火星夜想曲 の商品レビュー
分かりにくいある町の物語 表紙 7点影山 徹 展開 6点1988年著作 文章 6点 内容 669点 合計 688点
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SF版『百年の孤独』。その通りだと思います。 砂漠のオアシスに流れ着いた人びと。人が集えば町となり、栄え衰えて人は去り、再び町は砂に埋もれていく。かなり癖のある住人たちそれぞれのエピソードで彩られた、辺境の町の物語です。 科学と魔術の境い目が曖昧で、SFというより幻想小説の趣き。...
SF版『百年の孤独』。その通りだと思います。 砂漠のオアシスに流れ着いた人びと。人が集えば町となり、栄え衰えて人は去り、再び町は砂に埋もれていく。かなり癖のある住人たちそれぞれのエピソードで彩られた、辺境の町の物語です。 科学と魔術の境い目が曖昧で、SFというより幻想小説の趣き。カルト教団あり、テロリストあり、ブラック企業に労働争議。隕石は堕ちるし、時間嵐は起きるし…まぁ、いろいろ放り込んで、かき混ぜてのカオス状態です。 しかし、読了後にはひとつの世界の栄枯盛衰を見届けたのだという満足感が得られました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
原題はDesolation Road 。「荒涼街道」と呼ばれる町が舞台。 邦題は「火星年代記」を意識していて、確かに掌編が連綿と連なって世界を紡ぐスタイルは似ているけど、それだけ。 むしろ、梶尾真治「ゑゐり庵綺譚」やジョイス「ユリシーズ」、はたまたガルシア=マルケス「百年の孤独」…とまでは言わないけど、スタインベック「キャナリー・ロウ」とかグレアム・スウィフト「ラスト・オーダー」とかの雰囲気。
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長くて地味で退屈なところもあるが、読み終わったときの気持ちは格別。 SF的ガジェットはたくさん織り込まれているが、全体の印象としては幻想小説に近い。ふしぎな出来事がふつうに起こっていく世界。あれはほんとうにあったことだったのか、あの人は誰だったか知っている気がするのに思い出せない...
長くて地味で退屈なところもあるが、読み終わったときの気持ちは格別。 SF的ガジェットはたくさん織り込まれているが、全体の印象としては幻想小説に近い。ふしぎな出来事がふつうに起こっていく世界。あれはほんとうにあったことだったのか、あの人は誰だったか知っている気がするのに思い出せない…、読者も読むうちにとりこまれて、綴れ織りの模様になるような気分に。 火星はあんまり関係ないので、ラテンアメリカ幻想小説とか好きな方にもおすすめです。
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レイ・ブラッドベリ「火星年代記」をはじめ、 過去の作品へのオマージュでありリミックス。 初っ端の荒涼とした風景に、 1 人、また 1 人と登場人物が増えてゆく様は、 スティーブン・キングの作品群を連想した。 群像による数多の物語がパズルの 1 ピースとなり、 それらが組み合わさっ...
レイ・ブラッドベリ「火星年代記」をはじめ、 過去の作品へのオマージュでありリミックス。 初っ端の荒涼とした風景に、 1 人、また 1 人と登場人物が増えてゆく様は、 スティーブン・キングの作品群を連想した。 群像による数多の物語がパズルの 1 ピースとなり、 それらが組み合わさった時、読者は至福の喜びに包まれる。 SF 的マジック・リアリズムの世界を堪能できる傑作。 1989 年 ローカス賞第一長篇部門受賞作品。
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デソレイション・ロードという街の誕生から消失までを描いた壮大な叙事詩。ひとクセもふたクセもある登場人物たちの移住に始まる無数の幻想的なエピソードが絡まりあい後半の怒涛の展開へ。その一つ一つが魅力的すぎる。一枚のタペストリーに収束していくラストも素晴らしい。『百年の孤独』も読まなき...
デソレイション・ロードという街の誕生から消失までを描いた壮大な叙事詩。ひとクセもふたクセもある登場人物たちの移住に始まる無数の幻想的なエピソードが絡まりあい後半の怒涛の展開へ。その一つ一つが魅力的すぎる。一枚のタペストリーに収束していくラストも素晴らしい。『百年の孤独』も読まなきゃな。
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