないということ。この『桃尻語訳 枕草子』を納得できる作品として仕上げるために、大変な時間を要してしまったことである。それは《あとがき》部分から読みとることができるし、作品そのものからも伝わってくる。この作品は、上巻から中巻、下巻へと進むにしたがって、文体に微妙な変化が表れている。おそらく、この作品が書かれた背景にある、バブル崩壊という時代の変動も少なからず影響しているのだろう。上巻では煩わしく思えるテンションの高さが、中巻や下巻では抑え気味になり、それがかえって作品の味わいを深めている。桃尻語が時代的に古いとかいう意見も、中・下巻へと読み進めば変わって来るだろう。古典を読む楽しみが詰まっている、それが『桃尻語訳 枕草子』である。

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