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ダーティホワイトボーイズ の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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極悪非道の犯罪者ラマ…

極悪非道の犯罪者ラマーがなんと魅惑的に描写されていることか。犯罪行為において躊躇なく殺人をおこなう一方、精神薄弱児の従弟オデールにはきめ細やかな情愛を滲ませる。不慮に事態に陥っても愚痴を並べることなく、冷静に対処方法を考えていく。そういうところに惹かれていくのだ。このラマーと対峙...

極悪非道の犯罪者ラマーがなんと魅惑的に描写されていることか。犯罪行為において躊躇なく殺人をおこなう一方、精神薄弱児の従弟オデールにはきめ細やかな情愛を滲ませる。不慮に事態に陥っても愚痴を並べることなく、冷静に対処方法を考えていく。そういうところに惹かれていくのだ。このラマーと対峙するパトロール巡査バドは、逆に決断できない弱さを見せる。助手の妻と不倫関係に落ちていき彼女との新たな生活に踏み出したい気持ちとこれまでの家族との絆を守りたいという思いが拮抗する。どちらも選べないまま、ずるずると事態を先延ばしにして

文庫OFF

2024/06/20

「極大射程」以来のスティーヴン・ハンター。 以下はネタバレありの感想。 文庫本32章700ページを超える分量にも度肝を抜かれるが、6章(150ページ)あたりで正義側の主要登場人物のほとんどが殺される。(と、思わされる) 罪悪感を持たぬ殺人者と罪悪感に苛まれる刑事が出会うという設...

「極大射程」以来のスティーヴン・ハンター。 以下はネタバレありの感想。 文庫本32章700ページを超える分量にも度肝を抜かれるが、6章(150ページ)あたりで正義側の主要登場人物のほとんどが殺される。(と、思わされる) 罪悪感を持たぬ殺人者と罪悪感に苛まれる刑事が出会うという設定もナイス。 そして本書の魅力は、トンデモナイ悪人を描きながらもリアリティぎりぎりの人物造形と彼らの内なる心の葛藤や気持ちがなぜか共感もしくは理解出来るという作者の職人技にある。 本書の主人公、悪の権化ラマーは凶暴だがバカではない。無理矢理脱走犯仲間にされたリチャードは彼を以下の様に狡猾な無秩序の天才と称する。「ラマーは常に考えている。何か課題を与えたら、彼は真っ先に、しかも正しくそれを解決するだろう。とはいっても、それは普通の人間のやり方ではない。他人より自分が多くを得られる様に解決するのだ。それが彼の唯一の道徳律であり、何の後ろめたさも疑問も持っていない。彼は情熱的かつ揺るぎない確信を持ってその道徳律を行使する」 解説の鵜條芳流氏の言葉。「悪い男に限って人の心を捕らえて離さない。華麗な悪の前では、正義さえも霞んで見える時がある。アメリカンヒーローを描いて来た男は、どうやらそれに気付いてしまったようだ。悪が栄えた試しなし。だが、栄えないからこそ刹那で美しい」 一方の正義側キャラは48歳のハイウェイパトロールの巡査部長パド。妻子がありながら部下の奥さんと不倫、再び良き家庭を取り戻したいと願いながらも、目先の欲望に負けて自己嫌悪に陥る日々。 そして、前半の魅力的キャラは人質となった老夫婦。リタイアして狩猟が趣味だった夫は、悪にも怯まない。巨悪に対して卑屈にならず勇敢にも対峙しようとする。 分厚い文庫本を終始飽きさせることなく引き付ける筆力は流石です。

Posted byブクログ

2023/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初全然面白くなかったけどバドが車のタイヤ痕調査で家に行ったあたりからかなりおもしろい。そこからは続き気になって一気に読んじゃった。描写がかなり生々しくてつらいとこもある。リチャードが第二のラマーになっちゃった。こいつ出所したら大変だ。

Posted byブクログ

2020/09/03

極大射程のボブ・リー・スワガーシリーズ4部作の2作目。1頁目から飛ばす内容。 なんと、いきなりチ〇ポの話から始まる。こんなピカレスク小説を読んだ事は無い。 期待は膨らむばかりだが、読み始めると確かに脱獄や犯罪シーンはスティーブン・ハンターの筆が冴えるのだが、登場人物の詳細について...

