毛沢東の私生活(下) の商品レビュー
文革の怖さは、群衆心理が齎す攻撃性を許容し、超法規的に暴力を振るう事が正当化された事にある。そしてその判断基準が、この時代には既に宗教的な力を得た上、猟奇事件の主謀者の風でもある、毛沢東個人なのである。著者は、毛沢東の専属医師として、極めて密な距離感でこの時代を感じ、毛沢東と接し...
文革の怖さは、群衆心理が齎す攻撃性を許容し、超法規的に暴力を振るう事が正当化された事にある。そしてその判断基準が、この時代には既に宗教的な力を得た上、猟奇事件の主謀者の風でもある、毛沢東個人なのである。著者は、毛沢東の専属医師として、極めて密な距離感でこの時代を感じ、毛沢東と接し、この本に記録するのである。本著は歴史本でもあり、もはやホラーでもある。 ホラーを誇張するかのような、ゴシップがある。女好きの毛沢東。しかし、必ずしも無理矢理その権力で女性を自由にしていた訳ではなく、女性の方から寵愛を受けたがり、その利害は一致し、時に同時に5人以上とも…。よく、あんなジジイ相手にいけるものだ。権力とは人の目を曇らせ、理性のみならず、本能までも操作可能なのか。だから、私は人間なんて結局金次第という言葉に真っ向から反論できないのである。当然、あらゆる催眠にかかり易い人とかかり難い人がいるのも事実。しかし、毛沢東から貰った性病を勲章のように有り難がる女たちにはゾッとする。 大躍進に文革、天安門。周恩来の死と華国鋒への政権移譲、鄧小平の復権。江青含む4人組の逮捕。激動の歴史である。しかし、北京政府曰く、事実無根の書との事。どちらが嘘つきか、感じたままに読めば良いと思う。
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「デモに参加する者たちの行動が単に周王来の死をいたむにとどまらないものだと誰も彼も知っていた。」 医学を否定し衰退していく毛沢東。彼は、気力で病は治るものだと考えた。適切な治療を受けていればもう少し長生きできただろう。自分に賛成しないものは左派だろうが右派だろうが徹底的に潰す。...
「デモに参加する者たちの行動が単に周王来の死をいたむにとどまらないものだと誰も彼も知っていた。」 医学を否定し衰退していく毛沢東。彼は、気力で病は治るものだと考えた。適切な治療を受けていればもう少し長生きできただろう。自分に賛成しないものは左派だろうが右派だろうが徹底的に潰す。疑心が暗鬼を生み出し、党幹部を次々に追放する。彼はまさに中国の神だった。彼の意見は絶対であった。 文化革命は、文化の面だけでなく、全領域に及んだ。反共産とされたものは、吊るし挙げられた。大学には工作隊が送り込まれ、鄧小平も失脚させられた。林彪は毛沢東超えに失敗した。誰も彼も毛沢東に逆らえなかった。周王来の死により、天安門ではデモが起きた(第一次天安門事件)。共産を求めるものが、権力を手放さない。やはり、共産主義は幻だとわかる。
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あとがきに書いてあったが、日記を全て燃やしてしまったのに、なぜこれだけ詳細な回想録を書くことが出来たのだろう?しかし、真実性はかなり高い本だと感じる。毛沢東の主治医を20年以上務めた方が書かれた本として、非常に貴重な一冊です。 大躍進政策、文化大革命、その前後から死ぬ間際まで一...
