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テレーズ・デスケルウ の商品レビュー

3.8

19件のお客様レビュー

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2015/09/12
  • ネタバレ

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空虚だ。何もかも虚しいと思えてくる。結婚することが、家族が、人とのつながりが。本書からは何を感じればよかったのだろう?何かを感じたかも知れないが、何であったのだろう。 テレーズが夫に毒を与えたと、それは、どのような動機があったのか?自分のことしか考えない夫への反抗か?免罪され、帰路での回想は、どれも、苦しみの原因とは思われない内容である。家に幽閉された後の日々、苦しみが喜びとなる、とはどのようなことか。人間、人生には謝しが必要である。

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2013/03/09

フランソワ・モーリアックが1人の女性テレーズ・デスケルウの孤独な内面を創作し描いた作品で、ひたすら彼女の心の陰鬱な世界が展開する。和訳は遠藤周作で、モーリアックと一心同体の如く昂揚とした日本語であらわしたという。 夫・ベルナールの毒殺を計ったテレーズは、家の体面を重視する夫や父ら...

フランソワ・モーリアックが1人の女性テレーズ・デスケルウの孤独な内面を創作し描いた作品で、ひたすら彼女の心の陰鬱な世界が展開する。和訳は遠藤周作で、モーリアックと一心同体の如く昂揚とした日本語であらわしたという。 夫・ベルナールの毒殺を計ったテレーズは、家の体面を重視する夫や父らに助けられて免訴を勝ち取り、辺鄙な家への帰り路の汽車の中で、夫へかける言葉を見つけるべく自らの過去を振り返る。家同士の利害を重視した空疎な結婚と、耐えがたく感じる夫の独りよがり、わが娘への情の無さ、そして義妹が付きあっていた上辺だけの男とのなぜか気のあった交流が思いだされるが、また、求めるものが見いだせない自身と自らの冷たく他と交わりえない性格を再確認する。そして、夫が見出した妻への復讐は体面を重んじるための夫婦の芝居と妻をこの辺鄙な家へ半ば幽閉することだった・・・。 僻地の暗い情景が、テレーズの孤独で倦怠、そして諦観と狂気へと進む物語の進行とよくマッチしていて、尋常ならざる彼女の彷徨と葛藤をより繊細に訴えかけていたといえる。次第に沈んでいく精神と状況が、一転、開放と別れとしての決着で、しがらみから解放されたテレーズはこの後どうなっていくのか。このテレーズはシリーズになっているようで、1人の女性としての葛藤の今後が気になるところだ。

Posted byブクログ

2012/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

http://ameblo.jp/sweet--ballet/theme-10054134872.html

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2013/09/30

最後の開放感が凄い。 読んでいる途中は鬱々と話が進む。舞台背景とも合間って、とても閉鎖的な印象。 主人公と一緒に窮屈感を感じてしまう。イライラと読んでいたが、だからこそのラストは圧巻。

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2011/11/05
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ノーベル文学賞作家、モーリアックの代表作「テレーズ・デスケルウ」 実は、数年ほど前にこの本を手にとって読んでみたのですが、精神状態が思わしくなかったためか、この本独特の陰鬱さに参ってしまい、途中で投げ出してしまいました。 しかし、今回は、テレーズの悲しさとその我がままとも言うべき自己愛に惹かれ、病院の待合室であっという間に読破してしまいました。 テレーズの不幸が中心に小説が流れていきますが、この小説でテレーズの言いたかったことの要約がベルナールとの最期の会話に出てきます。 不幸は結局自ら招くことが多いんでしょうね。 文学作品として、この遠藤周作の訳はすばらしいです。短編ですので気軽に読めますし、一読の価値ありです。

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2011/10/21
  • ネタバレ

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人妻の倦怠。古典的な仏文学のテーマのようにみえる。 だが、趣は少々異なる。自身の生きる意味/目的を求めても得られず、人生を彷徨するテレーズの造形が秀逸。 遠藤周作の翻訳も熱意があってよい。 テレーズは結婚と結びつく性の歓びも、子供への情愛も抱けず、不倫の恋の可能性にさえ、そこにあるのは観念的な自己充足への欲求だけである。信仰が彼女に何かを与えているふしもない。テレーズ自身は何が自分を自分たらしめ、その生の意義となるのか把握できない倦怠に取り巻かれているのだ。 とりわけ性への拒絶は、妹分のアンナへの愛情に転嫁される点が目を引く。しかしアンナが定型的な「恋する女」や「夫と子をもつ妻」になるや彼女にもテレーズは幻滅してしまう。 平易な文体で書かれ、古典的な人妻の痴情事件にすらみえる小説『テレーズ・デスケルウ』。その実は、自分を、そして自分を満たしてくれるものが何であるかわからぬままに彷徨せざるをえない、希有な人物造形に成功した作品に思われた。

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2011/05/03

以前読んだ遠藤周作のエッセイで彼はこの作品を大いに評価していた。 そしてこの版は遠藤周作本人が翻訳したものとなっている。 恐らく惚れ込み過ぎて自ら訳さずにはいられなかったのだろう。 だが、その情報を知っていただけに何だか肩透かしを食らった気分だ。 正直裏表紙の概要と最初の...

以前読んだ遠藤周作のエッセイで彼はこの作品を大いに評価していた。 そしてこの版は遠藤周作本人が翻訳したものとなっている。 恐らく惚れ込み過ぎて自ら訳さずにはいられなかったのだろう。 だが、その情報を知っていただけに何だか肩透かしを食らった気分だ。 正直裏表紙の概要と最初の2章を読んだら一気に9章まで飛ばしても構わないと思った。 ヒロインであるテレーズの気持ちがさっぱり理解できなかった。 単にマリッジブルーこじらせて終いには夫の毒殺図ろうとした・・・ってある? また序盤から中盤にかけては文章も読み難くて苦労した(周作先生も頑張ったとは思うが)。 終盤から多少盛り返すもそこまで入れ込む小説だろうか・・・という疑問が残った。 この小説の「非事件性」だったり「非転換的」な部分は面白いとは思う。 むしろ転換的な事件性を大前提において、その中での日常性にスポットを当ててる手法は確かに上手い。 でも小説で繰り広げられる心情は全く理解できないしつまらない。 お見合いなどで不用意な結婚をし後悔している世代には受けるかな・・・とは思うが。 いくら遠藤周作は大絶賛・・・とは言っても、講談社文芸文庫のマイナー性の限界を示した作品。 そこまでの作品なら新潮文庫や岩波文庫で広く読まれているはずだし・・・ちょっと若き日の狐狸庵先生が入れ込み過ぎたかなと思わせる。

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2010/03/21

何度読んでも遠藤周作が感じた良さが掴めない。 これからも歳を重ねて読んでいけば 感じ方も変わるかもしれない。

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2009/10/04

無茶するヒロインですな〜。彼女の生き方は、女性の自由が認められなかった時代に、消去法でどうしようもなく選んだ自由の発露だったのだろうか。 自由になるために犯罪に手を染めたのに、結果として幽閉され、ますます自由を失ってしまう。 でも、どうしてもそうせずにいられなかったんだろう。 自...

無茶するヒロインですな〜。彼女の生き方は、女性の自由が認められなかった時代に、消去法でどうしようもなく選んだ自由の発露だったのだろうか。 自由になるために犯罪に手を染めたのに、結果として幽閉され、ますます自由を失ってしまう。 でも、どうしてもそうせずにいられなかったんだろう。 自分の身体を痛めつけて家族を動かそうとする行動からも、ぎりぎりの切迫感が伝わってきた。

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