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自由への長い道(上) の商品レビュー

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2020/05/13
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憎しみは計り知れない。彼らは僕たちが生まれた時から差別をし、抵抗をすれば捕えられ、27年間も劣悪な刑務所に閉じ込めた。家族も侮辱を受けた。果たしてそんな相手を「赦せる」のだろうか。社会は変わり選挙で大統領にもなった。 本書は南アフリカ共和国の大統領、マンデラの自伝である。上記のような壮絶な半生を悲観なく時にユーモアを交えて描く。一方的な憎しみを記録として残しているわけではない。例えば自分を閉じ込めた刑務所の看守にはあだ名をつけて楽しんだ。 マンデラが亡くなった今も、南アフリカの分断は解消されていない。真実和解委員会でのアパルトヘイト期における記憶の掘り返しは続いているし、その度に分断は深くなる。それでも彼が大統領に選ばれなかったら、と考えざるをえない。自分の筆ひとつで互いの憎悪を高めることができ、自分も含めた一方のそれを発散することができる権力を握った時、なすべきことは何か。そんな思いで読めば、軽妙な筆致がそのまま反転して、本書の重みに締め付けられる。ただの自伝ではなく、それ自体が意図的に上梓されたメッセージなのだ。 平和を志向する為政者がこれからも出てくることを願う。自由には長い道が伴うし、歩みを進めるためには道しるべが必要だ。これからもマンデラは、最も尊敬すべき、代えがたい政治家の一人であり続けるだろう。

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2019/02/07

30歳を越えるまで読まずに来てしまっていた。思い立って購入し読了。内容は今更何を言うでもないが、特に序盤、氏の生い立ちや運動を始める前の事は知らなかったので、風習や時代背景含め、興味深く読んだ。

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2015/08/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ネルソン マンデラ氏の自伝の前半。 名前は知っていたが、その業績については詳しくしらなかった。南アフリカの部族に生まれたマンデラ。田舎の出身だが、大学時代までは割と順風満帆。しかし、大学での揉め事で退学処分を受けてから彼の人生が変わる。 保護者の下を離れヨハネスブルクで貧乏暮らし。安給料で働きながら、弁護士を目指して通信課程で勉強に励むマンデラ。バス代を節約するため、長い距離を歩いて通勤し、石油ランプの代わりにろうそくを使う。スーツも継ぎ接ぎしながら5年間同じものを着ていたという。苦労人である。 そんな中でいつしか政治活動に没頭していくマンデラ。黒人を差別し権利を制限するアパルトヘイトとの戦いに身を投じていく。家庭を犠牲にしながらも、民衆の権利のための戦いの日々が始まる。 マンデラはとても知的で正義感が強く、動じない人間である。差別や偏見、不当な行為に対して整然と、そして堂々とNOを言える勇気がある。そして優しさも寛容さもある。リーダーとして、これほど魅力的な人間はいないと感じた。また、そんな彼だからこそ、周りに強い意志を持つ同志たちが結集したのだろう。類は友を呼ぶ、である。

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2014/06/04

隔離生活の間、自分の運命に思いをめぐらせる時間がたっぷりとあった。自由の戦士がいるべき場所は、民衆のそばであって、檻の中ではない。 ANCの思想的信条は、昔も今も、アフリカ民族主義を土台としている。これは「白人を海に突き落とせ」という叫びで表されるような形の民族主義ではない。A...

隔離生活の間、自分の運命に思いをめぐらせる時間がたっぷりとあった。自由の戦士がいるべき場所は、民衆のそばであって、檻の中ではない。 ANCの思想的信条は、昔も今も、アフリカ民族主義を土台としている。これは「白人を海に突き落とせ」という叫びで表されるような形の民族主義ではない。ANCが掲げるアフリカ民族主義はアフリカ人が自分たちの国で自由と自己実現を勝ち取るという考え。 「わたしは死刑を覚悟していた。本当に覚悟を決めるためには、その結果を現実として予期しなくてはならない。逃れられるのではないかとひそかに思っているうちは覚悟などできないのだ。私たちは勇敢だからではなく、現実的だから、みんな覚悟ができていた。」 「指導者というものは、時に他人に好まれない行動や結果がでるまで何年もかかるような行動をとらなくてはならないことがある。勝利を得ても、それを勝ち取った者たち以外には、その栄光が知れ渡られないこともある。刑務所の中では特にそのような傾向が強かった。自分の理想というものを、たとえ誰にわかってもらえなくとも、ひたすら追い求めることに慰めを乱す場所だからだろう。」