極大射程のボブ・リー・スワガーシリーズ4部作の2作目。1頁目から飛ばす内容。 なんと、いきなりチ〇ポの話から始まる。こんなピカレスク小説を読んだ事は無い。 期待は膨らむばかりだが、読み始めると確かに脱獄や犯罪シーンはスティーブン・ハンターの筆が冴えるのだが、登場人物の詳細について件が冗長で退屈で仕方がない。また、正義の側の浮気の設定が余りににも安易な解決方法で納得行かない。 700頁越えの長編で書かれる必要が有ったのか疑問だ。もっと凝縮してスピーディな展開の方法が良かったと思う。 極大射程が面白かっただけに残念だった。 ボブ・リー・スワガーシリーズと言っても番外編だが、次のブラックライトに繋がる話なので読んだけど本当に必要なのかな? これから、ブッラクライトを読むので答えが出るだろう。

Posted byブクログ

2019/11/28

日本経済新聞社 小中大 記事利用について 印刷 印刷 読書日記ナレーター 近藤サト(3) 『ダーティホワイトボーイズ』 命の重さ問う強烈な悪 2019/10/17付日本経済新聞 夕刊 スティーヴン・ハンターの代表作といえば『極大射程』だろう。ベトナム戦争に参加した...

日本経済新聞社 小中大 記事利用について 印刷 印刷 読書日記ナレーター 近藤サト(3) 『ダーティホワイトボーイズ』 命の重さ問う強烈な悪 2019/10/17付日本経済新聞 夕刊 スティーヴン・ハンターの代表作といえば『極大射程』だろう。ベトナム戦争に参加したアメリカ海兵隊退役軍人のスナイパー、ボブ・リー・スワガーとその父、アール・スワガーの活躍を描く「スワガー・サーガ」の第一作は抜群に面白い。 だがきょう紹介したいのはスワガー・サーガの番外編にあたる『ダーティホワイトボーイズ』(公手成幸訳、扶桑社ミステリー)だ。主人公はオクラホマ州の重犯罪刑務所に収監されている終身囚、ラマー・パイ。刑務所内で黒人受刑者を殴り殺し、復讐(ふくしゅう)を恐れて脱獄、血まみれの逃避行を繰り広げるさまは「悪」以外の何者でもない。だが、不思議と心をつかまれてしまい、ページを繰る手が止まらなくなる。 ハンター作品の主人公はうだつの上がらない、影を引きずる男が常。ラマー・パイの吹っ切れた暴走は異色だ。神々しいほどの悪。ハンターは何を描きたかったのだろう。悪役を通して、命の重さや生きるとは一体どういうことなのか、問いかけているのだろうか。 強烈なバイオレンス小説は1回読めばもう十分となりがちだが、私は少なくとも3度は読んでいる。これほど夢中になるのは、銃マニアである著者の、微に入り細をうがつアクションシーンの描写によるところが大きい。ハンター作品の映画化がうまくいかないのは、オタク的な活字描写を映像では再現できないからだと感じる。 現実には、銃社会は深刻な問題を抱えている。これはあくまで、活字の楽しみ。そして映像が手を出せない、優れた小説ならではの楽しみなのだろう。 このページを閉じる 本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。 NIKKEI Nikkei Inc. No reproduction without permission.

Posted byブクログ

2018/12/25

スワガー・サーガ二作目。これ読んだときはスワガー・サーガにリンクするとは思っていなかったんだけどねぇ。。

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2018/03/27

内容(「BOOK」データベースより) オクラホマ州立マカレスター重犯罪刑務所に収監されていた終身囚ラマー・パイはシャワールームで黒人受刑者を殴り殺した。黒人たちの逆襲を恐れた彼は看守を脅し、子分二人をつれて脱獄に成功する。迷いなく邪魔者を殺して進む、生まれながらの悪の化身ともいう...

