いまひとたびの の商品レビュー
清水辰夫の作品は、ハードボイルド系のみしか読んだことがなかった。 本作は、高齢のほのぼのした純愛小説とでもよぶのか、読後感がほのぼのとさせられる作品が多数収録されている。 清水辰夫の新たな一面を知ったという感じ。 解説を見ると、こちらの方が真骨頂のようです。
Posted by
全て「死」が絡んでいる短編集。 本人、友人、昔の恋人、母、他人… 対象はいろいろだが、それぞれの身に起こる死とそれに関わる物語。 切ない。しかし時間は穏やかに流れ、そこに生を感じることができる。 心に沁み入る短編ぞろいだし、またこれらがまとまっていることで1冊の本としての魅...
全て「死」が絡んでいる短編集。 本人、友人、昔の恋人、母、他人… 対象はいろいろだが、それぞれの身に起こる死とそれに関わる物語。 切ない。しかし時間は穏やかに流れ、そこに生を感じることができる。 心に沁み入る短編ぞろいだし、またこれらがまとまっていることで1冊の本としての魅力が増している。 最初読み通したときはそうでもなかったが、噛めば噛むほど…。 読む人の気分や状態に左右されそう。 「忘れ水の記」が好き。
Posted by
短編集だけど、 主人公がみな定年間近の男性で、 静かな男の読み物、という感じがする。 読み進めていくと、 後悔の感情がふつふつと 浮かんでくるのだった。 死を前に、人は何ができるのか、 もう少し考えてみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集でしたが、「生き方」、「人生」、「死」などを考えさせられます。 文章がとても美しいと感じます。 とくに光景を表現する文章がとてもすばらしく、きっとどんな映像にも負けないと思います。 この本は ずっと持っていて、何度も読み返したいと思う一冊です。
Posted by
ドライブに連れてって。赤いオープンカーで―交通事故で夫を亡くして以来、車椅子の生活を送ってきた叔母の願いは意外なものだった。やがて男は叔母の秘められた思いと、ある覚悟に気づくが...(「いまひとたびの」)。大切な人と共有した「特別な一日」の風景と時間。それは死を意識したとき、更に...
ドライブに連れてって。赤いオープンカーで―交通事故で夫を亡くして以来、車椅子の生活を送ってきた叔母の願いは意外なものだった。やがて男は叔母の秘められた思いと、ある覚悟に気づくが...(「いまひとたびの」)。大切な人と共有した「特別な一日」の風景と時間。それは死を意識したとき、更に輝きを増す。人生の光芒を切ないほど鮮やかに描きあげて絶賛された傑作短編集。
Posted by
悲しくせつない短編集 全編に共通しているのが、死 読み終わると暗く重いですが 何か心に残るという感じです
Posted by
全ての短編が「死」を迎えようとしている人々の物語。 自分の死が見えてしまった時に、私は凛としていられるだろうか。
Posted by
シミタツである。 心に沁みる達意の文章。既に昔になった昭和の古色蒼然とした風景の中で語られる身近な人の「死」にまつわる9つの短編。 『このごろ先に逝った者に羨望のようなものを感じるのは、自分の気力が衰えてきた証拠だろう』 『子らがいずれ離れて行ってしまうことも。…。その先待ち受け...
シミタツである。 心に沁みる達意の文章。既に昔になった昭和の古色蒼然とした風景の中で語られる身近な人の「死」にまつわる9つの短編。 『このごろ先に逝った者に羨望のようなものを感じるのは、自分の気力が衰えてきた証拠だろう』 『子らがいずれ離れて行ってしまうことも。…。その先待ち受けているのは、老いという名の下り坂だけである』 『人は自分の記憶の中でしか生を閉じることは出来ない。残された時間やいまの自分に必要な時間は、いつだってこれまで費やしてきた時間にはるかに及ばなかった』 『男はみんなそうだよ。いつまでたっても十代か二十代のままさ。なくしたものは絶対に忘れやしない』 ある程度の人生を重ねてきて満足や悔恨やそれなりの感傷を持つ中で、死という非日常と向き合うことでの改めての感慨。 私の好きなのは「ゆうあかり」と「忘れ水の記」。老いの中での悔恨と痛みと齟齬、そして男としての矜持にしんみり来る。
Posted by
人は死を間近にむかえたとき、やはり生まれたところを思い出すのだろうか?できるなら帰ってみようとするのだろうか?残りの時間をどう過ごしたいと願うのだろう?読みすすめると、知らぬ間に季節感と自然のかおりに包まれている。日本冒険小説最優秀短編賞受賞「本の雑誌」年間ベスト1
Posted by
短編集ですが、話の共通点は自己を知った人の話、話がしんみりしていて、心に残る。特に最後の部分が余韻を残す。
Posted by