おれの墓で踊れ の商品レビュー
映画の原作に興味を持ち図書館より拝借。思い出すこと、思い出せないことへの罪悪感、このあたりの話のときにぐっときました。無論それは若さゆえのなおさらの葛藤でもあり、そういった意味では胸にチクチクヒリヒリする青春小説ともいえるかな。
Posted by
「おれが先に死んだら、おれの墓の上で踊るんだ」 バリーの唯一の、最初で最後の束縛だったのかもしれない
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
(ネタバレ含みます) 衝撃的なタイトルから、また重苦しい内容を予期して気合いを入れて臨んだのですが… 重いには重いのですが、面白かったのです。まるで映画をみているようで。サウスエンドはテムズ河が海に流れ込むエリア、ロンドンっ子の海水浴場というから江ノ島のような所じゃないかと思う。それほど土地の細かい描写はないけれど、何となくその場を見てみたくなる。 このあとバリーの浮気、ハルの嫉妬による大喧嘩、バリーの死、そのあとの一口では語れないいろんな事が立て続けに展開される。その中でバリーの浮気相手でハルの友人でもあるノルウェー人の少女のことばが、かなり核心をついている。 「友情」とか「恋愛」に関して若い頃はいろいろな妄想を抱いている。自分の描く理想と現実のギャップに誰しも幻滅する。たぶん、そういった事を乗り越えて人間関係を少しずつ築いていくのだろう。ハルもかなり辛い経験をしたが、一つ大きく成長した。 [国際アンデルセン賞受賞作家 24/35]
Posted by
女の子でも男の子でも、思春期には同性に対して友情以上の 感情を芽生えさせることがある。この時期の脆く儚い気持ち が小説の題材になることもままある。 本書もそんな作品のうちのひとつだ。 16歳のハルは、ある日、友人のヨットを勝手に漕ぎ出して 操作を誤り、転覆させてしま...
女の子でも男の子でも、思春期には同性に対して友情以上の 感情を芽生えさせることがある。この時期の脆く儚い気持ち が小説の題材になることもままある。 本書もそんな作品のうちのひとつだ。 16歳のハルは、ある日、友人のヨットを勝手に漕ぎ出して 操作を誤り、転覆させてしまう。そこへたまたま通りかかった 少年に助けられる。 物語に影響され、「心の友」を求めていたハリーは、自分を助け てくれた18歳のバリーに幻想を重ねる。 確かにふたりで過ごす時間は幸せだった。ただ、そんな幸せは 長く続かない。出会いからわずか7週間後、ふたりは喧嘩別れを し、ハルの後を追ったバリーはバイク事故で亡くなってしまう。 そうして、「心の友」であったハルは生前にバリーと交わした 約束を実行に移す。その約束とは「どちらかが死んだらもうひとり が死んだ相手の墓の上で踊る」ことだった。 実際に1966年に墓を破損したとして起訴された少年の事件に発想を 得て書かれた作品だが、本書ではハルの手記、ソシアルワーカーの 報告書という形式で物語が進み、ハルとバリーの出会いからふたり の間に起きた出来事、バリー死後のハルの心理状態などが描かれる。 大切な人を失った時の複雑な感情は、どんな年齢だろうと変わらない。 だが、10代という揺れ幅が大きな年代だけに混乱するハルの気持ちが 手記という形式であるからこそ伝わってくるのかもしれない。 しかしなぁ、なんで「児童書」の分類に入ってるの?この作品。 もろにホモセクシュアルな描写もあるので、ヤングアダルトなんじゃ ないかと思うんだが。 小説を読むのことがめっきり少なくなったので、何度もつっかえ ながらも読了って感じでした。 きっと、登場人物と同じ10代の頃に読んだなら、もっと共感できる 部分もあったのかもしれない。だが、残念ながら私の感性は既に 鈍っているようで、キラキラしている思春期なんて遠い昔だよ。 同性同士の友情以上のお話って、もう読めないかもしれない。 あ、『真夜中の相棒』(テリー・ホワイト)は除く…だけどね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
出会いの場面から順番に、自分の過去を振り返るような語り方から、徐々に殴りつけるように書かれていく手記を頼りに、墓荒らし事件の全貌を被害者であり、加害者のハル自身が綴っていく物語。 バリーと初めて出会ってから2人が一緒に過ごした時間はわずか7週間ほどの出来事だけど、ハルからすれば人生を大きく揺さぶられた1日1日の連続だった。 しかし、幼い頃からのあこがれで、互いの傷を重ねて血液を混ぜ合うような、親友や愛情さえも超えた魂同士の繋がりを深く追い求め夢見てきたハルと、誰とでも気軽に接し、誰に縛られることもなく自由奔放に生きていたかったバリーは次第にすれ違うようになってしまい……。 喧嘩をした直後に事故で恋人を亡くしてしまう。 どうしてもバリーの写真が欲しい、忘れたくない。 そんな、ハルの必死な思いがどんどん溢れてくる。 「墓場で踊る約束」の意味は、そもそも「お前の墓の上で踊ってやる」という侮辱の仕方自体が日本人にはあまり馴染みのない言い回しだし不思議な言葉だけど、本作では「お前の墓」ではなく「おれの墓」で「踊れ」という命令形。 10代後半の彼らからしてみると“死”というものは興味の対象であって、だけど絶対に自分の身近にはないもの、だからこそ惹かれるのかもしれませんが、ここでの約束は本当に冗談半分で言ったことをハルの方が重く受け止めてしまい、結果的にあそこまで大胆な発想に至ったのではないかという気もします。 何にせよ、激動する感情に、居ても立っても居られないもどかしさ、決して戻らない恋人。そんな、行き場のない思いを爆発させる術が、それが犯罪だったとしても、生前に唯一バリーと交わした絶対的な約束を守ることだったのではないかと思います。