内容(「BOOK」データベースより) オクラホマ州立マカレスター重犯罪刑務所に収監されていた終身囚ラマー・パイはシャワールームで黒人受刑者を殴り殺した。黒人たちの逆襲を恐れた彼は看守を脅し、子分二人をつれて脱獄に成功する。迷いなく邪魔者を殺して進む、生まれながらの悪の化身ともいうべきラマーとその一行は銃を手にいれ、車を奪い、店を襲い、警察を嘲笑するかのように、ひたすら爆走し、破壊しつづける!『真夜中のデッド・リミット』のスティーヴン・ハンターが圧倒的な筆力で描く、驚異の悪漢バイオレンス超大作。

Posted byブクログ

2015/07/28

例えばランボーみたいな映画を見て、やべー戦争怖いわー、ランボーが突然日本にやってきてばかすか撃ちまくったらどうしよう、なんてなかなか思わない。これが現在の米国での話になっても、でもやっぱりまだ現実感が無いというか、米国って怖いのねーって思うくらい。 という大前提のもと、この話は純...

例えばランボーみたいな映画を見て、やべー戦争怖いわー、ランボーが突然日本にやってきてばかすか撃ちまくったらどうしよう、なんてなかなか思わない。これが現在の米国での話になっても、でもやっぱりまだ現実感が無いというか、米国って怖いのねーって思うくらい。 という大前提のもと、この話は純粋に面白い。悪いやつだって馬鹿じゃないんだし、何も考えずに生きてるわけじゃないし、って当たり前の事なんだけど、主人公をランボーとするなら、巨大組織の警察に立ち向かう孤独なヒーローの話ってところなんだろうか。

Posted byブクログ

2015/02/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズの番外編。 本作だけ読むと、ボブ・リーの物語との関連性をほとんど見つけることができず、それゆえか日本語版は本作が最初に刊行されたという。この物語は確かに本作だけで完結しており、他の作品を読まなくても問題なく楽しめる。 とはいえ、前作「極大射程」を読んでいれば本作の中に本当にチラッとだけ現れるシリーズとの関連性に、思わずニヤリとなるだろう。本作中に前作との関連性を見出せるのはここのみであるのだが。 本作はタイトル通り、白人のワルどもの物語である。脱獄囚のラマー一味と不本意ながらもそれを追う羽目になるハイウエイパトロールのバドが、お互いの知恵を比べながら、追いつ追われつを繰り返す。 前作とは異なり、かなり下品で、バドもコンビを組む若手巡査の妻と不倫をしているなど、お世辞にも正義の人とは言えない側面を持っている。だからこそ、生々しく、生き生きと描かれているのだろう、登場人物たちの行動や考え、悩みなどが直に伝わってくるようでのめり込む。 ラマーは完全に悪党であるが、切れる頭を持ち、時折見せる優しさなど人間味あふれる側面もあるため、なんとも憎めない。 前作とは趣の違う形で読者を虜にする作品である。この物語がどのように次作以降に関わってくるのか、それもまた楽しみの一つである。

Posted byブクログ

2014/06/29

ボブ・リー・スワガーシリーズの第二作。といってもボブ・リーは登場せず。まあ、関係は次作をお楽しみにということのようだ。 登場する悪漢が何とも凄まじいワルなのだが、これが家族愛に満ちた人物だったりする。登場人物の殆どが家族に関する問題を抱えている、まさに家族がテーマなのだ。とはいえ...

ボブ・リー・スワガーシリーズの第二作。といってもボブ・リーは登場せず。まあ、関係は次作をお楽しみにということのようだ。 登場する悪漢が何とも凄まじいワルなのだが、これが家族愛に満ちた人物だったりする。登場人物の殆どが家族に関する問題を抱えている、まさに家族がテーマなのだ。とはいえスピード感あふれる筆致は前作同様迫力がある。翻訳のまずさが指摘されているが、私はさほど気にならなかった。

Posted byブクログ