あとがきに書いてあったが、日記を全て燃やしてしまったのに、なぜこれだけ詳細な回想録を書くことが出来たのだろう?しかし、真実性はかなり高い本だと感じる。毛沢東の主治医を20年以上務めた方が書かれた本として、非常に貴重な一冊です。 大躍進政策、文化大革命、その前後から死ぬ間際まで一貫して続く権力闘争。身近にいるものしか知る事の出来ないたくさんの描写(毛沢東は歯をみがかない、パラノイアのため絶えず移動する、科学、医療、経済等に関しての知識はほぼ無い、旺盛な性生活)を通して、毛沢東という人が身近に感じられるでしょう。訳者あとがきが、素晴らしく毛沢東という人物を言い当てていると思うので、詳細は読んで欲しいと思う。 毛沢東という人物を知れば、今の中国をより深く理解する事が出来ます。逆に言うと、毛沢東を知らずして中国は知る事は出来ないし、中国でビジネスを行う上で必須の知識だと思います。次回、北京に行く時には人民大会堂と毛主席紀念堂には必ず訪れます。
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もうまさにドンピシャなショッキングな本書。 中国人の同僚に貸してしまったぐらいだ。 だが、中国で発禁な本なので、みつかったら没収されるかもしれない。 毛沢東の記述ももちろんだが、 作者の人生が幸せなものだったのかなぁと考えこんでしまった。
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毛沢東の私生活(下) 李志綏(著) 河口のイミグレーションで、没収された。 幸い、昆明から河口のバスの中で読んでいたので、 問題はなかったが、感想文を書くには、 本がないと、濃厚な本だったので、残念である。 李志綏は、22年も毛沢東の主治医をしていた。 死ぬまでなので、毛...
毛沢東の私生活(下) 李志綏(著) 河口のイミグレーションで、没収された。 幸い、昆明から河口のバスの中で読んでいたので、 問題はなかったが、感想文を書くには、 本がないと、濃厚な本だったので、残念である。 李志綏は、22年も毛沢東の主治医をしていた。 死ぬまでなので、毛沢東の老年期の時期だった。 権力を握り、共産党の集団指導という概念がなく、 赤い皇帝を目指していた。 また、フルシチョフのスターリン批判を見て 自分にもいつ起こるかわからないという恐れの中に、 毛沢東はいた。 知識人を嫌い、医者の言うことを聞かない。 その、横着ぶりは、王様である。 無知に近いが、権力闘争だけは、心得ている。 それにしても、江青のわがままぶりと、 自分の意見が通らねば、敵とみなしたり、スパイとして告発する。 どうしようもない、暗愚の女帝である。 それを、容認する毛沢東も、問題があるね。 李志綏の見聞したことだけが、書かれているが、 毛沢東のエネルギシュさに、驚くばかり。 また、実に寂しい男でもある。 中国のイミグレーションで、没収されたので 星は、モチロン 五個。七つ星 あげたいくらい。
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上下巻合わせて1000ページの大書、内容は革命家、毛沢東の思考と実生活を彼の主治医が公にしたものである。20世紀の人口調節者と呼ばれた毛沢東は「大躍進」と「文化大革命」で自国民を2000万人以上、死に至らしめたとある。この革命家の異常な心理的背景を知ることに興味は尽きない。
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私は初めて知ったが、発刊時かなり話題になったらしい。著者が続編執筆を公言した数週間後に死んだことも。二十余年毛沢東付きの医者であった著者の回想録。とことん毛沢東の統治した時代の中国に生きる人は彼に踊らされ振り回されたといっていい。その特異な人間性は側近たちを権力争奪に走らせながら...
私は初めて知ったが、発刊時かなり話題になったらしい。著者が続編執筆を公言した数週間後に死んだことも。二十余年毛沢東付きの医者であった著者の回想録。とことん毛沢東の統治した時代の中国に生きる人は彼に踊らされ振り回されたといっていい。その特異な人間性は側近たちを権力争奪に走らせながら、その中心軸を自らから移そうとしなかった。その渦中にあってひたすら争いから遠くにあろうとした李医師。しかし毛や妻江青にとってそんなスタンスさえ不信の原因となる。 事実かどうかは、登場人物の殆どが死んだ今確かめようがないけど、真実味のある語りで圧倒的。分厚いのが二冊だけど全く長く感じず。
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歯磨きをろくにしなかったため歯が緑がかった分厚い歯垢に覆われ、放埒なセックス三昧で性病の感染源。数十年にわたり主治医を務め一番身近にいた作者ゆえに描けた、気分で現代中国を動かした独裁者の実像。必読。
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この訳者の表現の仕方は私にとってはとても読み辛かった。もしかすると筆者かこういう書き方なのかもしれないが•••
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毛沢東の側近という任務をこなすことを考えると、ブラック企業なんてものが可愛く思えてくる。おそらく歴史上独裁者と呼ばれる人の多くは疑心暗鬼に陥り、側近を互いに反目させて権力闘争をさせ、結果的にはその後の政治体制の大混乱の種を蒔く。その過程が医師の目を通じて克明に描かれている。
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