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2014/05/06

マンデラが共産党とクリスチャンの間である事。 牢獄でも人々を導いた事。 インビクタスという詩を念頭に置いた事。 久々、素晴らしい一冊。

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2013/12/13

著者の訃報を聞き、職場にあったことを思い出したので読み始めた。南アフリカはあまりにも遠く、この国を長く支配していたアパルトヘイトも、地理や現社の授業で学んだ程度の知識でしかないのだが、獄中で書き始められたというこの自伝で、20世紀前半(マンデラさんの青年期)からの国情と合わせて詳...

著者の訃報を聞き、職場にあったことを思い出したので読み始めた。南アフリカはあまりにも遠く、この国を長く支配していたアパルトヘイトも、地理や現社の授業で学んだ程度の知識でしかないのだが、獄中で書き始められたというこの自伝で、20世紀前半(マンデラさんの青年期)からの国情と合わせて詳細に説明されていたため、大概はつかむことができた。 上巻だけでも400ページという長さだが、非常に読みやすく、シリアスさの中にユーモアも交えられている。少年時代から海外訪問を経て反抗勢力としての軍隊の設立を決意するくだりまでが述べられており、下巻では27年間の投獄生活が中心となるらしい。彼の人生はいかに長く、激動の連続であったのか。早く下巻を読破したい。

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2013/04/17

ネルソンマンデラ自伝のうち、少年時代から1962年以降27年間の服役におよぶ直前、自身の武装勢力「民族の槍」設立まで。『まぬけの構造』からリファレンス。 アパルトヘイト政策下、カフィールとして蔑まされたアフリカ人の尊厳を取り戻すことを志すに至ったのは、著者が唯一のアフリカ人弁護...

ネルソンマンデラ自伝のうち、少年時代から1962年以降27年間の服役におよぶ直前、自身の武装勢力「民族の槍」設立まで。『まぬけの構造』からリファレンス。 アパルトヘイト政策下、カフィールとして蔑まされたアフリカ人の尊厳を取り戻すことを志すに至ったのは、著者が唯一のアフリカ人弁護士として、政策がもたらした惨状に直接触れていたことが大きいというエピソードに触れ、つくづく、法律は手段であって目的ではないことを認識させられた。 タイトルは「自由への長い道」となっているが、原題は”Long walk to freedom” 篤志家にして素朴、法律学者でありながら革命家(カストロ書記長も弁護士でしたね・・)といえる、偉大な著者による本書は、「道」という客体ではなく「歩み」という主体こそ相応しい。

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2012/03/17

2012年22冊目。 南アフリカのアパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラの自伝。 ある劇的な出来事から自由への闘争が急に始まるというよりも、 人生の中の瞬間瞬間の迷い・葛藤・決心がマンデラを徐々に戦いの道へ導いていったように感じる。 マンデラに一番強く感じるのは、そういう瞬間...

2012年22冊目。 南アフリカのアパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラの自伝。 ある劇的な出来事から自由への闘争が急に始まるというよりも、 人生の中の瞬間瞬間の迷い・葛藤・決心がマンデラを徐々に戦いの道へ導いていったように感じる。 マンデラに一番強く感じるのは、そういう瞬間瞬間の自分の想いに誠実に向き合う姿勢。 その向き合う想いは必ずしも崇高なものではなく、ある時は怒りであり、ある時は恐れであり、とても人間的。 ガンジーが徹底的に非暴力に徹したのに対し、マンデラはガンジーを意識しながらも、状況に応じて一定の暴力が必要だと考える点が興味深かった。 逆に、周囲の声に同調して反白人主義になることなく、白人も含めた人種平等をうたう。 何かに盲従することも妥協することもない姿勢は、自分の心の奥底の声を聴き、それに従う勇気から生まれるのだと思う。

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2011/07/22

ネルソン・マンデラの自伝。彼の行動力や思想がどのような環境で育まれていったのかがわかる作品。リーダーシップを考える上でも大変参考になる。後編もいずれ読みたい!

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2009/10/04

白人との共存が可能と信じ続けた点、施設暴力行為を認めざるを得なくなった点など興味がつきなかった。白人の論理(人権、公平、平等)で白人の矛盾した点を衝き白人を納得せしめた感がした。

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