読み書き能力のイデオロギーをあばく の商品レビュー
第1章 識字と社会階級 第2章 識字のイデオロギー 第3章 識字と社会の理論 第4章 識字の暴力 <訳者あとがき> 著者はまず、主流派の<識字>が、ある社会における階級を決める決定的な要素の一つであると暗黙のうちに考えられている現在の識字観を、アメリカ社会学の検討を通して批判す...
第1章 識字と社会階級 第2章 識字のイデオロギー 第3章 識字と社会の理論 第4章 識字の暴力 <訳者あとがき> 著者はまず、主流派の<識字>が、ある社会における階級を決める決定的な要素の一つであると暗黙のうちに考えられている現在の識字観を、アメリカ社会学の検討を通して批判する(第1章)。そして、そのような識字観は、社会学などの学術的文献のみに見られるものではなくて、多くの人々のこころの中に生きているものである、だからこそそれは、イデオロギーとなるのである(第2章)と考える。<識字>を中立の技術であると捉え、また標準的<識字>のモデルとなるのは、<西洋的識字>であるべきだと考えることは、<識字>を研究する研究者の態度にも見られ、それは、経済至上主義の要求とも一致するものである(第3章)。そのような傾向は、教育そして日常の世界においても、<識字の暴力>として実現されている(第4章)。それは<制度>であり、そのような<制度としての識字>は、暴力となってしまっている、と著者は主張する。(pp.221-222)
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