絵画の黄昏 の商品レビュー
芸術作品の完成は、いったい何時訪れたと言えるのか。完成/未完成の対立をめぐって織りなされた第五章「黄昏あるいは黎明-美学の変貌」の言葉は今もって輝きを失わない、というより俄然輝いて見える。マネとポロックを例えばこんな言葉は架橋してくれないだろうか-「刻々の筆致が一筆一筆それ自体自...
芸術作品の完成は、いったい何時訪れたと言えるのか。完成/未完成の対立をめぐって織りなされた第五章「黄昏あるいは黎明-美学の変貌」の言葉は今もって輝きを失わない、というより俄然輝いて見える。マネとポロックを例えばこんな言葉は架橋してくれないだろうか-「刻々の筆致が一筆一筆それ自体自己完結した「出来上がり」として画面に連綿と並置されてゆき、あるいは重層的に重なりあって集積してゆく、生々しくもおぞましい制作現場が姿を現す」。広範な当時の資料を渉猟しながら、そこから見事な手捌きで刺激的な主題を浮かび上がらせ、論じる手つきは脱帽するばかり。
Posted by
- 1