Posted by
ハルの言葉が自然に感じられる、好きな翻訳でした。 墓の上で踊れとあんなに約束をしたがったバリーの気持ちが今一つわからず、そこを想像してでも補いたかったけれど叶わず。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海外文学は久しぶりに読んだ。 確かに児童文学といえば児童文学だけど、大人でも楽しめる内容だったと思う。 少年が素敵な友人(恋人?)と出会って、仲良くなって、喧嘩して、仲直りできないまま相手が死んでしまって、どう気持ちに整理をつけるかという話、といえばありふれた感じがするけれど、主人公の手記の形で進むから感情の描写がリアルに感じられた。 終わり方も前向きで、なんとなく青春をかんじる読後感だった。 もっと多くのひとに読んでほしい作品。 それにしても、俺の墓で踊れ、というタイトルがとても印象的で素敵だと思う。
Posted by
題名からして惹かれたが内容も期待を裏切らないものだった。 表現や口調がビンゴだった。この物語の雰囲気全てが。原作者と翻訳者様両方に感謝しなければ。 普通のどこがおもしろい?
Posted by
少年同士の同性愛はあくまでも物語を構成する要素の一つに過ぎず、自然に関係を結んで基本的に同性愛ということで悩むことがないさらりとした書き方がとても良かった。主人公の少年の手記(+α)という体裁で書かれている作品だけれども、文学に興味のある主人公の文章は邦訳されてもかなり面白くいか...
少年同士の同性愛はあくまでも物語を構成する要素の一つに過ぎず、自然に関係を結んで基本的に同性愛ということで悩むことがないさらりとした書き方がとても良かった。主人公の少年の手記(+α)という体裁で書かれている作品だけれども、文学に興味のある主人公の文章は邦訳されてもかなり面白くいかにもイギリスといった感じで原文が読みたくなるほど魅力的。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先日読んだ『顔のない男』のレビューをアマゾンで見てみようと思ったときに、関連商品として挙がっていたこの作品。実は高校時代から図書館に置いてあって、タイトルとあらすじだけ読んですごく気になっていたのだが、結局読まないまま卒業してしまった。それから十二支がだいたい一周したいまになって、手に取ることになった。 なぜ『顔のない男』を「チェックした人はこの商品もチェックしています」なのだろう? と思っていたが、読んでみてなるほどその理由がわかった。この作品、『顔のない男』と同じく男性の同性愛が扱われているのだ。ただし、『顔のない男』では少年と大人の組み合わせだったけれど、こちらは二人とも少年だ。 『おれの墓で踊れ』は、死んだ友人バリーの墓を損壊した容疑で逮捕された少年ハルの手記と、彼を担当するソーシャルワーカー(作中では「ソシアル・ワーカー」)・の記録とで構成されている。割合的にはハルの手記が大部分を占めるのだが、これが非常に読みにくい。作者とか訳者がヘタクソだ、ということではない。むしろ、ものすごく上手いから読みにくいのだ。文学好きで自意識過剰な少年が書く文章を見事に再現していると思う。ひどく気取ってふざけたような文章は、自分の動揺をストレートに表現することにためらうハルの心のあらわれなのだろうな、と思う。とはいえ、暗喩と婉曲表現と、何を指しているのかちょっと考えないとわからないこそあど言葉の入り乱れる手記部分は私には本当に本当に読みづらくて、読んでいる間はそれなりの忍耐を強いられた。 作品冒頭でヴォネガットの言葉「我々は、ふりをしている通りのものであるから、何のふりをするかは慎重に決めねばならない。」が効果的に引用されている。ハルは、自分が「何のふりをするか」を、他の人にゆだねてしまう少年だったんだと思う。とはいえ、誰の言うことにでも流されるわけではもちろんなくて、バリーとかオズボーン先生とか、気に入っている人に限る。 でも、他の人がどんな人になるのかを決めるのは、すごく重たいことで、オズボーン先生みたいに仕事でならまだしも、パートナーとして何もかもを依存されたバリーはたまったもんじゃなかったんだろうな。 彼の死が、というか彼の死を手記に書くことが、結果的にハルを成長させることになった。自分の言葉で文章を書くときは、どうしたってひとりきりで、誰も助けることはできない。ハルは手記を書くことで、自分をもう一度冷静に見つめなおすことができたんだろうな、と思う。 原題:Dance on my Grave
Posted by
