眠りなき狙撃者 の商品レビュー
眠りなき狙撃者
マンシェット最後の作品。 美しい文体と無駄を省いた描写が素晴らしい。
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『愚者が出てくる、城塞が見える』の解説で訳者の中条省平が、マンシェットの最高傑作と断じていたので読んでみた。 金で雇われた殺し屋の話と思いきや、最後の最後で、諜報機関内の二重スパイの炙り出しの話だった。 心理描写一切無し。一文は短く、頁当たりの行数も少ない。見た目も研ぎ澄まされた製本だけど、表紙の写真が流石に26年前のせいか古びた感じ。 ハードボイルドが好きなひとには、とてもよい本。
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珍しい完全3人称。当然心情描写はほとんどなく、”戸惑っているような表情”程度の描写しかない。ある意味、映画の脚本に近いし、状況描写が緻密な上、一方で極端に場面転換が早く、カットバックのような手法が随所に入る。そのため映画化したら、というより頭の中で映像化しやすい作品。 ドライな暴力場面などはいかにもフランス映画らしく、クセのあるキャラはタランティーノやリチャード・スタークの作品に出てきそう。 話は小ぶりながら殺し屋の主人公テリエ(クリスチャン)の最後の殺しとその背景が描かれる。特に意表を突く展開は無いが、文章力もあり一気に読める。 他の作品も読んでみたくなった。
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引退を決意した殺し屋に襲いかかる組織の罠、そしてかつての敵——「一行たりとも読み飛ばせない」ほどのストイックなまでに簡潔な文体による、静かなる感情の崩壊速度。マンシェットの最高傑作。
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狙撃者というタイトルに惹かれて読む。 読んでいて楽しい時間を過ごせました。フランスの日常が垣間見れて嬉しかった。こういう現実感はやはり当事者じゃないと描写できないですもんね。
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『殺戮の天使』『殺しの挽歌』と来て、私は今作が一番好きだった。 主人公の追い込まれぶりが半端じゃない。 エルロイの『ホプキンズの夜』を少し思い出した。 逃げ場のない閉塞感がこちらにも伝わってくる。 ラストも酷い。 2008/11/11
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