学問の冒険 の商品レビュー
著者がサル学に興味を覚えた契機となったのは、戦争であった。人間は悪を内包している。悪を内包しているからこそ、人間は存在する。人間とは何か、という難問に迫るのに、人間の内なる悪の起源を探りたいと思った。そのためには、サル類から人間への進化を考えることに意味があると思った。 196...
著者がサル学に興味を覚えた契機となったのは、戦争であった。人間は悪を内包している。悪を内包しているからこそ、人間は存在する。人間とは何か、という難問に迫るのに、人間の内なる悪の起源を探りたいと思った。そのためには、サル類から人間への進化を考えることに意味があると思った。 1963年に京大理学部動物学科に自然人類学講座が開設され、今西錦司が教授に、伊谷純一郎が助教授に就任した。1967年に京大霊長類研究所が犬山市に設立され、著者は神経生理部門の助教授として赴任した。 初期のサル類は昆虫類を食物とした。やがて植物の果肉を食べるものが出てきたが、果肉はタンパク質を2~3%以下含有していない。その後、タンパク質を10倍含有する葉を食べるようになったが、葉は植物が身を守るためのアレロケミックスを持っているため、毒物の有無を見分ける能力を持ち、多種の植物をつまみ食いながら遊動する採食行動型を持つようになった。
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