青ひげ の商品レビュー
ところどころプッとふ…
ところどころプッとふきだしてしまうユーモアを含んだ壮大な物語。SFが苦手という人にもわかりやすくおもしろく読めると思います。
文庫OFF
かつて抽象画家であっ…
かつて抽象画家であった、ラボー・カラベキアンの自伝形式。今はただの孤独な老人。そんな彼の前に一人のエネルギッシュな女性が現れ、そして明かされる「納屋の秘密」。
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読み終わっての印象が薄いのだが、それはこちらの読み方が悪いせいなのかもしれない。 ヴォネガットの小説はこんなものだという先入観があって、期待通りにならないので、アレレという状態のまま最後までいってしまった。 こちらの読み方が雑で急ぎすぎということもあるけれど、それだけ前期の作...
読み終わっての印象が薄いのだが、それはこちらの読み方が悪いせいなのかもしれない。 ヴォネガットの小説はこんなものだという先入観があって、期待通りにならないので、アレレという状態のまま最後までいってしまった。 こちらの読み方が雑で急ぎすぎということもあるけれど、それだけ前期の作品群のインパクトが強かったのだ。
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SFを読んだ気はしないがヴォネガットマニアには感動作 表紙 7点和田 誠 展開 7点1987年著作 文章 7点 内容 731点 合計 752点
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初めて読む作家だったので知らなかったが、どうも有名なSF作家らしい。ただ、この作品は現代を舞台にした一般小説。 タイトルが「青ひげ」だし、粗筋に「鍵のかかったジャガイモの納屋」の存在がかかれているし、最初はもっとじっとりした、退廃的な話かと躊躇していた。が、実際のところはまるで違...
初めて読む作家だったので知らなかったが、どうも有名なSF作家らしい。ただ、この作品は現代を舞台にした一般小説。 タイトルが「青ひげ」だし、粗筋に「鍵のかかったジャガイモの納屋」の存在がかかれているし、最初はもっとじっとりした、退廃的な話かと躊躇していた。が、実際のところはまるで違った。 軽妙な乾いた文章で綴られる内容は、私が想像した陰鬱な雰囲気は全くなかった。扱っているテーマや作中で語られる歴史はなかなか重いのだが、その辺をさらりと読ませる。 私は昔から、芸術というものがまるで分からない。 絵画や音楽は授業レベルの通りいっぺんの知識しかないし、実物を前にしても、ぞくぞくするような「美」を感じることはあまりない。元々凡庸な感性しか持っていないうえに、それら強く興味を惹かれることがないからだろう。 だから、作中に繰り返し出てくる「魂のない絵」というのがどういうものなのか、うまく想像できなかった。「魂がない」としてもとても精密に描かれているなら、私はそれだけで賞賛してしまいそうだ。この言葉も意味が経験的に分かる人が読むと、受ける印象も強いのだろう。そう思うと残念。 芸術論を理解できるかどうかを抜きにしても、過去と現在が交互に描かれる物語はとても面白かった。こういう老人の回想ものを読むと、生きていくのもそんなに悪くないと思えるな。
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人間讃歌。に、辿り着くまでの人生劇場。結局どんなにブサイクな生き方をしていても自分だけには正直でいればなんとか形になるさ、とヴオネガットは言ってくれているような気がした。沢山の登場人物が自殺したり、戦争で死ぬが一様にいえぬそのいきさつの描き方に優しさを感じた。根底に流れる戦争体験...
人間讃歌。に、辿り着くまでの人生劇場。結局どんなにブサイクな生き方をしていても自分だけには正直でいればなんとか形になるさ、とヴオネガットは言ってくれているような気がした。沢山の登場人物が自殺したり、戦争で死ぬが一様にいえぬそのいきさつの描き方に優しさを感じた。根底に流れる戦争体験からの思想に今現在生きる僕は学ばなければならない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今度は画家の話 楽しみにしている作家の(けっこう)最新作。1987年である。戦争体験を持つ画家が自らの人生を振り返るというスタイルで書かれる。細切れに小さなセンテンスが区切られていて、あっちこっちへと時間がいったり来たりするものの、絶妙のタッチで読者が混乱することがない。多少冗長とも思える350ページの長編もスムーズに読むことができた。 本来自分の死後にのみ公開する予定だったジャガイモ小屋に残した最後の作品とはどんなものなのか? このテーマを最後まで引っ張りながら、ラストで一気にその作品を見せる。主人公である画家がそれを公開する気になる部分といい、公開したときにとかれる自らに課した呪縛みたいなものがラストを締めくくる。なかなかいい本だった。
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老年の画家ラボー・カラベキアンのもとにサーシ・バーマンという女性作家が転がり込む。カラベキアンは彼女のすすめで自伝を書き始める。自伝そのものの部分と、自伝を書いている過程でのバーマンとのやりとりなどが交互に記されている。 ヴォネガットのいつもの人をばかにしたような文章は影を潜め、...
老年の画家ラボー・カラベキアンのもとにサーシ・バーマンという女性作家が転がり込む。カラベキアンは彼女のすすめで自伝を書き始める。自伝そのものの部分と、自伝を書いている過程でのバーマンとのやりとりなどが交互に記されている。 ヴォネガットのいつもの人をばかにしたような文章は影を潜め、比較的淡々と綴られている。物語に抑揚がなく、どこに行き着くのか分からない自伝を読み進めるのは意外ときつい。しかし、最後のシーン。ジャガイモ貯蔵庫に隠しておいたものをバーマンに公開するところに至って、話は感動的な方向に大きく舵を切る。最後まで読んで、読んでよかったと思える。
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あるアルメニア人の絵描きが、老後カリフォルニアの孤独な邸宅で綴った自伝。最後の結実を迎えるための、数々のエピソード、彼がいかにして、ジャガイモ納屋に隠した真実を披露するかがこの小説の鍵。 絵を人間が、時代に翻弄され、一介のつまらない老人となる。そんな彼が最後に仕組んだ、巧妙なフィ...
あるアルメニア人の絵描きが、老後カリフォルニアの孤独な邸宅で綴った自伝。最後の結実を迎えるための、数々のエピソード、彼がいかにして、ジャガイモ納屋に隠した真実を披露するかがこの小説の鍵。 絵を人間が、時代に翻弄され、一介のつまらない老人となる。そんな彼が最後に仕組んだ、巧妙なフィナーレを大いに楽しんで欲しい。 ヴォネガットの、悲哀とアイロニーの入り交じった文章は、小説が有益か、無益か以外のところで語られるための、よいサンプルとなるだろう。
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「ある一瞬がほかの一瞬にくらべてべつだん重要ではなく、 すべての瞬間があっというまに過ぎ去ってしまうことを 表現するだけの勇気、知恵、それともたんなる才能が、 彼には欠けていた。」
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