坂の迷宮 の商品レビュー
著者の志賀洋子という人は雑誌編集の企画等を行っていた人で坂空間が好きで独自に研究をしていた人らしい。そこで坂の空間の研究を主に歴史的視点を持って語るエッセイである。 東京は坂が多い。坂の上と下が境界になっていて、江戸時代、坂の上にはお屋敷や寺社があり、下には商店が立ち並んだ。坂...
著者の志賀洋子という人は雑誌編集の企画等を行っていた人で坂空間が好きで独自に研究をしていた人らしい。そこで坂の空間の研究を主に歴史的視点を持って語るエッセイである。 東京は坂が多い。坂の上と下が境界になっていて、江戸時代、坂の上にはお屋敷や寺社があり、下には商店が立ち並んだ。坂は山の斜面を切り拓いて作られたから森に囲まれた場所や崖も多く、夜寂しく幽界につながる謂れも多い。なにしろイザナギとイザナミの話でも黄泉の国と現世をつなぐ境界は黄泉比良坂という坂なのだから。 著者は麻布で少女時代を過ごしたようだが、私の住む街も坂が多い。近所の坂の言い伝えや風景描写も頻繁に出てきたので個人的にはそこも楽しめた。
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橋と並んで空間的異界とつながっている坂。さ+カ行の素敵なランデブ。一本道のような坂そのものが迷宮になりうるあやうく不思議な世界をエッセー風に綴った楽しい本。
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