超早わかり 現代俳句マニュアル の商品レビュー

夏石番矢(著者)

2013/03/25

内容（「BOOK」データベースより）
現代俳句は時間、宇宙、自然、都市、異界、四大(地水火風)、身体、死…等をどのように受けとめ、作品化しているか。子規以後、俳句は何をめざしてきたか。俳句の魅力を既成概念から解放する画期的な俳句ガイド。

引用

　二十世紀末の日本を見渡してみれば、　～　季語を入れ、　ある程度のテクニックを使って、　五・七・五音でまとめれば、　あなたもいい句が詠めますよと、　この先値上がりを見込めないマンションへの投資をすすめる人々のように、　レッスン・プロ俳人たちはつくり笑顔、猫撫で声で、　俳句への一見広き門を説いて飽きない。

　本書の第一部は、　世に流布する俳句観をときほぐすために、　俳句の表現領域の多様性を、　比較的若い俳人の作品を例に挙げながら、開示しようとしたもの。　俳句作品の成立構造を説いた原理論もいくぶん含まれている。
　第二部では、　正岡子規以降の二十世紀約百年間に出現した俳句作品の成果を、　俳壇史や師弟関係にとらわれない、　五つのまったく新しいパラダイムによって通観した俳句の歴史が語られている。　
　切り口の異なるこれら二つの俳句論を支柱に、　読者には奇跡的な可能性、　つまりは無限大に広く深い自己解放をもたらしてくれる俳句の攻略方法がたちあらわれてくるのではないだろうか。

夏石番矢　『真空律』

テン
天ハ個体ナリ山頂ノ蟻ノ全滅

溶岩流ハ一系ノ諦念ヲ体セヨ

不可逆性虚血性銀河ニ帰ラナム

シャクコウ
赤光ト予言ノ雨ノ交差ヲ謀れ

テンマウ
天網不可触　簡易便所ヘ横殴りノ雨

ﾁ ﾁ ﾊ ﾙ ｶﾝ ｽﾊﾞﾙ
斉斉哈爾地方ノ母ハ寒昴ヨリ乾いてヰルカ