開国のとき の商品レビュー
阿部正弘に対する著者の思い入れの強さを感じる力作である。ペリー浦賀来航時の老中首座、阿部伊勢守正弘が攘夷論者を抑えつつペリー提督と交渉を進める難しさが臨場感を伴って迫ってくる。本書を読むまでは、調整型の能吏であるという程度しか知らなかった阿部正弘だが、日本の将来を見据えた数々の決...
阿部正弘に対する著者の思い入れの強さを感じる力作である。ペリー浦賀来航時の老中首座、阿部伊勢守正弘が攘夷論者を抑えつつペリー提督と交渉を進める難しさが臨場感を伴って迫ってくる。本書を読むまでは、調整型の能吏であるという程度しか知らなかった阿部正弘だが、日本の将来を見据えた数々の決断を成していたことが分かった。また、米国との交渉の直後に、ロシア、英国とも同様な交渉を経て和親条約を結んだことはもちろん、ペリーが琉球にも迫り和親条約を結んでいることなど、同時並行する外交の難しさを際立たせている。江川太郎左衛門英龍の活躍も興味深い。
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